11年目の相棒、引退。
10分前まで、焼売を温めていた。
今、その焼売をおいしく食べている。
子どもが「もっとー!」と言うので、追加でもう一度温めようとした。 その瞬間だった。
「ピピピー!」
聞いたことのない音が鳴り、見慣れないエラー表示が現れた。
11年近く、主人よりも長い時間を一緒に過ごしてきたオーブンレンジが、静かに役目を終えた。
しばらく言葉が出なかった。
コンセントを抜いて、少し待ってからもう一度差し込む。
「あたため」を押す。
……やっぱり同じだった。
「はぁ……」
大きなため息が出た。
半年前には洗濯機が壊れた。
今月は車検にまとまった額を使ったばかり。
そして今度はオーブンレンジ。
タイミングというものは、どうしてこう重なるのだろう。
でも、レンジのない生活は想像できない。
週末には買いに行くしかない。
FPの勉強をして、お金について学んできた。
だからこそ、毎月の生活費や教育費、老後資金のことは考えている。
とはいえ、こういう出費はいつも突然やってくる。
家電にも寿命がある。
「そのうち」ではなく、「いつかは必ず」と思って備えておく必要があるのかもしれない。
店頭では、ビストロにも心が揺れた。
でも、使い方を一から覚えるのも大変そうだし、調べてみると、トーストも思ったほど劇的に速くなるわけではない。
結局、新しい相棒もヘルシオになった。
選んだのは、最新モデルではなく、一つ前の型落ち品。
6月に最新モデルが発売され、旧型はほぼ半額まで値下がりしていたからだ。
型落ちを選べたのは、少しだけ救いだった。
それでも、予定していなかった出費であることに変わりはない。
そんな買い物ではあったけれど、一つだけうれしい発見があった。
温めが終わると、
「あたたまりました。」
と、かわいい声で教えてくれる。
最近のレンジって、しゃべるんだ。
11年という時間は、思っていた以上に長かったらしい。
少しだけ家計は痛かったけれど、今日もその声を聞くたびに、
なんだか「よろしくね」と返事をしたくなる。
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