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『眠りの森の植木屋さん』おまけ 書ききれなかったエピソード、いただいた感想まとめ など

おまけ目次


『眠りの森の植木屋さん』裏話


ラスト三話を凝縮せざるをえなかった件

 『眠りの森の植木屋さん』は、序章と十二話で構成されていますが、第十話まで書き上げた時点では、残り三話と終章まで書く予定でした。
 仕事もあらかじめ前倒しして時間を作り、残りのお話を短期間で集中して書き上げる準備も整っていた、そのまさかのタイミングで、何と実家の方で不幸が起こりまして。
 平たい話が、私の母親が急逝したのです。
 今、ここを読んでいる優しい皆様に気を遣わせてしまった事でしょうが、ご心配には及びません。
 母の事は、思っていたより早いお別れにはなりましたが、かれこれ二十年近く難病で苦労している姿を見てきたので、最後まで頑張ったね、という気持ちで送り出せました。
 とは言え、物理的な時間がそこに必要となり、また精神的・肉体的な疲労も伴いつつ、なぜか自宅のWi-Fiの調子まで悪くなり、とどめに、葬儀の翌日から私は夏風邪をひく始末。
 葬儀が終わった時点で、創作大賞の締め切りまでは十日足らず。土日祝は子ども(小二の双子姉妹)と過ごすので、実質七日足らずですよ。そして発熱中とは言え、必要最低限の家事と育児はこなさなければならない。子育てのパートナーである夫だって、突然の葬儀の影響で仕事が溜まっているのだから。
 神は、私に創作大賞への参加を諦めろとおっしゃった。
 しかし私は意外と逆境に燃えるタイプでして、発熱した身では葬儀後のアレコレに出歩く事もかなわないのを逆手に取って時間を確保し、スマホのテザリングでパソコンをネットにつなげ、咳き込みながらも超特急で仕上げるという選択をしました。
 しかしこれは、苦渋の決断でもありました。
 この状況で残り三話+終章はさすがに無理だと判断し、泣く泣く、ぎゅっと縮めて二話に凝縮する事にしたのです。
 そのため、消化不良になってしまったメッセージ、お蔵入りになったエピソード、回収できなかった伏線などなどがあり、また、凝縮した事とは無関係に話の流れなどの都合上カットしたエピソードもありますので、そのあたりを「おまけ」としてまとめさせていただきます。


本当は書き上げたかったメッセージ

 『眠りの森の植木屋さん』は、これまでただ書きたいものを書き散らかしてきた私にしては珍しく、きちんとメッセージを含んだ物語です。それも、複数のメッセージを。皆さんの心に届いたかは分かりませんが、私はそのつもりで書きました。
 しかし、ラストを凝縮した事で中途半端になってしまい、最後まで書き上げる事が出来なかったメッセージがあります。

 それは、結局の所、人生は配られたカードで勝負するしか無いんだよ、という、スヌーピーの名言にあるアレです。
 これは、高虎のように境遇を嘆く前に自分で切り拓いていこうという事でもありますが、それと同時に、何かのせいにするのは自由だけど、自分の持ってるカードに気付かないと人生がもったいないよ、という事を伝えたかったのです。
 あくまでネットに毒されている私の視点からですが、コロナ禍後半あたりからですかね、この今の日本の状況を、『自分の人生がより良くなる努力を放棄するための言い訳の道具』として使っている人が急激に増えたなぁと感じていまして。
 第一話に出てきた老舗旅館の元女将は、今の若い人は孤独で辛いと言いましたが、彼女の生まれ育った背景はもちろん激動の時代であり、そして更に彼女の親の世代となると、青春も家庭も全て戦争で台無しにされています。
 日本は貧しい国になったと言われていますが、私は娘達を産む前、この目で見てきました。東南アジアのあちこちに居る、物乞いの子ども達を。カンボジアでは、おそらく地雷でやられたのであろう片足の無い人達を。ベトナムでは、枯葉剤の影響らしい脊椎の曲がった母親と、その母親と一緒に露店を出している少年を。
 日本人の平均よりずっと貧しいはずの彼・彼女達は、皆、見ているこちらがハッとさせられるような笑顔でした。
 もちろん、彼らが現代日本人の知らない苦労を経験しているのと同時、私達の方もまた、彼らの知らない苦労を経験しているのだと思います。苦労の質や種類は様々で、我々日本人が楽をしているなんて事を言いたいわけでは決してありません。
 極論、生きていく事は戦いで、ある意味いつだって戦時中なんだと私は思っています。そんな人生に幸せを見出せるかは、その人次第。どうせ生きていくなら、笑顔で過ごした者の勝ちじゃないか。
 さぁ、不満ばかり言ってないで笑って過ごそうぜ、と。自戒も込めつつ。


