見出し画像

わたしのための一日を|2025年12月13日(土)

自分のためだけの予定をとことん入れてみた。それだけで、広がるものがありすぎて胸いっぱいになってたりする。そんな一日の記録。


午前中:Gokalab

御代田町にあるコワーキングスペース Gokalab は、しばしば一緒にご飯を食べたり飲んだりする きむさんが運営している。ご飯を食べる中であれこれお聞きするので、身近に感じつつも、でも、実際にはどんな様子なのか気になったりした。

というわけで、そんなに得意じゃない長時間(わたしの中で上田→御代田は長時間)ドライブをして、Gokalab を訪れるなど。お目当てはトークセッション。4つのテーマはどれもおもしろそうだったけど、セッション①と②だけ聞いてみた。

セッション①は、「これは仕事か?遊びか? はざまから生まれるおもしろさ」というテーマで、ライターの塩冶恵子さんがファシリテーターを、スピーカーとして、システムエンジニアでカレー作り&写真家の番匠健太さん、プロジェクトファシリテーターのササキイツキさん、造形作家の鈴木優介さんがそれぞれの仕事/遊びについて語った。話がおもしろすぎて、例によって赤べこになっていた。

左から鈴木さん、ササキさん、番匠さん、塩冶さん

ササキさんが「これは『仕事』、これは『遊び』、これは『???』という感じ」と、スライドで取り組んでいることを紹介してくれたのだが、正直同じような写真(例えば山の中を歩いてるとか)なのに「仕事」と「遊び」が分かれているのが不思議で、その境目には何があるのか、とワクワクしながら聞いた。

冒頭で一番緊張していた鈴木さんは、人生のサバティカル休暇が突然訪れ、その間にやってみたことが仕事につながっていたという話をしてくれた。あと「ご機嫌でいた」ことも仕事につながった要因としていて、「(ご機嫌でいるの、むっちゃ大事よな)」としみじみした。

番匠さんからは、写真家の植田正治のアマチュア精神の話が出て、「(こ、ここでも植田正治…!)」と小さく感動した。というのも、今、記録として携わっているアートプロジェクトひとひとの場でも文脈はやや異なるものの、植田正治の話題になっていたのだ。わたしは不勉強ゆえにあまり植田を知らず、今回の話を聞いてもっと作品やその思想に触れてみたいと思った。

このトークで一番いいなと思ったのがササキさんの「ここにいる皆さんにではなく、自分の子どもに、『結果、たのしく生きてるよ』という姿を見せたい」という言葉だった。「結果」というのがいいなと思った。あとGokalab にはキッズスペースがあるから、子どもと来やすく、またそれが当たり前にあるという。トーク中も会場には小学生くらいの子がいて、わたしの隣で笑って聞いてたり、あるいは大きなスピーカーにハグしていたりと、ほどよく自由にいた。大人も子どもも、子どもの居方がわかっているように感じた。

セッション②は、「ものづくりから広がる『思いがけなさ』」というテーマで、ファシリテーターに株式会社PLAY代表取締役で画家のイセオサムさん、スピーカーとして株式会社MoSAKU代表取締役の柳澤拓道さん、株式会社アイジーエーの代表取締役の五十嵐昭順さんがそれぞれのものづくりにおける思いがけなさを語った。

五十嵐さんがアパレル関係ということで服の話が広がる。セッション①でもササキさんが着てる服がだんだん派手になっていくという話をしていて、「思いがけず、服。」という言葉が脳内をぐるぐるしていた。

どこからかチャイムが鳴り、午前のトークセッションが終わる。otto the spices のスパイスカレーが食べたくて並んでいると、列の前にいた男性が「上田から来たんですか?」と声をかけてくれた。トークセッションの前に、きむさんがその場にいた人を軽く紹介するというターンがあり、その時にわたしも「上田から来た人」として紹介してもらったのを聞いていたらしい。その男性とあれこれ話していると、実はお互いのSNSをチェックしていたと知り、「あなたがあの!やっと会えましたね!」という謎の感動があった。その後も、「あ、あなたが!」という出会いがあったりして、イベントのタイトルよろしく、思いがけず広がりまくる人との出会いにほくほくでGokalabを後にした。

午後:犀の角 & soin cafe

hanpo キャラバン at 犀の角

上田に戻ると次の約束まで時間があった。犀の角hanpoが「hanpoキャラバン」をしてることを思い出し、顔を出す。知ってる顔に声をかけて展示を見る。hanpoは、生きづらさについて考え、発信しているフリーペーパーとウェブメディアだ。わたしも初期の頃に一度だけ寄稿させてもらったことがある。会場にはテキスト、イラスト、写真などさまざまな手法で、生きづらさや葛藤が表現されていた。その中でとあるイラストがどうしても気になり、作者の方に交渉して、譲ってもらった。本当はお金を出したかったが、受け取ってくれる雰囲気ではなかったので、hanpoの寄付箱にチャリンとした。その足でsoin cafeへと向かい、人に会う。互いの近況を話し、聞く。時々、soinのふたりも話に混ざったりして、楽しい時間だった。

