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コンビニオーナーは、店長をやめろ

本部に“経営者”として扱われない加盟店の構造問題

コンビニオーナーは、本当に経営者として扱われているのでしょうか。

私は最近、このことを強く考えます。

表向きには、コンビニオーナーは独立した事業者です。

加盟店オーナー。
法人代表。
雇用主。
経営者。
自分の会社の責任を負う人間。

そういう立場のはずです。

しかし、現場で本部と接していると、果たして本当にそう見られているのか、疑問に思うことがあります。

OFCはもちろん、時にはDMクラスでさえ、加盟店オーナーを「経営者」ではなく、実質的に「店長レベルの現場責任者」として扱っているのではないか。

そして問題は、本部だけではありません。

オーナー自身も、いつの間にかその店長扱いに慣れてしまっているのではないか。

ここに、コンビニフランチャイズという商売の構造的な問題があるように思います。

OFCが見ているのは、会社経営ではなく店舗運営である

OFCが話すことの多くは、店舗運営です。

売場。
商品。
発注。
キャンペーン。
接客。
清掃。
本部施策。
売上対策。
販売数。
重点商品の展開。

もちろん、これらは大切です。

コンビニは現場の商売です。
売場が荒れていれば売れません。
発注が外れれば廃棄や欠品が出ます。
接客や清掃ができていなければ、お客様は離れます。

だから店舗運営を軽く見るつもりはありません。

ただ、これはほとんど店長業務です。

本来、法人代表であるオーナーが考えるべきことは、もう少し違うはずです。

法人全体の利益。
人件費と生産性。
労務管理。
採用設計。
教育制度。
評価制度。
店長育成。
資金繰り。
税務。
契約リスク。
事業承継。
複数店経営のガバナンス。
オーナーが現場に出なくても回る体制。
最終的に会社にお金が残る構造。

こちらの方が、社長として見るべき領域です。

ところが、本部との会話は、どうしても店舗運営に寄りがちです。

「この商品をどう売るか」
「この売場をどう作るか」
「このセールをどう成功させるか」
「この数字をどう上げるか」

それは必要な会話です。

しかし、それだけで終わっている限り、オーナーは経営者ではなく、少し偉い店長のままです。

おにぎり何個、コロッケ何個は、社長の仕事ではない

私は、おにぎりを何個売ったとか、コロッケを何個売ったとか、セールでどれだけ売ったとかいう話は、オーナーにとって直接はそれほど重要ではないと思っています。

もちろん、店舗運営としては大切です。

売場を作る。
発注をする。
声掛けをする。
販売数を伸ばす。
本部施策に対応する。

これは店として必要なことです。

でも、それは本来、店長や現場責任者が見るべき話です。

社長であるオーナーが、そこに一喜一憂している状態は、私はかなり危ないと思っています。

なぜなら、それは完全に店長業務だからです。

本当にオーナーがやるべきことは、セールで何個売るかではありません。

セールで売れる店になるための土台を作ることです。

人が育っているか。
発注の基準があるか。
売場作りが属人化していないか。
人件費と廃棄を見た上で利益が残る構造になっているか。
店長が機能しているか。
作業が標準化されているか。
複数店で同じ基準が回っているか。
オーナーが現場に出なくても、会社として回る仕組みがあるか。

この土台ができていれば、おにぎり何個、コロッケ何個という数字は後からついてきます。

逆に言えば、土台がない店がセールだけ頑張っても、長続きしません。

その場では売れるかもしれない。
本部には褒められるかもしれない。
OFCは喜ぶかもしれない。

でも、会社にお金が残っているのか。
現場に無理が出ていないのか。
人件費と廃棄を考えても利益があるのか。
できる人に負担が偏っていないのか。
次回も再現できるのか。

