【2025年版】65歳からの社会保険・税金完全ガイド|年金繰下げで損する前に知っておくべき基礎知識
こんにちは。ふぁじーです。
元・製造業労組副委員長、現役独立系FPの私がお送りする「老後の資金を考える」シリーズ。今回は65歳からの社会保険と税金。
「年金を繰り下げれば得」「65歳から医療費は1割」
…それ、思い込みかもしれません。老後の制度は、知っているかどうかで“何十万円”もの差が出る時代。このガイドでは、65歳から変わる社会保障・税金の仕組みを図解と数字で徹底解説します。制度を正しく知って、「損しない老後」を始めましょう。
📋 この記事でわかること
65歳から変わる社会保障制度の全体像
年金繰下げのメリット・デメリットの真実
知らないと損する医療費・介護費の仕組み
次回記事「年金繰下げで損する事例」につながる重要な基礎知識
✨ はじめに:老後の「見えない負担」に要注意
65歳になると、年金の受給が始まり、医療費の自己負担も軽減される──
そう思って安心していませんか?
しかし現実には、年金が増えれば増えるほど、税金や社会保険料、医療費負担もじわじわ増える仕組みになっています。
知らずに繰り下げを選んだ結果、「手取りが思ったほど増えない」「逆に損をした」という人も少なくありません。
この記事では、そんな“見えない負担”の仕組みをわかりやすく整理し、「損しないために必要な基礎知識」をお届けします。
なぜこの記事を読む必要があるのか?
多くの方が以下のような思い込みで判断してしまい、後で後悔しています:
❌ よくある勘違い
年金を繰り下げれば必ず得になる
65歳になれば医療費は一律1割負担
年金だけの生活なら税金はかからない
✅ 実際の現実
年金が増えると社会保険料や税金も増える
医療費負担は所得によって1~3割と大きく変わる
年金収入でも課税対象になることが多い
🔰 【前半】初心者向け:まずはこれだけ知っておこう
💡 65歳からの変化:5つの重要ポイント
1️⃣ 年金がもらえるようになる
結論:月約7万円の基礎年金+厚生年金
国民年金(基礎年金):月6万9,308円(満額の場合)
厚生年金:人によって違う(会社員だった期間と給料で決まる)
夫婦2人の標準例:月約23万円
簡単チェック
40年間きちんと払った→満額もらえる
払ってない期間がある→減る
会社員だった→基礎年金+厚生年金
📧 【重要】まずはあなたの年金額を確認しましょう
老後の計画を立てる前に、実際にあなたがもらえる年金額を正確に知ることが大切です。
年金額の確認方法
ねんきん定期便:毎年誕生月に日本年金機構から送付される通知書
現在の加入状況と年金見込額が記載
50歳以上の方は将来の年金見込額も表示
ねんきんネット:インターネットで24時間いつでも確認可能
年金記録の確認・訂正申請
将来の年金見込額の試算
繰下げ受給や繰上げ受給の試算も可能
今すぐできること
ねんきん定期便が手元にある方→記載内容を確認
ねんきんネットに未登録の方→ねんきんネットで新規登録
年金記録に不明な点がある方→年金事務所で相談
💡 なぜ確認が必要?
記事で紹介する制度の影響は、あなたの実際の年金額によって大きく変わります。「月約7万円」はあくまで満額の例です。実際の年金額を知ることで、より正確な老後設計ができます。
2️⃣ 病院代が安くなる
結論:1割負担が基本(お金持ちは3割)
普通の人:病院代1割負担
年収が多い人:3割負担のまま
75歳になると:みんな後期高齢者医療保険に入る
簡単チェック
年金だけで生活→1割負担
年金+働いて高収入→3割負担
3️⃣ 介護保険料を払う
結論:月約6,000円を年金から天引き
65歳から自動的に介護保険料を払う
年金から勝手に引かれる
介護サービスを使うときは1割負担
4️⃣ 働いても保険料がかかる
結論:年金をもらいながら働くと保険料+税金
厚生年金保険料:70歳まで払う
健康保険料:75歳まで払う
雇用保険料:払わなくてOK
5️⃣ 年金にも税金がかかる
結論:年金年額110万円を超えると税金がかかる
110万円以下:税金なし
110万円超:超えた分に税金
年金が多いほど税金も多い
⚠️ 年金繰下げの基本:得するか損するか
年金繰下げとは?
65歳でもらわず、後でもらうと増える制度