回収できなかった伏線 その1:スマホ強盗

その母親と至近距離のまま、気まずい気分でスマホに視線を落としたが、目に入って来るのは息の詰まるようなニュースばかり。

 増税に次ぐ増税、高齢ドライバーの巻きこみ事故、出生率がまたもや過去最低を更新ーーーーー

第3話より

 第三話のこのシーン、ニュースが並んでいる部分は、実は公開当時はこうでした。

 増税に次ぐ増税、高齢ドライバーの巻きこみ事故、出生率がまたもや過去最低を更新、外国人犯罪グループによるスマホの強盗事件が相次ぐーー

修正前

 この一文、実は『スマホの盗難にあったおばあちゃんを高虎が助ける』というエピソードの伏線にするつもりでした。
 最終話の公園の告白シーンは、本来ならこのエピソードを経て、下手をすれば大怪我をしかねなかった高虎に対して花が激昂しつつも、「そんなあなただから好きです」という言葉を口にし、高虎が「(告白は)自分の方からさせて欲しかった」と笑う。
 そんな流れになるはずだったのですが、丸々一話かかる内容だったので泣く泣くカットし、第三話のこの伏線もこっそり修正しました。


回収できなかった伏線 その2:銀ちゃんが藤崎さんにこだわったわけ=花をリフトできるできないでモメたわけ=千早が姉や妹では無く異性である点

 バレエ大好き人間の銀ちゃんは、千早という存在が同性の姉妹では無く異性である事に対して、「花は最高のパ・ド・ドゥ(男女ペアの踊り)の相手が欲しかったんだ」と思い込んでいます。
 また、花がバレエをやめてしまった事もあり、七つも年下の自分ではそれは務まらなかったと、銀ちゃんなりの複雑な思いも抱えています。
 そのため、花にとって最高のパ・ド・ドゥの相手となったであろう、世界的なバレエダンサーである藤崎さんと幸せになって欲しいと、変なこだわりを持ち続けていたのでした。
 そしてこれは、第六話で「花をリフトできるできない」で高虎とモメた部分にも繋がり、更には前述のスマホ強盗のシーンで回収する予定でしたが、断念。
 ちなみに、千早が異性である本当の理由は(作者である私としては)特に考えていなかったのですが、おそらく、同性の姉妹ではバレエのライバルになってしまうので、花がより安らぎを求めた結果そうなったのだろうと思います。


回収できなかった伏線 その3:銀ちゃんの美しさが役に立つ

 前述のスマホ強盗シーンにて、犯人の逮捕につながる一環で、銀ちゃんの「人の心を魅了するほどの美しさ」が活躍するエピソードを入れるつもりでした。
 結局、ただの空気が読めない美青年で終わってしまい、ちょっと残念です。
 銀ちゃん、作者としては書きやすくて好きなんですよ。あずみちゃんも柳川も、よく動いてくれました。多分、この三人の『発達に難がありそうなところ』が私に似ているからだと思います。
 高虎はその真逆で、全く動いてくれず、泣きたいくらい書きにくかった。苦労人で地に足が着いた性格で、なのに陽キャのコミュ強という、全てが私と真逆の男。想像力だけを頼りに、何とか絞り出して書きましたよ。私との共通点は学歴コンプくらいかな。
(私はおバカ高校を経ての専門卒。私の姉達は努力家の上に知能が高いため、割とコンプレックスです)


回収できなかった伏線 その4:あずみちゃんの子ども

 あずみちゃんの離婚理由についてはいくつか案があり、私の中でも定まっていないのですが、子どもとは没交渉の状態です。
 ラスト近くに、「子どもの方が母親(あずみちゃん)に会いたがっている」という事が分かるシーンを入れるつもりでした。


その他、書ききれなかったお話

・花の確定申告が期限ギリギリになり、高虎がそれを手伝いつつ「そうだ、アイツが居るじゃん!!」と、税理士の柳川を頼るシーン。
・美少女時代のあずみちゃんのエピソード。なぜ彼女は太ったのか。
・花の母親登場。その流れからの、高虎が自分の学歴が理由で交際を反対されるかもと心配するが、花は「安心して下さい。あの人にとって人間は、踊れるか踊れないかの二種類しか存在しません」と断言。
・元恋人の赤間が本当に花のストーカーになっていたルート。

……などなど。



いただいた感想まとめ

 X(旧Twitter)上でいただいた感想リプライは、Xの性質上次々と流れていってしまうため、ご本人方の了承を得た上でスクリーンショットにてまとめさせていただきました。
 本来なら全ての感想を紹介させていただきたいところですが、ボリュームの関係で一部抜粋といたします。
 また、noteでいただいた感想文は、小説本文の記事にも貼らせていただいているのですが、改めてこちらでまとめさせていただきます。



ケチャコさん


なりたりえさん


かずちかさん


山もりさん


おったろうさん(noteの感想文もいただきました)


こてっちゃん


Rimさん


花哉さん


何と、『眠りの森の植木屋さん』の
声優を考えて下さった読者さんも

あでりっさん


noteでいただいた感想文はこちら


 感想を下さった皆様も、ここをお読みいただいた皆様も、本当にありがとうございました!!
 こうして皆様にお読みいただく事で、私の小説は完成されます。

2025.7.某日
ふたごやうめじんたん




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