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【何をやってもうまくいかない】なんて日だ!

「なんて日だ!」

小峠氏の叫びを、これほどまでに解像度高く、自分事として発した日がかつてあっただろうか。

人生には、歯車が噛み合わないどころか、歯車そのものが物理的に溶けて消失したような日がある。今日、私は世界から「本日、お前の居場所はない」と全方位的にシャットアウトされた。

この不運の数々を、ただの「愚痴」で終わらせるのはクリエイターの敗北である。これは、神様が私を主役にして撮り上げた「B級コメディ映画」の記録だ。

1. 全ての始まりは朝から

すべては、朝起きられなかったことから始まった。
前夜の私は、それはもう高潔な理想を掲げていた。「朝日と共に目覚め、白湯を飲み、軽やかに活動を開始する」。
しかし、現実の私はどうだ。泥のように眠り、網膜に突き刺さる昼近い太陽光でようやく覚醒した。この瞬間、私の「丁寧な暮らし」は「泥のような停滞」へと格下げされた。

2. 往復2時間の「パンの香りすらしない」旅

家から少し離れたところに、今SNSで評判のパン屋がある。
そこへ向かうため、私は40分電車に揺られ、駅から20分歩いてようやくたどり着いた。脳内はすでに焼きたての小麦の香りで満たされ、私の胃袋は歓喜のスタンディングオベーションを捧げていた。

だが、店の前に到着した私の目に飛び込んできたのは、無慈悲なホワイトボードだった。

「本日はパンの販売はありません。」

……パン屋がパンを売らない。それはもはや、ただの「小麦粉を保管している建物」ではないか。
店員は、続けてこう言った。

「次の販売は5日後ですね。」

一時間の移動は、ただの「有酸素運動」に終わった。私は、何も入っていない空の胃袋を抱え、また歩き始めた。

3. 「売り切れ」が連鎖する

パンがダメなら、せめて重厚な肉を。
次に狙いを定めたのは、キューバサンドが有名な店だ。映画『シェフ』を彷彿とさせる、あのチーズがとろけるサンドイッチを頬張れば、パン屋の傷は癒えるはずだった。ここのお店も地域雑誌に取り上げられるほど有名なお店だ。

しかし、メニューを指差した私の前に、またしても「彼」が現れた。

「すみません、キューバサンドが売り切れちゃって……」

なぜだ。なぜピンポイントで「それ」なのか。店にある他のメニューには目もくれず、私が欲した一点だけを、運命は事前に買い占めていったらしい。
私はその周辺で探すことを諦め、別の駅に移動した。

4. 頼みのナポリタン

今度は渋そうな喫茶店を見つけた。マスターが自ら焙煎し、次々と客がやってくる。満席で断られるお客もいる中、幸運にも待ち時間なしで広めのソファー席に座れた。流石にツキが向いてきたとおもった。
それでも、不運の神は私を追いかけてきた。

「ブレンドコーヒーとナポリタンを」

「申し訳ありません、パスタはちょうど売り切れてしまいまして」

もはや、私の前世はパスタを絶滅させた戦犯か何かなのか。代わりに頼んだピザトーストとコーヒーの苦味が、私の枯れ果てた心に染み渡る。

先ほどの喫茶店を後にすると時刻は4時を過ぎていた。お昼を食べにきたはずなのに。
そんなことを言っても時間は巻き戻らないので、夜の予定に向かうことにした。

5. 最後までツいてない

一日の締めくくり。
夜は元々の予定があり、妻と友人と、東京ドームホテルの43階で夜景を見ながらのディナーだ。
美味しい食事をして、今日一日の喜劇を笑い飛ばす。それが、私の最後の防衛ラインだった。

しかし、水道橋駅に向かう駅のホームで私を待っていたのは、無機質な電光掲示板の「運転見合わせ」の文字だった。

人身事故。動かない電車。
よりによって私の住んでいる駅の真隣の駅で事故が発生した。帰宅ラッシュの時間帯に復帰見通しなしのアナウンスが流れるとタクシーとバス乗り場に人が流れ込み、駅周辺は人でごった返した。

当然友人との約束には大幅に遅れ、最後の最後まで「なんて日だ!」と叫びたくなる日だった

私はようやく悟った。
「これほどまでに世界に嫌われるなら、いっそ清々しい。私は今、地球上で最も『予定通りにいかない』という奇跡を体現している選ばれし者なのだ」と。

結局、ホテルに着いたのはメインディッシュが下げられる頃だった。
友人には笑われ、私は43階の絶景を眺めながら冷めたスープを啜った。地上を見下ろすと、あんなに私を苦しめた電車が、何事もなかったかのように光の列を作って走り始めていた。

なんて日だ。いや、最高のネタをありがとう、神様。

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