小説|雪のように儚く(仮)|第2話|第三の目
こんばんは
fuwamaru-studioです🤗
これまでの話↓
【第2話】
* * *
気を失っていたのは、ほんの数十秒くらいだったと思います。
気がつくと、目の前は真っ暗になっていました。
意識はあるのに、何も見えない。
瞼を閉じたまま、目が開けられずにいるような、不思議な感覚です。
さっきまで聞こえていた時計の針の音も、もう聞こえません。
ただ、真っ暗な中に、私だけが取り残されているようでした。
その時です。
誰かの手が、私の額に触れました。
誰……?
そう思った次の瞬間、
誰かの手が私の額を左右に引っ張り、まるでポケットティッシュをそっと押し開く感じで、私の額が縦に開いたのです。
すると――
真っ暗だったはずの目の前に、突然、眩しい光が差し込みました。
けれど、それは目で見ている景色ではありません。
閉じた瞼の向こうではなく、
開いた額から、景色が見えているのです。
何が起きているのか分かりませんでした。
ただ、その眩しい景色の中に、誰かがいる。
ぼんやりとした人影が、少しずつ見えてきました。
見間違えるはずがありません。
妹の鈴でした。
「鈴……?」
呼びかけようとした、その時です。
鈴の声が聞こえました。
とても小さく、震えるような声でした。
「お姉ちゃん、こわいよ。。。」
「こわい、たすけて。。。」
かすれるような、微かな泣き声が聞こえてきました。
「鈴……?」
どうして鈴がここにいるの?
今、鈴は山の叔父さんのところにいるはずです。
声をかけようとしても、身体は動きません。
ただ、額から見える鈴の姿だけが、少しずつ近づいてきます。
そして――
妹が、私の額を押し広げるようにして、体の中に入って来たのです。
「鈴……?」
ガバッと起き上がりました。
目の前には、いつもの自分の部屋。
電気はついたままです。
机の上には、さっきまで勉強していた参考書が開かれていました。
辺りを見回しても、誰もいません。
部屋にいるのは、私一人だけ。
額に手を当ててみました。
何も変わったところはありません。
さっきまで見えていた眩しい景色も、
鈴の姿も、
あの泣き声も――
もう、どこにもありませんでした。
今のは、一体何だったんだろう……。
あまりにも不思議な出来事に、言いようのない胸騒ぎを感じました。
けれど、受験勉強で疲れが溜まっているのかもしれない。
きっと、変な夢でも見たんだ。
そう思うことにして、その日は就寝しました。
つづく
次回 第3話「雪山からの知らせ」
