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『美味しいご飯が炊けました~366日140字の物語~』

1日1つ、140字の物語。
366日分、ぎゅっと詰め込みました。

誕生日、記念日、いつも通りの日。
今日の物語はなんだろう。

ほっこり。
ニッコリ。
ときどきドッキリ。

ほっこり、ニッコリ、ドッキリ、それからわくわくを一言にするなら

「美味しいご飯が炊けました」

どうぞ召し上がれ。
※1日1話、目次から飛ぶことをオススメしています。


1月1日:バツイチ→マルイチ


「最近婚約者と別れたんだよね。25歳で結婚、30歳で離婚。バツイチデビュー」

「そっか。過去は変えられないから未来に向けてあえてポジティブなエールを送るね。おめでとう!バツイチはバツなんかじゃない。マルだよ!マルイチ!なかなか経験出来ない!」

「こんなの初めて。マルイチ……頑張れそう!」


1月2日:小さな幸せ、大きな幸せ


「小さな幸せの積み重ねが大きな幸せになるのです」

道端で1円を拾って思い出す担任の先生の言葉。

1円も100枚拾えば100円。

1億枚拾えば1億円だ。

違うか。

拾ったら警察に届けなければ。

届けよう。

「お?俊平くん?」

「真奈ちゃん?」

交番前で幼馴染と数年ぶりに再会。

1円から始まる大きな幸せへの物語。


1月3日:理想の人


「年上と年下ならどっちがいい?」

「年下かな」

「しっかりしている人とちょっと抜けてる人なら?」

「ちょっと抜けてる人かな」

「朝強い人と朝弱い人だと?」

「朝弱くても気にしないよ」

「なるほど。年下でどこか抜けてる寝坊して出勤する上司が好きなのか」

「恋人じゃなく理想の上司像聞かれてたんか」


1月4日:チンチロ


「レモンサワーのご注文でしたらチンチロゲームがオススメです!」

「サイコロを2つ振る」

「はい!1のゾロ目が出たら無料。足して偶数なら量も値段も2倍、奇数なら半額です」

「無料と半額は魅力的だ」

「ちなみにゾロ目ですが2はコース料理を自動注文。3はお尻バットです」

「店側のやりたい放題だな!」


1月5日:良いとこ探しは300円の得


「良いとこ探しは300円の得って知ってる?」

「早起きは三文の得のパクリ?」

「別!」

「別か」

「人の良いとこを探すと幸運ってことわざで」

「最近生まれたことわざ?」

「上司の気配り力を褒めたら300円相当のコーヒーとパンを奢ってもらった」

「上司ならもっと出しても」

「それ、悪いとこ探しだよ」


1月6日:褒め言葉


「かわいいと言われても心から喜べないことあるよね?」

「あるある。気持ちのない言葉だと思っちゃう」

「やっぱり?お世辞かバカにしてるかと」

「とりあえずかわいいって言っておけばいいみたいな人、男女どっちもいるかも」

「わかるぅ」

「賢いとか面白いって言われたらガチっぽい」

「素直に嬉しい」


1月7日:趣味は何ですか


「趣味は何ですか?」

「特に」

社会人は趣味のない人が多いらしい。私調べ。

趣味のある人は珍しい。私調べ。

テンプレ的に聞く。

「趣味は何ですか?」

「小説を書くことです」

珍しい人。

「あとはボルダリングと」

え。

「それからお酒」

お?