ここを見なければ、経営ではありません。

オーナーが売り方を語っているうちは、本部は平和である

厳しい言い方をすれば、オーナーが、

「おにぎりをどう売るか」
「コロッケをどう積むか」
「セールで何個取るか」
「売場をどう作るか」

という話に夢中になっているうちは、本部は平和です。

なぜなら、加盟店側が本部の用意した土俵の中で頑張ってくれているからです。

本部からすれば、これほど扱いやすいことはありません。

オーナーが店舗の販売数に意識を向けている。
キャンペーンの達成に燃えている。
現場の売場作りに集中している。
OFCの提案に一生懸命応えている。

それは一見、優秀なオーナーに見えます。

でも、加盟店法人の代表として見た時、そのオーナーは何をしているのでしょうか。

本部施策をどう売るかを考えているだけなら、それは店長です。

社長なら、その施策が自社の利益構造にどう影響するのかを見なければいけない。

そのセールで売上はいくら増えるのか。
粗利はいくら残るのか。
廃棄はいくら出るのか。
人件費はいくら増えるのか。
現場負担はどれくらい増えるのか。
その施策は、加盟店法人にとって本当に合理的なのか。
本部と加盟店の負担配分は妥当なのか。
自社の会社経営として、継続可能な取り組みなのか。

ここを見ないといけない。

にもかかわらず、オーナーが「どう売るか」だけを語っている。

それは、本部からすれば非常に平和です。

加盟店側が、条件や構造の話をしてこないからです。

本部が困るのは、オーナーが法人代表として話し始めた時である

本部が本当に困るのは、オーナーが店長業務ではなく、法人代表として話し始めた時だと思います。

「この商品をどう売るか」ではなく、
「この施策は加盟店法人にとって持続可能なのか」

「何個売ったか」ではなく、
「その施策で会社にどれだけ利益が残るのか」

「現場が頑張りました」ではなく、
「その現場負担に対して、本部と加盟店の負担配分は妥当なのか」

「人が足りません」ではなく、
「この人手不足時代に、加盟店法人が継続するための制度設計はどうあるべきか」

こういう話になった時、本部は簡単には流せなくなります。

なぜなら、それは現場の愚痴ではなく、会社代表としての申し入れだからです。

不平不満のレベルではない。
感情的な反発でもない。
単なる文句でもない。

自社の利益と地位を守るために、法人として条件を整理し、本部と向き合う。

これが、本来の経営者の仕事だと思います。

本部と戦うというのは、喧嘩をすることではない

ここで誤解してほしくないのですが、私は本部と感情的に喧嘩をしろと言っているわけではありません。

本部を敵だと言いたいわけでもありません。

むしろ、本来は本部と加盟店が一緒に壁を越えていかなければならないはずです。

人手不足。
人件費上昇。
採用難。
労務リスク。
廃棄問題。
複数店経営の難しさ。
オーナーの高齢化。
事業承継。
契約リスク。
現場負担の増加。

これらは、加盟店だけの問題ではありません。

本部にとっても、チェーン全体の持続性に関わる問題です。

だからこそ、加盟店側も店長レベルの会話ではなく、法人代表としての会話をしなければいけない。

「しんどいです」ではなく、
「この構造では加盟店法人が継続しにくい」

「人が足りません」ではなく、
「この条件で人を採用し、育て、定着させるには、どのような制度設計が必要なのか」

「セールが大変です」ではなく、
「本部施策によって加盟店側に発生する負担を、どう評価し、どう支援するのか」

そういう話です。

本部と戦うというのは、怒鳴り合うことではありません。

加盟店と本部が、それぞれの条件をきちんと戦わせるということです。

自社の立場を明確にし、根拠を持って話し、条件を整理し、必要な支援を申し入れる。

それが、法人代表として本部と向き合うということだと思います。

他業界なら、社長は条件交渉をしている

たとえば、下請けと元請けの関係を考えてみます。

下請け企業の社長が、元請けから厳しい条件を出された時、ただ現場で頑張るだけでしょうか。

もちろん、現場改善もするでしょう。
納期を守る努力もするでしょう。
品質を上げる努力もするでしょう。

でも、それだけではありません。

条件が厳しすぎるなら、会社の代表として元請けに申し入れるはずです。

この単価では継続できない。
この納期では現場に無理が出る。
材料費が上がっている。
人件費も上がっている。
この条件では品質維持が難しい。
法的・契約的な観点からも、この取引条件は見直すべきではないか。

