衣装デザイナーのプライドを捨てて、1,500円のピアスで「飯抜き」の修行を始めます。
普段、私はフィギュアスケートやダンスの衣装を仕立てる仕事をしています。
数メートル先からでも光り輝くストーン、氷の上で舞うような裁断。
ー着=数万円という世界で、「一点物の美しさ」を追求してきました。
しかし今日、私はその肩書きを一度、横に置くことにしました。
1,500円のピアスを、自分の力で「届ける」という泥臭い修行を始めるためです。
1年以上、放置していた自分の「甘え」
実は、数年前から自分の審美眼で買い付けていたピアスがありました。
「衣装デザイナーが選ぶ、日常の輝き」 コンセプトは立派でしたが、結果は惨敗。
というか、惨敗ですらありません。
「良いものなら、いつか誰かが見つけるだろう」 そう高を括って、私はショップを1年以上も放置していたのです。
デザイナーとしてのプライドが、 「泥臭く売る努力」や「お客様に届ける工夫」から、私を逃げさせていました。
目を覚まさせてくれた、一通の注文
そんな死んだも同然のショップに、先日、一通の注文が入りました。 動揺しました。
慌てて発送の準備をし、遅れてしまったお詫びのメッセージを送りました。
返ってきたのは、拍子抜けするほど温かい言葉でした。
その時、猛烈な情熱と同時に、情けなさがこみ上げてきました。
自分は「作る」ことに満足して、プロとして一番大切な「届ける」努力を、一人のお客様と向き合うことを、完全に放棄していたのではないか。
技術があるのは当たり前。でも、それを必要としている人に届かなければ、存在しないのと同じです。
ミッション:1日1,000円。達成できなければ「翌日の昼飯抜き」
自分を甘やかさないために、一つの過酷なルールを課しました。
「1日1,000円、自分の力で価値を届ける(売る)こと」
「飯抜きなんて、大げさな」 笑われるかもしれません。でも、それくらいの退路を断たなければ、私はまた自分の「技術」という殻に閉じこもってしまう。
職人の「一番小さな仕事」を手に取ってみてほしい

私が選んだピアスたちは、どれも私が衣装作りで大切にしている「光」や「質感」そのものです。 1,500円のピアス一つにも、私がジャスミンの衣装やラテンの衣装に注ぐのと同じ情熱を込めて、梱包し、送り出します。
これは、私にとっての「一番小さな仕事」であり、再生のための「名刺」です。
今日から、私の不器用な再出発が始まります。
ショップが動くのか、私が空腹で倒れるのが先か。
もしよろしければ、この泥臭い挑戦を見届けていただければ幸いです。