「服や雑貨も作ったりします」

趣味ある人とない人の差が0か100。


1月8日:簡単調理


「自宅で料理を作ったほうが安く済むけど、時間や手間がかかるのは嫌で」

「物価は上がるのに、給料は上がらないから食費は抑えたいよね」

「お金なくなっちゃう」

「ほったらかし調理が楽だよ」

「具材を鍋に入れ込んで待つ的な?」

「料理好きの旦那をほったらかしたら料理が出てくるやつ!」

「最高だね」


1月9日:好きな子と初対面


「この間の話してもいい?」

「どうぞ」

「初体験したことがあって」

「ほうほう」

「好きな子とようやく会えて」

「おぉ!」

「待ち合わせ場所に行ったら入浴してて」

「どんな状況!?」

「全然目を合わせてくれないんだけど、気持ち良さそうなのが可愛くて」

「大丈夫?」

「カピバラがさ」

「カピバラかい!」


1月10日:ペンを1000円で売ってください


「この100円のペンを1000円で僕に売ってください」

「1000円で良いですか?」

「?」

「もっと高く売れたらどうですか?」

「お好きにどうぞ」

「実は私フォロワー10万人のインフルエンサーなので、私が使ったりあんなことやこんなことすれば1万円以上だって余裕です」

「僕には価値がないですね」

「え……」


1月11日:怒られたい


「何やってんだよ!」

ミスをした新卒が怒られている。

遠くから見守る私。辛そうだが羨ましいと思ってしまった。

「今度は気をつけてください」

私くらいの年齢になるとミスをしても怒られるのではなく呆れられる。

本音は隠され、感情は表に出ない。

裏で何か言われているのだろうか。

いっそ、怒られたい。


1月12日:人生、何回目


「よく出来たやつだよな。人生3回目かと思うくらい気配り上手で」

「生まれ変わりなんて夢のまた夢ですよ。ありがたいお言葉ですね」

人生は一回でいい。

ましてや生まれ変わりなんてあり得ない。

そう思っていたときもあった。

記憶が正しければ生まれ変わり16回目を迎えた。

「俺は人生18回目だよ」

「え」


1月13日:ありそうでない


「う……ゔう……は……ぐっ、うは!!あ、おはよ」

「大丈夫?すごくうなされてたみたいだけど」

「なんか、すごい夢を見ていた気がするんだ」

「どんな夢?」

「日常では起こり得ないことだったはず」

「思い出せる?」

「ここまで出そうで」

「待つわ」

「出た!」

「お?」

「牛丼屋で牛丼食べ放題の夢」


1月14日:落ちる


「落ちてたまるか」

大学受験に失敗。浪人して次こそは。

「一緒に頑張ろう!」

家庭教師の先生は23歳の女性。僕の5つ上。

「解けるようになったね!」

先生のおかげで成績は伸びていった。

迎えた2度目の大学受験。

結果は合格。

「やったー!嬉しい!」

先生の眩しい笑顔。

別れが切ない。僕は落ちていた。


1月15日:はちみつ好き


「はちみつ食べたいなぁ」

「いつもはちみつばっかり食べて。ちゃんと運動もするんだよ?」

はちみつが好きな友達の熊田。

「わかったよぉ」

「これあげるね」

「ありがとう。国産かなぁ?」

「いや、違うけど」

「じゃあマヌカハニーかなぁ?」

「でもないね」

「100%ピュアハニーかなぁ?」

「もう返して!」


1月16日:タダみたいなもの


「悩ましい」

「何悩んでるの?」

「好きなアイドルのファンクラブに入るか」

「入ればいいじゃん」

「年会費5000円が壁で」

「月だと400円ちょっとでしょ?」

「そうだけど」

「1日だと13円くらい」

「たしかに」

「タダみたいなものじゃない?」

「むむ」

「1日1000円だと考えちゃうけど」

「タダなら入るか」


1月17日:初めての転職


初めての転職活動。

給与が上がらず、上司から「使えない奴!」とパワハラを受け、同僚も冷たい目で見るのが辛くて。

転職サイトに登録。

無数に届くスカウトメールにうんざりしてメールを開かなくなった。

電話やSMSも多すぎ。

転職サイトからも転職パワハラ。

同じ悩みを抱える人を救うビジネスを始めた。


1月18日:ご当地アイドル☆如月芽依


「好きな言葉は『類は友を呼ぶ』!埼玉生まれの17歳!悪夢のような退屈な人生に輝きを!食べに行けるアイドル!如月芽依!よろしくね!」

推しの子がいるからと友人に勧められたアイドル『Swipe』。

自己紹介キャッチコピーにどこからツッコもうか。

「今日は深谷ネギを丸かじりだ〜!」

ツッコミきれん。


1月19日:絶対にのぞいてはいけません


絶対にのぞいてはいけません。

ダメと言われたらやりたくなる。

リスクよりも怖いもの見たさが先行。

「のぞいちゃう?」

「どうなっても知らないよ?」

親友と吟味。

「やってみよう」

「わかった」

「ヤサイ、アブラ、ニンニク、チャーシュー抜きで」

全部除いた。

