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みんな心の中にぶつかりおじさんを飼っている

みなさんは「ぶつかりおじさん」をご存知だろうか。

「ぶつかりおじさん」とは、駅の構内や繁華街などの公共の場所で、すれ違いざまにわざと通行人の肩や体をぶつけて立ち去る中高年男性のことだ。

なぜ、ぶつかりおじさんはこんなことをするのか。理由としては、日常生活や仕事でのストレス発散、女性への加害性などが指摘されている。実際ぶつかる相手には、女性や体格の小さい人が選ばれている。私も体格が小さいので、人混みでやられたことがある。

正直に言うと、私はこのぶつかりおじさんに少し感情移入してしまう。

もちろん、ぶつかりおじさんは悪だ。自分より弱い人をあえて選んで行うのはタチが悪い。それでも、その根っこにある感情には覚えがある。

ものすごくイライラしている時や、自分だけ不幸になっている時、私の中で他人への攻撃性が増すのを感じる。

「なんで自分だけがこんな目に合うのか」
「幸せな奴が妬ましい」
「周りの奴も不幸になればいいのに」
そんなドス黒い感情が頭の中を支配する。

社会全体への恨みが膨れ上がり、何もかもをめちゃくちゃにしてしまいたいという気持ちが生まれる。だから、ぶつかりおじさんの気持ちは分からなくもない。

ただ、やはり他人に危害を加えることは肯定できない。私自身もそういう衝動に駆られることはあるが、実際に行動に移したことはない。臆病だからというのもある。

人間、誰しも心の中にぶつかりおじさんを飼っている。どうしても私たちは「ぶつかりおじさんは、元々人間的に欠落している人だ」と考えてしまいがちだが、そうではない。自分が不幸な時、それを表に出さないように振る舞えるか、抑えきれずに出てしまうか。その違いだけだ。

そんなぶつかりおじさんにならないためには、自分で自分の機嫌を取れるようになることが大切だ。当たり前のようだが、これが難しい。

好きなものを食べてストレスを発散する人もいれば、人と話すことで発散する人もいる。それらはとても健全だ。しかし、それすら難しいからこそ、人に危害を加えることでストレス発散をする、ぶつかりおじさんが生まれてしまう。

駅の改札にいるあのぶつかりおじさんは、未来の自分かもしれない。

そうした恐怖が私を襲う。

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