💡 繰下げの「落とし穴」
年金が増えると、引かれるお金も増える!
税金が増える
健康保険料が増える
介護保険料が増える
病院代の負担が1割→3割になることも
例:月5万円年金が増えた場合
年金増加:+60万円
各種負担増:-26万円
実際の手取り増:+34万円
📊 あなたは繰下げして大丈夫?簡単チェック
以下に当てはまる人は要注意:
□ 他にも収入がある(不動産など)
□ 病院によく行く(年20万円以上)
□ 夫婦ともに年金が多い
□ 長生きする自信がない
3つ以上当てはまる方 → 繰下げしない方が良いかも
🎓 【後半】詳細版:制度をしっかり理解したい方向け
🔍 年金制度の詳細解説
老齢基礎年金(国民年金)の詳細
制度の概要
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する制度です。満額を受け取るには40年間(480月)の加入が必要で、加入期間が短いと減額されます。
2025年度の給付額
満額:年間83万1,700円(月額6万9,308円)
昭和31年4月1日以前生まれ:年間82万9,300円(月額6万9,108円)
受給要件:10年以上の加入期間が必要(2017年改正前は25年)
減額の計算方法
計算式:加入月数÷480月×満額
例:加入期間35年の場合
420月÷480月×83万1,700円=約72万7,738円(月額約6万円)
💡 年金記録の確認ポイント
国民年金の未納期間があると満額もらえません
学生時代の特例措置や免除期間の記録も確認
転職回数が多い方は厚生年金の加入記録に漏れがないかチェック
老齢厚生年金の詳細
制度の概要 厚生年金は、会社員や公務員が加入する制度で、基礎年金に上乗せして支給されます。「報酬比例部分」と呼ばれ、現役時代の給与と加入期間によって金額が決まります。
給付額の計算
計算方法:平均標準報酬額×乗率×加入期間
夫婦2人分の標準的な年金額:月額23万2,784円(2025年度)
夫:40年間厚生年金加入、妻:40年間国民年金加入のモデル世帯
最低加入期間:1ヶ月でも加入すれば受給権が発生
🔍 あなたの厚生年金額を知る方法 ねんきんネットで確認できる情報:
勤務先ごとの加入期間と標準報酬月額
賞与の記録(標準賞与額)
将来の年金見込額(現在の加入状況が続いた場合)
様々な条件での試算結果
🏥 医療費負担制度の詳細
前期高齢者医療制度(65歳~74歳)
制度の仕組み
国民健康保険または被用者保険に加入し続けます。年齢と所得によって自己負担割合が決まります。
負担割合の判定基準
1割負担の条件:世帯全員が住民税非課税、または一定所得以下
3割負担(現役並み所得)の条件:
単身世帯:年収383万円以上
夫婦世帯:年収520万円以上
後期高齢者医療制度(75歳以降)
制度の仕組み 全員が後期高齢者医療保険に加入します。保険料は都道府県単位で設定されます。
負担割合の詳細
1割負担:年金収入168万円未満など
2割負担:年金収入168万円以上383万円未満(2022年10月から新設)
3割負担:年金収入383万円以上(現役並み所得)
重要な注意点 医療費負担割合の判定は「世帯単位」で行われるため、配偶者の所得も影響します。また、年金を繰り下げて収入が増えると負担割合が上がる可能性があります。
🚑 介護保険制度の詳細
65歳からの変化
第1号被保険者への移行
65歳以上の全員が対象
保険料の決まり方:市町村が3年ごとに設定、所得に応じて段階的に設定
全国平均保険料:月額約6,200円(2024-2026年度)
地域差:最高額(大阪市)約9,300円、最低額(北海道音威子府村)約3,000円
介護保険料の負担段階
標準的な自治体の例

介護サービス利用時の自己負担
1割負担:合計所得金額160万円未満
2割負担:合計所得金額160万円以上220万円未満
3割負担:合計所得金額220万円以上
重要ポイント 介護保険料は年金から天引き(特別徴収)されるため、年金額が増えると介護保険料も自動的に増額されます。
💼 65歳以降の就労と社会保険の詳細
社会保険料の詳細
雇用保険
保険料:免除(64歳以降は徴収されない)
失業給付:65歳以降の離職者は「高年齢求職者給付金」(一時金)
厚生年金保険
加入期間:70歳まで強制加入
保険料率:18.3%(労使折半で各9.15%)
在職老齢年金:給与と年金の合計が51万円を超えると年金が減額
70歳以降:保険料負担なし、ただし在職老齢年金の調整は継続
健康保険
国民健康保険:75歳まで加入
被用者保険:75歳まで加入可能
後期高齢者医療保険:75歳から全員加入
具体的な負担例
月給20万円で働く場合(65歳)
厚生年金保険料:18,300円(月額)
健康保険料:約10,000円(月額、協会けんぽの場合)
雇用保険料:0円
合計:約28,300円の社会保険料負担
⚠️注意点
年金をもらいながら働く場合、「在職老齢年金」により年金が減額される可能性があります。また、70歳以降も働く場合は厚生年金保険料は不要ですが、健康保険料は75歳まで必要です。
💰 税金制度の詳細
公的年金等控除の仕組み
2025年度の控除額

税額の具体例
年金収入と税額の例

iDeCoや企業年金受給時の注意点
年金形式:雑所得として公的年金と合算して課税
一時金形式:退職所得として分離課税(税負担が軽い)
併給の場合:公的年金等控除の枠を使い切ると、iDeCoが全額課税対象に
💡重要ポイント
年金を繰り下げて受給額が増えると、税率が上がって手取り額の増加幅が縮小する場合があります。また、配偶者控除や医療費控除なども影響するため、総合的な検討が必要です。
🎯 年金繰下げ制度の詳細分析
繰下げ受給制度の仕組み
制度の概要
65歳で受給開始せず、66歳以降75歳までの間に受給を開始することで、1ヶ月当たり0.7%ずつ年金額が増額される制度です。
増額率の計算方法
計算式:0.7% × 繰下げ月数
1年繰下げ:0.7% × 12ヶ月 = 8.4%増
5年繰下げ:0.7% × 60ヶ月 = 42%増
10年繰下げ:0.7% × 120ヶ月 = 84%増
繰下げによる年金額の変化(詳細)