麺とスープだけのラーメン、いかがなものか。


1月20日:リアル上司ガチャ


「いっそガチャガチャで決めよう」

振り切ったものだ。

リアル『上司ガチャ』。

新年度からの組織を部下がガチャガチャで決めることになった。

「最強の鷲尾先輩はSSR設定で1枠、佐藤先輩はNRで5枠とかにしてる」

ガチか。

「自分の運だから結果に文句は言うなよ」

結果、無所属。

上司のいる組織が羨ましい。


1月21日:作戦A


ミスった。

夕方からデートだと言うのにお昼にラーメンを食べてしまった。

ニンニクをたっぷり入れたラーメンを。

ひとまずマスク着用。

あとは例の作戦でいくしかない。

「今日はイタリアンで大丈夫かな?」

「うん!大丈夫だよ!」

「アヒージョ頼もっか!」

「ニンニクはちょっと……」

詰んだ。作戦失敗。


1月22日:何食べたい


「何食べたい?」

「何でもいいよ」

このやり取りにも飽きてきた。

何でもいいと言う割に提案を否定されることも少なくない。

「中華でいい?」

「うーん……」

「イタリアンが良いってこと?」

「いや何でもいいんだけど」

疲れてしまう。しびれを切らした私の最終手段。

「今日が最後の晩餐。何食べたい?」


1月23日:浮気の根拠


「浮気してるでしょ?」

同棲生活1年目。

絶対にしない……はずだった。

気の弛み。

彼女が出張で不在にしていた間、別の女性を家に連れ込んだのは事実。

でも、絶対にバレないよう髪の毛1つ残さないようにしていたのに何故。

「え、なんで?」

「ドライヤーのコードの巻き方がいつもと違ったから」

そこか。


1月24日:好きな人


「好きなタイプはどんな人?」

「閉店まであと1時間ほどのスーパーで、目の前でお弁当やお惣菜に半額シールを貼り始めてくれる人かな」

「わかる。激しくわかる。好き」

「あとは、カラオケで曲と曲の間で頼んだフードをタイミングよく運んでくれる人」

「好き」

「元気に挨拶してくれる人も」

「好きぃ」


1月25日:イケおじ


イケおじ。

イケてるおじさん。ダンディーなおじさん。

年上好きな私はイケおじへの関心が高い。

でも、恋人の"こ"の字とも接する機会がない私には無縁か。

「はぁ。イケおじ降ってこないかな」

近所の公園を意味もなく巡る。

「見て!イケおじ!」

え。他人の声に振り向く。

池で溺れるおじさん、池おじ発見。


1月26日:心と創作


「小説、アート、映画、マンガ、アニメ、音楽だって。作品は作者の心を代弁するツールなのです」

中学の美術の先生が言っていた。

「ときに言葉で、絵で、映像で、音で。心を表現する媒体なのです」

私が歌手を目指すきっかけ。

年齢イコール恋人いない歴なのに、妄想だけで作った恋愛ソングがブレイク中。


1月27日:最初に見るところ


「初対面の人と出会ったらどこを最初に見る?」

「やっぱり顔かな」

「髪だね。女性で天使の輪がある人はヘアケアこだわってるのかなって」

「靴を見るね。メイクばっちり、アクセサリーや服装もばっちりでも靴が汚いと気になる。細部までこだわってる人がいい」

「爪だね」

内面は二の次。見た目が9割。


1月28日:成果を出す人


成長したいと言うのに、何かを変えようとしない。

変わりたいと言うのに、昨日までと同じことをしている。

人がやらないことを始めれば人と差がつくのに、始めない。

続ければ力になるのに、続けない。

大きな成果を出す人は1%の努力を積み重ねる。

体重120kg超えの彼は、365日ラーメンを食べていた。


1月29日:ラブソングを作ろう


「ラブソングを作ろう」

「作詞したことは?」

「ない」

「お」

「まずキーワードを出す」

「ふいに始まった」

「愛、君、ずっと、素敵とか入れたら良くない?」

「なんかそれっぽくて悔しい」

「あと、会うとか泣くとか」

「ほう」

「ずっと泣く素敵な君に愛愛会いたい」

「AIでも作らないボツ歌詞生まれたな」


1月30日:幸日


なくしたものが見つかった。

ハッピー。

ケンカしたけれど仲直りできた。

ハッピー。

仕事で褒められた。

ハッピー。

気になる人からLINEが送られてきた。

ハッピー。

SNSで何気ない投稿が突然多くの反響に。

ハッピー?

今日を生きられること。

ハッピー。

日常は、小さなハッピーの積み重ねで出来ている。


1月31日:n回目


76回目。

「痩せる!」と決めてダイエットに挑戦した回数。

ダイエットに失敗した回数でもある。

35回目。

年を越した回数。

そばを食べて年を越す生活は継続中。

5回目。

転職した回数。

成長、刺激、困難、葛藤の連続。

3回目。

付き合った回数。

今が1番長い。

1回目。

人生の回数。

たった1回。挑戦し続ける。


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