第131回 申請書を書く上で、予備データはどこまで必要か
科研費の申請書を書いていると、
「予備データって、どこまで出せばいいんだろう」
と迷うことがあります。
少ないと不安になるし、
かといって出しすぎると「もう終わっているのでは?」と見られそうな気もする。
この感覚は、多くの方が共有しているものだと思います。
本稿では、この「ちょうどよいところ」について整理いたします。
予備データは「可能性の手がかり」
まず前提として、予備データの役割はシンプルで、
「この研究、動きそうだな」と感じてもらうこと
です。
審査員は、アイデアそのものに加えて、
実験や分析の見通しがあるか(いわゆる準備状況)
仮説にある程度の根拠があるか(いわゆる着想に至る経緯)
研究者自身が扱えるテーマか(いわゆる研究遂行能力)
といった点も見ています。
その意味で、予備データは、
研究のスタート地点が見えているかどうかを示す材料
と言えます。
目安は「一本につながるかどうか」
どれくらい予備データが必要か、という問いに対しては、
「仮説から次の一手までが一本につながっているか」
を一つの目安にすると考えやすくなります。
例えば、
仮説につながる観察や結果がある
次にやることへ自然につながり一貫性がある
この流れが見えると、予備データの量が多くなくても伝わります。
逆に、データが多くても、
断片的でつながりが弱い
仮説との関係が見えにくい
場合は、やや伝わりにくくなる印象があります。
多すぎると気になるポイント
予備データが充実していること自体は強みですが、
見せ方によっては少し気になる印象を与えることもあります。
例えば、
すでに結論にかなり近づいているように見える
研究の「残り」が小さく感じられる
今後の計画とのつながりが弱くなる
といったケースです。
もちろん分野や内容によるところが大きいのですが、
「これから何を明らかにするのか」がきちんと残っているか
という点は、意識しておくべきかと思います。
分野ごとの違いも大きい
予備データの扱いは、分野によってかなり違います。
実験系:ある程度のデータがあると安心感につながりやすい
理論系:必ずしもデータが中心ではない
人文社会系:資料や視点の妥当性が重視されることも多い
そのため、
「どのくらいの量か」よりも、
「その分野で何が説得力になるか」
を意識する方が、申請書を作成するうえで役に立ちます。
ひとつの考え方
あくまで一例ですが、整理の仕方としては、
予備データによる図表が1枚でも、
最初の実験、実施項目とつながっている
仮説の妥当性が読み取れる
背景(導入部分からの流れ)が伝わる
このあたりが満たされているかを見てみると、
結果的に申請書全体のバランスを整えやすくなります。
まとめ
予備データについては、
「多いか少ないか」よりも、
「ストーリーとして自然につながっているか」
が一つの判断材料になります。
少なくても伝わるときは伝わる
多くても伝わりにくいときはある
このあたりに悩んだときは、
「このデータで、次にやることがイメージできるか」
という観点で見直してみると、整理しやすくなるかと思います。
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