soin cafe のチーズケーキ

夕方:犀の角

楽しい時間もおひらきになり、soin cafeを出る。またしても絶妙に次の予定まで時間が空き、犀の角に戻る。今日は13日。むすびの日でなんかしかのご飯を食べたいと目論むもまだ準備中だった。料理に関しては戦力外。というわけで、カフェスタッフとして出勤していた茶色さんの子どもの面倒を見る。最近、茶色さんの子は言葉が増えたし、きっとこちらの言葉もかなりわかるようになってきたのだと思う。仕事中の茶色さんに抱っこをせがむ彼女に「抱っこ、やぎでもいいか?」と聞くとそばに来て腕を広げた。彼女からの信頼のようなものを感じる。抱き上げて膝に乗せ、彼女にご飯を食べさせる。謎な体勢で自分も食べる。そんなこんなでタイムアップとなり、もう少し彼女といたかったなと後ろ髪ひかれつつ犀の角を後にした。

夜:NABO

『産む気もないのに生理かよ!』で知られるコラムニスト月岡ツキさん主催の「お月見ライティングクラブ」に参加する。初回はもたついているうちに定員で締め切られ、その後もなんやかんや予定が合わず、やっとこ参加。参加者は、エッセイもしくは日記を持ち寄り、それを読み、感想やフィードバックを言葉にし合う会だ。結論から先に書くとめちゃくちゃ楽しくて、楽しすぎたのでこのnoteを書いてるといっても過言ではない。

参加者は月岡さんとNABOスタッフさん以外、はじめましてだった。このクラブに参加するために初めてエッセイを書いたという方もいて、冒頭から尊みがすごいと思った。各々が書いてきたものを回し読みする。「よくぞ、よくぞ、言葉に・・・!」「うわー、もう抱きしめたい」「やばい。涙腺きてる」等々、表現は数多あれど、とかく書かれたもの全てに感動があった。手書きでは言葉が追いつかず、「付箋じゃなくてタイプさせてくれ!」とも思ったりした。もっともっと話したかったし、聞きたかったのだが、気がつけば時計の針は23時を回っていて、こちらもまた名残惜しく、皆それぞれの帰路についた。

来週も参加するのだが、「また参加したい」「何度でも参加したい」、そう思わせてくれる豊かな場だった。一方で、だからこそ、どれくらいの頻度で参加するのがいいのだろうと早くも悩んだ。この豊かでヒリつく時間を一人でも多くの人に参加してほしい、でも、自分も参加し続けたい。たった1回でここまで思わせてくれる場の引力に感服する。楽しく悩ましい。

ちなみに自分の書いたものは、「読みやすくておもしろい」という言葉をたくさんもらった。はじめましてが多い場で「自己紹介」をテーマに書いたものを出すという、ちょっとずるいことをした。でも、ネットや本ではその効力を発揮しない、その場だから成立し、楽しめるというエッセイにはなったと思う。そして楽しんでもらえたかなとも感じる。まあ、やっぱりずるいことしたなとは思うなど。

お月見ライティングクラブに持ち寄ったエッセイ

正直なところ、お月見ライティングクラブについては、「自分の書いたものを読んでほしい/何かを書きたい」というよりも、「自分が選ばない文章を読みたい」という欲求が勝っていて、人の文章を読むためのチケットとしてエッセイを書いた節がある。そんなマインドゆえに手癖で書いてしまった。手癖で書いたものが「読みやすい」という評価を受けるのは嬉しいことでありつつも、心のどこかで「ああ、やっぱり」と小さな落胆があった。わたしの書いたものは、おおむね「読みやすい」と評される。もちろん、読みやすさは大事だ。参加者の方も「自分は読むのが遅いのだけど、やぎさんのエッセイはするする読めた。読みやすかった」と言ってくれた。それは嬉しい。嬉しいのだけど、やっぱりざらつく。この辺はまだ言葉にならない。じっくり考える。

帰りがけに、NABOスタッフさんと月岡さんと「脱手癖」という話をした。その場では、「読みにくい文章」と「脱手癖」を混ぜてしまったけど、これらは分けたほうがいい気がする。まずは手癖をやめてみたい。その上で「読みやすい」と「読みにくい」を研究したい。次のクラブでは何を書こうか。手癖ではない文章を書いて持っていきたい。

おやすみなさい、良い夜を

そんな一日だった。自分のための予定をこれでもかと詰め込んでみた。それだけでこんなにも「思いがけず」と「広がる」が満ち、あるいは交互に顔を出す、ソワソワ、わさわさ、浮き足立つ、そんな感じになんとも表現しづらい日になるとは。楽しかった。楽しかったを言葉にするのはあまり好きじゃないけど、やはりとても楽しい一日だったのだ。胸いっぱいになりながらベッドに入って静かに眠った。おやすみなさい、良い夜を。

(余談だけど、Gokalabに出店していたkasa but aさんに「やぎちゃん、最近note書いてる?」と言ってもらえたのも、このnoteを書こうと思ったきっかけの一つ。ありがとう。)

(余談、そのに。このnoteを書いてる途中で、東御市にある問-tou-に出かけたら、入り口の本棚に面で『植田正治の世界』が置かれていた。もはやこれは買うしかない。タイムリーすぎる。と、購入した。)

植田正治の世界/平凡社

いいなと思ったら応援しよう!