第155回 科研費が採択されなくても研究を止めない―大学の「自費寄付・自己寄付・私費寄付」という選択肢―
科研費の不採択通知を受け取るたびに、
「今年は研究ができない」
と感じてしまう研究者は少なくありません。
もちろん、大型機器や高額な試薬を必要とする研究では、外部資金が不可欠です。
しかし一方で、
「数万円から数十万円程度あれば研究を継続できる」
という研究も存在します。
大学によっては、自分自身のお金を大学へ寄付し、その寄付金を研究費として使用できる制度があります。
名称は大学によって異なり、
自費寄付
私費寄付
自己寄付
などと呼ばれています。
あまり知られていない制度ですが、研究を継続するための一つの方法になり得ます。
今回は、この制度について考えてみます。
科研費がなければ研究は止まるのか
科研費は研究活動を支える非常に重要な資金です。
しかし、
「科研費が採択されなかった=研究終了」
ではありません。
例えば、
少量の試薬購入
消耗品
データ解析
ソフトウェア
程度であれば、比較的少額で研究を継続できる場合があります。
もちろん研究分野によって事情は異なりますが、
「今年は全く研究できない」
という状況ばかりではありません。
自費寄付とは何か
大学によって制度は異なりますが、
教員が自分のお金を大学へ寄付し、その寄付金を大学の研究費として執行できる制度があります。
一度大学へ寄付するため、
大学の会計規程
購入手続
などに従って支出されます。
つまり、
個人のお金を研究費へ変える制度
と考えると分かりやすいでしょう。
もちろん、すべての大学で導入されているわけではなく、名称や運用方法も大学ごとに異なります。
個人で購入するのとは何が違うのか
「それならAmazonで買えばよいのでは」
と思う方もいるかもしれません。
しかし大学の研究では、
備品管理
会計監査
研究倫理
などが関係します。
個人で購入しようとすると、研究費として正式に扱えなかったり、例えば毒物・劇物など、大学の管理体制の下で購入・管理することが前提となる物品もあります。
一方、自費寄付制度を利用すれば、
通常の大学予算と同様の流れで執行できます。
研究室として適切に管理できる点は、大きなメリットといえるでしょう。
また、寄付の制度や税法上の要件によっては、大学へ寄付した金額について税制上のメリットを受けられる可能性もあります。
もちろん誰にでも勧められる制度ではない
当然ながら、
自分のお金を研究へ投入することになります。
「科研費が採択されないから自己負担する」
という状況が常態化することも望ましくありません。
研究費は本来、公的資金によって支えられるべきものです。
その意味では、
この制度はあくまで一時的な研究継続の手段であり、科研費の代替ではありません。
それでも研究を続ける価値はある
研究には流れがあります。
一年止まるだけで、
学生のテーマ
共同研究
論文投稿
次回科研費
にも影響することがあります。
少額の研究費で、
一年後の大きな成果につながるのであれば、
自己投資として十分意味がある場合もあります。
おわりに
科研費の採択を目指すことが最も重要であることは言うまでもありません。
しかし、不採択だったからといって研究を止めるしかないわけではありません。
大学には、このような制度を用意している場合もあります。研究を続けるための選択肢として、一度確認してみる価値はあるかもしれません。
外部資金ジャパン
外部資金ジャパンでは、科研費等申請書の添削サービスを提供しています。ご興味のある方は下記までお問い合わせください。
