第124回 商標を産学連携に活かす― 中小企業と大学がともに価値を高めるために(食品企業を例に)―
産学連携というと、「大学の技術をどう活かすか」という話になりがちです。
ただ、もう一つ見落とされがちな要素があります。
それが、大学の商標(ブランド)をどう活かすかという視点です。
大学名は単なる所属表示ではなく、それ自体が強い意味を持っています。
この点を意識するかどうかは、産学連携の成果にも影響してきます。
大学の商標は強い信頼性を持つブランドである
大学の名前には、すでに多くの価値が含まれています。
研究機関としての信頼性
専門性の裏付け
公的・中立的なイメージ
長年の実績
これらは一朝一夕ではつくれないものです。
つまり大学の商標は、
市場において「最初から信頼を持っている状態」のブランドといえます。
なぜ食品分野で効きやすいのか
この大学ブランドは、特に食品分野で効果が出やすいと考えられます。
理由は、食品は
安全かどうか
信頼できるか
根拠があるか
といった要素が、購買判断に直結するからです。
そのため、
「大学と共同で開発」
という情報は、それだけで商品の印象を大きく変えます。
中小企業にとっての現実的な武器になる
特に中小企業にとって、大学の商標は非常に有効な手段になります。
なぜなら、
知名度で大手に劣る
広告投資に限界がある
新商品の信頼をゼロから築くのが難しい
という課題があるからです。
ここに大学のブランドが加わることで、
信頼性が補強される
商品に説明しやすいストーリーが生まれる
新規顧客の心理的ハードルが下がる
といった効果が生まれます。
実際に、
大学名が付くことで売れ方が変わるケースは少なくありません。
「大学の名前をどう使うか」が重要になる
ただし、大学名は付ければよいというものではありません。
重要なのは、
どの場面、状況で見せるか
何の価値として伝えるか
企業のブランドとどう整合させるか
です。
たとえば、
機能性や科学的根拠を強調するのか
地域連携やストーリーとして見せるのか
によって、伝わり方は大きく変わります。
大学側にも求められる視点
ここで重要になるのが、大学側の姿勢です。
単に名前を貸すのではなく、
社会からどのように見えるかを意識する
企業の市場や顧客を理解する
ブランドとしての使われ方に関与する
対価の設定を適切に行う
といった関わり方が求められます。
これは負担というより、大学の価値を正しく伝えるためのプロセスといえます。
産学連携は「ブランド設計・展開」でもある
産学連携は、技術開発だけではありません。
大学の商標(ブランド)
企業の商品・販売力
この2つをどう組み合わせ、どう展開していくかという、
ブランドの設計・展開の側面を持っています。
ここを意識するかどうかで、社会での広がり方は大きく変わります。
おわりに
大学が、地域や社会に果たす役割もますます大きくなっており、
大学の商標をどう活かすか
を前提に産学連携を考えることは重要です。
中小企業にとっても大学にとっても、より実りのある連携が広がることを期待しています。
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