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伏線回収編 第2章|動き出す現実【1】引越しでもするか!と思った

2025年8月9日(土)の朝。

母ちゃんは星になった。

そのちょうど1年前。
2024年8月10日(土)。

熱中症で救急搬送された日だった。

あれからぴったり1年。

しかも
オレの最終出社の次の日。

タイミング良すぎるやろ……
と思った。

最後の最後で
子供孝行してくれたのかな

とも思った。

病院から一度タクシーで家に戻る。
小雨が降っていた。

車に乗る。

もう一度
病院へ向かう。

病院で「葬儀屋リスト」
みたいな紙を渡された。

車の中で何件か電話をする。

でも
どう選べばいいのか分からない。

とりあえず
安いところを探した。

オレが小学生のころ。
母ちゃんは浮気をした。

子供もできた。

そのあと
父ちゃんに追い出された。

でも
その子は流産。

オレが中2のとき。
母ちゃんは家に戻ってきた。

父ちゃんと
オレが頼んだ。

でも心のどこかでずっと、

この人は
家族を裏切った人だ

という感情があった気がする。

認知症が進んでからは、
口げんかも増えた。

何回もやった。

そのたびに「早く星になれよ」と
面と向かって口にしていた。
(本当はもっと酷い言葉です)

でも

数時間後には
母ちゃんは忘れている。

オレも冷静になっている。

今思うと、
感情をぶつけられていたから、

オレまで壊れずに済んだのかもしれない。

オレは
いい加減な人間だから。

真面目に全部抱え込む人は、
もっとキツいんだろうなと思う。

だから、
悲しい気持ちもあった。

でも
それより先に来たのは、

自由だった。

介護している人が、
耐えきれずに自分の手で親を……
みたいなニュース。

たまに見る。

不謹慎かもしれないけど、
気持ちは分かる気がした。

今思うと、
オレもギリギリだったのかもしれない。

でも口げんかして
酷い言葉を面と向かって言うたびに

星になれば、1人暮らし出来るじゃん!
みたいな、

不謹慎な考えで、
自分を保っていた気もする。

そのときは、

大変だとか
辛いとか
何でオレがとか、

そんな感情は無かった。

でも今振り返ると、
ギリギリだったのかもしれない。

母ちゃんが亡くなって。

葬儀屋を決めて。

運んでもらって。

手続きをして。

そこで印鑑を忘れたことに気づいた。

なので、
次の日の火葬は無理になった。

翌々日の朝9時。
その時間で予約した。

火葬って、
昼からが多いらしい。

午前中に葬式をやって、
そのあと火葬。

そういう流れが一般的なんだとか。
(オレの住んでいる地域では)

オレには兄弟もいない。
親戚付き合いもない。

葬式もしない。火葬だけ。
それを「直葬」というらしい。

朝から火葬する人は少ないらしく、
予約はすぐ取れた。

その日の夜。
彼女の家へ向かった。

近親者が亡くなると、
悲しむ暇もないくらい忙しい。

そんな話を聞いていた。

でも
葬式をしない場合は別だった。

やることがほとんど無い。
(本当に何も無いです)

彼女の家へ向かう車の中で、
ふと思った。

今の家、広すぎる。
部屋も3つくらいある。

1人で住むには広い。

引越しでもするか。
そう思った。

少しだけ、心が躍っていた。

▼同じ「伏線回収編」をまとめて読めます
伏線回収編 マガジン
https://note.com/fukusen_kaisyu/m/mb5338670e721

▼お品書き(全体の流れ)
https://note.com/fukusen_kaisyu/n/n9c6a82405f60

▼お品書き(年齢順)
https://note.com/fukusen_kaisyu/n/n85151ad5eccd

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