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第108回 令和8年度科研費の採択率を読み解く―次はどの種目に応募すべきか―

科研費の結果が公表されると、多くの研究者は採択率を確認します。

しかし、採択率だけを見ても、自分が次にどの種目へ応募すべきかは分かりません。

むしろ重要なのは、

  • どの種目にどれだけの研究者が集まっているのか

  • どの種目で競争が激しくなっているのか

  • 自分の研究キャリアの次の一歩はどこなのか

を考えることです。

今回は、令和8年度科研費の新規採択データから、主要種目の状況を整理してみます。


圧倒的なボリュームゾーンは基盤研究(C)

令和8年度の基盤研究(C)は、

  • 応募件数:47,969件

  • 採択件数:12,419件

  • 採択率:25.9%

でした。

科研費全体で最も応募件数が多く、全応募(9.8万件)の約半数近くが基盤Cに集中しています。

つまり、多くの研究者にとって、

「科研費に応募する」

ことは、

「基盤Cに応募する」

こととほぼ同義です。

採択率は約4人に1人。

低すぎる数字ではありませんが、決して楽な競争でもありません。


基盤Bは意外と狭き門ではない

基盤研究(B)は、

  • 応募件数:13,155件

  • 採択件数:3,281件

  • 採択率:24.9%

でした。

驚くべきことに、

基盤Cの25.9%とほとんど変わりません。

研究者の中には、

「基盤Bは一部の有力研究者だけの世界」

という印象を持つ方もいます。

しかし数字を見る限り、

採択率の観点では基盤Cと大差ありません。

むしろ、

本来基盤B規模の研究なのに基盤Cへ応募しているケースも少なくないように思います。


基盤Aも採択率はほぼ同じ

基盤研究(A)は、

  • 応募件数:2,548件

  • 採択件数:612件

  • 採択率:24.0%

でした。

基盤Cとの差はわずか1.9%です。

もちろん研究実績や研究体制への要求は高くなります。

しかし、

「Aだから極端に通りにくい」

わけではありません。

数字だけを見ると、

科研費の本当の壁は「前段階で研究体制を構築できるかどうか」にあるように思います。


本当に厳しいのは基盤Sと挑戦的研究

基盤研究(S)は、

  • 応募件数:606件

  • 採択件数:69件

  • 採択率:11.4%

でした。

また、

  • 挑戦的研究(開拓):11.1%(令和7年度)

  • 挑戦的研究(萌芽):12.2%(令和7年度)

となっています。

このあたりから競争環境が一段変わります。

採択率は基盤A・B・Cの半分程度です。


若手研究は依然として恵まれている

若手研究は、

  • 応募件数:14,771件

  • 採択件数:5,928件

  • 採択率:40.1%

でした。

10人応募すれば4人が採択される計算です。

もちろん簡単ではありません。

しかし、

基盤Cの25.9%と比較すると、

若手研究が若手研究者支援のために設けられた種目であることが数字からも分かります。

若手研究に応募できる期間は限られています。

資格があるのであれば、積極的に活用すべきです。


次はどこに応募するか

今回の数字を見ていて興味深いのは、

基盤A・B・Cの採択率がほぼ同じであることです。

  • 基盤A:24.0%

  • 基盤B:24.9%

  • 基盤C:25.9%

つまり、

「採択率が高そうだから基盤Cにする」

という戦略は、あまり合理的ではありません。

むしろ重要なのは、

「研究計画に見合った種目を選ぶこと」

です。

例えば、本来、基盤研究(B)規模の研究を基盤研究(C)で申請すれば、研究計画に対して予算が不足し、実現可能性に疑問を持たれることがあります。逆に、小規模な研究を基盤研究(A)で申請すれば、なぜそこまでの研究費が必要なのかを説明しなければなりません。

科研費は「通りやすい種目探し」ではなく、「研究計画に最も適した種目探し」です。

令和8年度の採択データは、そのことを改めて示しているように思います。

外部資金ジャパン

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