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短編小説:キャッチコピー動物園

※この記事には一部商品紹介も含まれますが、買わなくて大丈夫です!
記事は完全無料なので、それだけでも楽しんでいただければ幸いです!

こんにちは。不屈の屈葬です。
今回は、これまで勝手にキャッチコピーの犠牲になった動物たちを勢ぞろいさせてみました。新作も複数盛り込み、今の私の精一杯を込めて小説っぽく仕上げました。どうぞ、ごゆっくりお楽しみください!!
※新作を閃いたら、加筆するかもしれません。

* * *

「ナオト、今日は動物園に行こうか」
父からの不意打ちに、僕の心は射抜かれた。

いつも仕事が忙しい父は、あまり遊びに連れて行ってくれない。今日だって家でひとり黙々とペンギンのプラモデルをつくるつもりでいた。
そう、動物は大好きだ。

「行きたい!」
このチャンスを逃すわけにはいかない。もしかしたら、前から行きたかった上野動物園かもしれない。

「今日はなな上野うえの動物園に行こう」
完全に斜め上から切りつけられた。

「……な……なめ?」

父は、ハッハと笑い、何故だか得意気な表情を浮かべる。
「動物に斜め上から切り込んだキャッチコピーがついてるのが売りの動物園なんだ。ナオト、そういうの好きだろ?」

正に今、僕が斜め上から切り込まれたのだが、まあ許そう。立ち上がれないほどの重傷というわけではない。正直上野じゃなかったのは残念だが、結局動物園は動物園。それに、キャッチコピーってのも面白そうじゃないか。

「うん……楽しそう……だ、ね」
ぎりぎり返事をすると、父はハッハと笑った。


着いてみたら、意外と楽しそうな雰囲気で安心した。大人たちだけニヒルな笑みを浮かべてる場所だったらどうしようかと思ったが、ちゃんと子どももニヒルな笑みを浮かべている
案内図によると、東園西園南園の3種類のゾーンがあるらしい。北園はどこいったのか。迷子か。

「ナオト、初めはどこに行く?」
どうでもいいことを考えていると、父が急かしてきた。

「え~と、この南園っていうゾーンにオーストラリアの動物がいるみたい。行ってみたい!」
学校でオーストラリアについて学んだばかりで興味がわいた。まず南園に向かうことにした。生カンガルーや生コアラいるかな。どきどき。


日本以上オーストラリア未満……!

まさかゾーンにもキャッチコピーがあるとは……やるな、斜め上野動物園!最初から度肝を抜いてくる。

友達以上恋人未満的なコピーか。なるほど。単にほぼオーストラリアとかよりもキャッチ―だな~」
父が分析を始めてしまった。「へ~」と応じておく。動物が見たい。

「あ、ナオト、あそこカンガルーがいるぞ!」
「え!どこどこ?」


いた。社会派のカンガルーが。

「社会に切り込んでいくスタイルか~。レジ袋が有料化してマイバッグ派も増えてるもんな。マイバッグ派の成れの果て、とかもアリかな」
父は解説では飽き足らず、「自分だったら~」を始めている。「ふ~ん」で応じておく。それよか、カンガルーの歩き方めっちゃかわいい。

「お、ナオト、コアラもいるぞ!」
「え!コアラ!どこどこ?」


コアラのマーチのMarchは3月じゃねぇ!!

「コアラのマーチのMarchは、3月じゃなくて行進だけどな~」
父と思考がかぶってしまった。反省。そもそも3月のライオンを差し置いて3月の勝者の座にコアラをつけていいのか、疑問が残る。


南園の動物は見つくしたので、次は東園に行くことにした。東園はどうやらかわいい系動物が揃っているらしい。とびっきり癒されたい。

「ナオト、見てごらん。パンダがいるぞ~!」
パンダ?さすが上野斜め上野動物園!パンダがいるとは!わくわく。


いた。社会派がまたしても。

カラーでも白黒とかでもいいな。いや、でも待てよ……」
父は相変わらずコピーをつけ直すスタイルだ。ちなみに僕は「白黒はっきりつける!パンダ」がいいと思う……やばい。父に汚染されてきた。

「お、あそこ、カピバラさんが。温泉入っててかわいいな」


3度の飯より~キャッチコピー大賞のベストアンサーだな!」
いよいよ訳の分からないことを言い出す父。
「そうかな?炊飯器のキャッチコピーとして、3度の飯より70度の炊き立てご飯が好きとかもいいんじゃない?」
思いつきで反論してやると、父は目を丸くし、ハッハと笑った。

「さすが、お父さんの子だ」
不名誉な称号をいただいた。クーリングオフ。

「ナオト、ネズミもいるぞ!かわいいな~」
ネズミ!これは楽しみ!ネズミ系の動物はだいたいかわいい。ハムスターのキュートさなんて万人受け間違いなしだ!


万人受けしないやつ!!

文系にはきつい。因数分解を学んでおいて本当よかった。「数学なんか社会出てから役に立たねーよ!」と言っていた友人へ。役立つこともあるかも。思わぬ形だが。

根っから文系の父は黙っている。ドンマイ。


東園もクリアしたので、最後に西園に向かう。どうやらアフリカ系の動物がいるようだ。道中には猿山もあるらしい。おサルさんも好きなんだよな~。

「あれ?ナオト、何か聞こえないか……?」
確かに。猿山からキーキー声が響いている。


自己主張すごっっ!!

「……例の歌の再解釈か。なるほど」
そんなに深いコピーじゃない気はする。おサルさんに元気を吸い尽くされる前に西園に向かいたい。待ってろ!アフリカのかっこいい動物!


西園に着いた。さすがにどでかい動物が多くて圧倒される。

「ナオト、見てごらん。キリンさんだよ」


「諺の意味、変わってきちゃうな~」
確かにそう。キリン界隈で諺をつくるなら、「一階から目薬」にすればよいかもしれない。ここまで考えて気づく……これがあれか。
#なんのはなしですか

「ナオト、見て見ろ!あっちに王が!」
王?動物界の王といえばライオンか?


何だ。ダイソーか。

「上手いな~」
確かに上手いが、何で動物園にダイソーがあるのか。動物園にあるべき店はお土産屋さんではないのか。

「お、隣はお土産屋さんだな」
あるのかよ!

心の中でのツッコミを入れ、店に入る。

ネットでも買えるらしい。これは間違いなく、デザイナーが一生懸命に絵を描いたはずだ。「買ってパジャマにでもしてください!」と、作者は思っていることだろう。買って応援してあげたい。

色は選べます!白なら¥2300
頑張って描きました!白以外は¥2820
ご要望に応じて目薬足しました!緑の似合うキリン!
パンダは白のみ!カラー?不要だね!¥2300

お土産もたくさん買えたし、何だかんだ今日は楽しかった。
だが、そろそろ帰る時間だ。

「人気投票お願いしま~す」

スタッフの方々が出口でよびかけている。どうやら人気投票もやるらしい。投票方法は「noteコメント欄で教えて!」だそうだ。
よく分からないが、帰ったら、スマホからコメント(投票)してみたい。

* * *

【追記】
何とTシャツ紹介記事を書いていただけました!
ゆきんこさん!ありがとうございます!

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