「めいだい」「しんだい」問題──大学略称の意外な落とし穴
たとえば「めいだい」と聞いて、みなさんはどの大学を思い浮かべますか。
多くの人がまず「明治大学」と答えるかもしれません。東京の神田駿河台に本部を置く、伝統ある私立大学です。
しかし、名古屋大学の学生にとって「めいだい」といえば当然、自分たちの大学を指します。つまり、同じ略称でもまったく別の大学を思い浮かべるわけです。
このような現象は、大学の略称の世界では決して珍しくありません。
「きんだい」「しんだい」「じんだい」「かんだい」──似すぎた響き
「近畿大学」と「金沢大学」は、どちらも「きんだい」と呼ばれます。
近畿大学は大阪・東大阪に本部を置く大規模な私立大学で、養殖マグロの研究などでも知られています。一方の金沢大学は北陸地方を代表する国立大学です。大学の性格も歴史もまったく違いますが、略称にすると見事にかぶってしまうのです。
次に「神大」。
漢字では同じですが、読み方が異なるのが興味深いところです。「しんだい」と読むのは神戸大学、「じんだい」と読むのは神奈川大学です。関西と関東で読み方まで分かれるというのも、いかにも日本らしい現象だと思います。
ちなみに神奈川大学は「神大(じんだい)」のほかに「神奈大(かなだい)」と呼ばれることもあり、さらに混乱を招く場合があります。ちなみに、プロオーケストラの「神奈川フィル」は地元のファンからは「神奈フィル」と呼ばれています。
また、「かんだい」も全国に複数あります。
関西大学はもちろん「かんだい」ですが、北海道では「函館大学」も「かんだい」と呼ばれることがあります。道内では函館の「函(かん)」をそう読むのが一般的で、地域の言語感覚が略称にも影響しているのです。
地域によって変わる「常識」
略称は、その土地の人々にとっての「共通言語」でもあります。
たとえば大阪で「かんだい」と言えば、関西大学以外の大学を思い浮かべる人はほとんどいません。
しかし関東で同じ言葉を聞くと、「関東学園大学?」「関東学院大学?」と首をかしげる人も多いかもしれません。
東北では「せんだい」といえば「仙台大学」を指しますが、多くの人にとっては「仙台=東北大学」というイメージの方が強いかもしれません。北陸では「りつだい」という略称が「金沢工業大学(旧:金沢理科大学)」と誤認されることもあるそうです。略称がまるで地域の方言のように定着している点がとても興味深いです。
SNS時代の「略称混乱」
近年、この略称問題が再び注目されるようになった背景には、SNSの普及があります。
たとえばX(旧Twitter)で「めいだい合格しました!」と大学名を平仮名で投稿すると、東京の人は「明治大学」、中部地方の人は「名古屋大学」と受け取ります。投稿者がどちらの大学かを明記しない限り、誤解が生まれてしまうのです。
実際、入試シーズンになると「どこの明大?」「国立?私立?」というリプライが飛び交います。略称が地域依存の言葉であることを、SNSが可視化してしまったとも言えます。
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