終わりの季節

バキ童の童が取れた。それはあまりにもあっさりとした報告だった。
たとえるなら、か弱く小さき者であったはずの雛鳥がいつしか成長し、羽ばたくことを覚え、飛び立っていったような。

超人気アイドルのスキャンダル発覚とも違う、かといってごく私的な義務教育時代の学び舎の卒業式とも違う、言いようのない“別れ”をあらわした当日の気持ちが、まだうっすらと脳内に漂っている。


報告動画を観ながらコメント欄の阿鼻叫喚ぶりを眺めていたら、自然と目から涙が溢れ、静かに流れていった。
これまで長い間秘められていた、国宝級の貴重な伝説の宝刀が抜刀されたのだ。それだけでも一大事だというのに、その事実を受け止める心の準備が今の自分には備わっていなかった。


エンタメが細分化された令和のこの時代に、たったひとりの生身のヒーローの近況報告によって、ここまで数多くの人々の感情が揺り動かされたことがあっただろうか?
熊の出没も、コメも物価高もいまや驚きがない。バキ童の消失────これこそが2025年最後のビッグニュースなのではないか?


心許せるパートナーと巡り会えたという喜び。
陽黒は、まだそれを知らないでいる。


愛する者のペニスをこの手で握りたい。