繰下げ受給の詳細分析
メリットの詳細
生涯受給額の増加:長生きするほど総受給額が増える
インフレ対応:物価上昇に応じて年金額も調整される
働きながらの受給:65歳以降も働き続ける場合に有利
デメリットの詳細
早期死亡リスク:平均寿命より短命だと総受給額が減る
税・社会保険料の負担増:年金額増加に伴い各種負担も増加
機会損失:受給しない期間の年金を運用していれば得られた利益
損益分岐点の詳細分析
70歳まで繰下げ:約82歳以降に総受給額で逆転
75歳まで繰下げ:約92歳以降に総受給額で逆転
ただし:税金や社会保険料の負担増を考慮すると、実際の損益分岐点はさらに高くなる
📊 ねんきんネットの繰下げ試算機能を活用しよう
ねんきんネットでは、あなたの実際の年金額に基づいて:
繰下げ受給した場合の年金額
繰上げ受給した場合の年金額
詳細な試算結果をPDFでダウンロード
これらの機能を使って、理論ではなく実際の数字で検討できます。
⚠️ 繰下げ受給の「見えないリスク」詳細
負担増の具体的な仕組み
年金収入が増えると連動して増加するもの
所得税・住民税:累進税率により負担率が上昇
国民健康保険料(または後期高齢者医療保険料):所得割で計算
介護保険料:所得段階に応じて負担額が決定
医療費・介護費の自己負担割合:所得水準により1割→2割→3割と上昇
実際の負担増の詳細計算
年金を月5万円増やした場合の追加負担の試算

実質手取り増加額
年金増加:+60万円
各種負担増:-26万円
実際の手取り増:+34万円
📊 繰下げ判断のためのチェックリスト(詳細版)
繰下げに不向きな方の特徴
高リスク要因
□ 年金以外に不動産収入がある
□ iDeCoや企業年金の受給も予定している
□ 医療費が年間20万円以上かかっている
□ 配偶者の年金額も多い(世帯収入が高い)
□ 平均寿命(男性81歳、女性87歳)より短い可能性がある
□ 現在の健康状態に不安がある
□ 早期にまとまった資金が必要
繰下げに向いている方の特徴
低リスク要因
□ 年金以外の収入がほとんどない
□ 健康状態が良好で長生きの可能性が高い
□ 65歳以降も働き続ける予定
□ 当面の生活費に余裕がある
□ 配偶者の年金額が少ない
□ 医療費負担が少ない
3つ以上該当する方へのアドバイス
高リスク要因に該当する場合 繰下げ受給よりも、以下の方法を検討することをお勧めします:
65歳から年金を受給し、余剰分を運用
医療費控除などの節税対策を活用
介護予防に投資して将来の負担を軽減
iDeCoの受給方法を最適化
🔮 次回記事予告
「年金繰下げで損した事例」から学ぶ対策法
次回は、以下の内容を具体的な事例とともに解説します:
📝 予定内容
年金繰下げで実際に損をした3つの事例
負担増を事前に計算する方法
損を避けるための5つの対策
家計シミュレーションツールの使い方
🎯 こんな方におすすめ
繰下げ受給を検討中の方
既に繰下げしていて不安な方
FPとして顧客にアドバイスをする方
📚 まとめ:賢い老後準備のために
今回の重要ポイント
65歳からの社会保障は複雑:単純に「年金が増える=得」ではない
見えない負担に注意:税金、社会保険料、医療・介護費の負担増
個別の状況で判断:一般論ではなく、自分の状況に合わせた選択が重要
行動すべきこと
自分の年金見込額を「ねんきんネット」で確認
ねんきん定期便で年金記録に漏れや誤りがないかチェック
現在の医療費・介護費を把握
ねんきんネットの繰下げ試算機能で実際の数字を確認
次回記事で紹介するシミュレーション方法を習得
🔚最後に
老後の生活設計は、正しい知識に基づいた判断が何より大切です。「なんとなく」や「周りがそうしているから」という理由で重要な決断をせず、まずはご自身の正確な年金額を把握することから始めましょう。ねんきん定期便やねんきんネットを活用して、実際の数字に基づいた検討を行ってください。
次回の記事では、今回の基礎知識を踏まえて、具体的な「損する事例」とその対策を詳しく解説します。ぜひお楽しみに。
📖 参考資料・関連リンク
⚖️ 免責事項
本記事は2025年6月時点の制度に基づいて作成しています。
制度改正により内容が変更される可能性があります。
実際の手続きや判断については、年金事務所やファイナンシャルプランナー等の専門家にご相談ください。
個別の状況により最適な選択は異なりますので、記事内容を参考に、ご自身の状況に合わせてご判断ください。
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