第154回 研究はなぜ必要か ― 見えない未来への投資
私たちの生活は、研究の積み重ねの上に成り立っています。
しかし日々の忙しさや経済状況の厳しさのなかで、「研究は本当に必要なのか」と問われる場面も少なくありません。
目の前の利益を優先すれば、研究は後回しにされがちです。けれども、もし研究をやめてしまったら、私たちの社会はどうなるのでしょうか。
本稿では、研究の必要性について、あらためて考えてみたいと思います。
研究が止まった世界を想像する
研究をしない社会とは、すなわち「変化しない社会」です。
たとえば――
スマートフォンは進化せず、古い機種のまま使い続けることになる
パソコンの性能は向上せず、処理速度も記憶容量も変わらない
テレビはブラウン管のままで、高精細な映像は存在しない
医療の分野では、さらに深刻です。
病気は基本的に自然治癒に任せるしかない
難病やがんは「治らないもの」として受け入れるしかない
また、人文・社会分野においても影響は大きいでしょう。
歴史の分析や検証が進まず、過去から学ぶことができない
社会制度の改善も停滞する
そして、私たちの日常にも静かに影響が及びます。
野菜や果物は改良されず、甘さや品質は向上しない
食品開発が進まず、多様でおいしいお菓子も生まれない
研究が止まるということは、単に「新しいものが出ない」だけではなく、
人類の知恵そのものが蓄積されなくなることを意味します。
研究は「すぐ役に立たない」からこそ重要である
研究の多くは、すぐに成果が出るものではありません。
何年、何十年とかかることもある
途中で失敗に終わることもある
役に立つかどうかさえ分からないこともある
だからこそ、不況や財政難のときには真っ先に削減対象になりがちです。
しかし、現在の便利な社会は、過去の「すぐ役に立たなかった研究」によって支えられています。
当時は価値が分からなかった研究が、
後になって技術革新や医療の進歩につながることは珍しくありません。
研究とは、「未来への種まき」です。
種をまかなければ、当然ながら芽は出ません。
人類は前進するために研究を続ける
どんなに経済状況が厳しくても、
人類が前進し続けるためには研究を止めるべきではありません。
研究には次のような役割があります。
未知を解明し、知識を積み重ねる
社会課題の解決策を生み出す
次世代に新しい可能性を残す
目先の成果が見えなくても、
研究は確実に未来へとつながっています。
おわりに
研究は、すぐに利益を生むものではありません。
しかし、長い時間をかけて社会を変え、人々の生活を豊かにしてきました。
今、私たちが享受している便利さや安心は、
過去の誰かが「すぐには役に立たないかもしれない研究」を続けてくれた結果です。
そして、これからの未来も同じです。
いま蒔かれた小さな種が、
いつか芽を出し、やがて花を咲かせる。
その積み重ねこそが、人類の前進そのものだと思います。
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