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わたしとあなたという関係性ー『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』によせて

突き詰めて考えると、恋愛関係にならない男女の話ではなく、「わたしとあなた」という物語が観たいのだと思った。

自由奔放でエネルギッシュなジェヒと、穏やかで繊細なフンス。正反対の二人は、ある出来事をきっかけに特別な契約を結び、一緒に暮らし始めることに!ジェヒは奔放な恋愛を楽しみながら、世間のルールに縛られず、自分の価値観を大切にして自由に生きている。一方、フンスはゲイであることを周囲に隠しながら、孤独と向き合う日々を送っている。二人はお互いの違いを認め合い、次第にかけがえのない存在となっていくー。しかし、ジェヒが人生の大きな転機に立たされ、フンスも初めて心を許した恋人との関係に悩む中で、二人の友情は予期せぬ形で試されることになる…。

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』ーSTORY
https://loveinthebigcity.jp/

※人によってはネタバレと感じる表現があります※

主人公たちが異性である。それだけで異性愛に回収されてしまう物語が苦手になったのはいつ頃からだろう。気がつけば漠然と異性間の友情の物語が観たいと思うようになり、恋愛っぽい雰囲気を感じるだけで無意識に忌避してしまっていた自分がいた。『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』を初めて観た時、「望んでいた物語だ!恋愛にならない男女の話だ!」と思った。それは、たぶん間違ってはないと思う。あらすじにも「二人の友情」とある。でも、いざ、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』についての言葉をしたためようとした時、どうにも違和感があった。

違和感を因数分解していくと、「恋愛にならない男女の話が観たい」のではなく、異性・同性問わず、世界や社会の中で生きる「わたしとあなた」という関係性の物語が観たかったのだと思った。そして『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』は、わたしにとってまさにそういう映画だった。


『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』

20歳からはじまるジェヒとフンスの物語。歳を重ね、変化しながら、共にあるふたり。鑑賞後、ふたりを愛おしく思わずにられない作品だ。

「あんたらしさが、なんで弱みなの?」

作中に登場するジェヒのこのセリフは、『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』を象徴するものだ。社会の眼差しにより自分らしさを出すことが憚られる。あるいは、自分らしさを貫くことで周りから傷つけられる。それでも、「あんたらしさ」は弱みではないと、なんでもないことのようにジェヒは言う。ジェヒとフンス、それぞれの自分/あんたらしさを互いに認め、肯定する。一緒に服を買いに行ったり、クラブに出かけたり。冷たいブルーベリーを頬張ったり、顔にパックをしてだらだらゴロゴロしたり。生活を共にする中で大切な人になっていく。

それでも、互いのSOSが相手にうまく届かない時もある。応答してくれなかった相手を責める。傷つけあって、泣きあって。そうして、ふと相手が傷ついていることに気付く。

「何かあったのか?」
「誰にやられたの?どこの誰よ!」

傷つけあっても互いに思いやり、痛みを乗り越えていくジェヒとフンス。このセリフのシーンは、わたしが一番好きな場面だ。ジェヒがフンスの顔を両手で包むように頬に手を添える仕草が特に好きだ。

主人公たちが異性である。それだけで異性愛と繋げて考えるのは、物語内の登場人物もそうで、ジェヒとフンスには常にその眼差しが付き纏っている。ふたりもその眼差しを理解し、だからこそ、生活を共にしている相手を女友達としたり、姉としたりする。ジェヒとフンスの関係性において互いの自分らしさは弱みではない。でも、自分たちらしい関係性を社会や周囲にうまく開示できないふたりがいるのもまた事実だった。だからこそ、ふたりが、ジェヒとフンスが、自分たちの関係性を開示できるラストに救われる気持ちになる。

『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』という物語について考え、言葉にしていく中で、男女が恋愛になる/ならないという尺度が、いかに異性愛に囚われているかということを痛感する。人と人との物語。愛情も友情も、グラデーションのように、あるいはマーブル模様のようにある。異性・同性問わずある。ジェヒとフンスにもある。わたしとあなたにもある。だからこそ、わたしは『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』を、そういう感情全てをひっくるめた「わたしとあなた」という関係性の物語として受け止めた。その物語の中に、希望のような、癒しのような、救いを感じた。ジェヒとフンスを、あるいは物語ごと抱きしめたくなる、愛おしい映画だった。


上田映劇では、8月14日までの上映。お見逃しなく!
(まだまだ言葉にできてないので、観た人と語りながらこの作品についての言葉を探したい)

パンフレットは、絶対買ってほしい。そして映劇はんこは最高です。

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