そういう話を、会社を代表して行うはずです。

もちろん簡単ではありません。

力関係もあります。
取引を失うリスクもあります。
相手との関係性もあります。

それでも、自社を守るために交渉する。

それが社長の仕事です。

ところが、コンビニ業界では、この部分が非常に弱いように感じます。

加盟店オーナーは、現場では本当に頑張っています。

売場を作る。
人手不足を埋める。
本部施策に対応する。
従業員を何とか集める。
クレームにも対応する。
お金が残らなくても店を開け続ける。

しかし、自社の利益や立場を守るために、本部と条件を戦わせるところまで行けている人は、決して多くないのではないか。

これは、私自身も含めて考えなければならない問題です。

本部と戦う土俵は、感情ではなく法と契約である

加盟店オーナーが本部と本気で向き合うなら、必要なのは不平不満ではありません。

「しんどい」
「大変だ」
「利益が残らない」
「本部は分かってくれない」

もちろん、そう感じる場面はあります。

ただ、それだけでは本部とは戦えません。

それは、まだ現場の不満です。
店長レベルの愚痴に近い。

法人の代表として本部と向き合うなら、もっと別の土俵に立たなければならないと思っています。

それは、法と契約と経営数字の土俵です。

会社法。
契約。
下請法。
優越的地位の濫用。
独占禁止法。
フランチャイズ契約。
労務リスク。
取引条件。
加盟店側に発生する負担と責任。

もちろん、私は法律の専門家ではありません。
具体的な判断は、弁護士など専門家に確認する必要があります。

しかし、経営者である以上、少なくともその基礎的な知識は持つべきだと思っています。

なぜなら、法律的に本部に対して「ここはしっかり対応していただかないと困る」と申し入れることができるのは、店長ではなく、法人の代表である社長だからです。

店長にはできません。

現場責任者にはできません。

それは、オーナーにしかできない仕事です。

「当たり前」は、誰が作っているのか

コンビニ業界には、長年の「当たり前」があります。

これはこういうものだ。
本部施策には協力するものだ。
キャンペーンは頑張るものだ。
オーナーは現場に出るものだ。
加盟店は本部方針に従うものだ。
この負担は加盟店が引き受けるものだ。
本部との関係はこういうものだ。

でも、その当たり前は、本当に当たり前なのでしょうか。

誰が作った当たり前なのでしょうか。

契約に書いてあるのか。
法律上当然なのか。
公正な取引条件なのか。
単に長年そう扱われてきただけなのか。
加盟店側が深く考えずに受け入れてきただけなのか。

ここを問い直さなければいけないと思います。

常識は変わります。

少し前まで、モラハラやカスハラという言葉は、今ほど強い社会的な力を持っていませんでした。

昔なら「それくらい我慢しろ」と言われていたことが、今では問題として扱われる。

昨日まで当たり前だったことが、ある瞬間から当たり前ではなくなる。

社会の価値観は変わります。
法律の運用も変わります。
企業に求められる責任も変わります。

であるなら、加盟店が今「仕方ない」と思わされていることも、永遠に仕方ないとは限りません。

本当に公正なのか。
本当に合理的なのか。
本当に加盟店法人が一方的に背負うべきものなのか。

この問いを持たなければいけない。

不満ではなく、根拠を持った申し入れに変える

私は、本部とただ喧嘩をしろと言いたいわけではありません。

感情的に反発しても意味がありません。

「本部が悪い」
「加盟店がかわいそう」
「もっと助けてくれ」

これだけでは、条件闘争にはなりません。

大事なのは、根拠です。

自社の数字。
現場負担。
人件費。
廃棄。
労務リスク。
契約条件。
法的な観点。
社会情勢。
他業界の取引慣行。
専門家の意見。

こうしたものを整理した上で、

「この条件では加盟店法人として持続可能ではない」
「この負担については、本部側の支援や制度設計が必要ではないか」
「この運用は、加盟店に一方的な負担を与えていないか」
「この部分は、法的・社会的に見ても再検討すべきではないか」

と申し入れる。

これが、法人代表として本部と向き合うということだと思います。

単なる不平不満ではない。

経営者としての申し入れです。

コンビニオーナーには、一本足打法という弱みがある

ただし、コンビニオーナー側にも不利な事情があります。

それは、多くの加盟店が一本足打法であることです。

つまり、そのチェーンに依存している。

他に大きな事業の柱がない。
売上も利益も、家族の生活も、従業員の雇用も、ほぼそのチェーンに乗っている。

そうなると、本部に強く言いにくい。

「本部に文句を言ったら、潰されるのではないか」
「露骨に潰されることはなくても、冷や飯を食わされるのではないか」
「次の出店や移転や更新で不利になるのではないか」
「OFCやDMとの関係が悪くなるのではないか」
「表彰や評価から外されるのではないか」

そういう不安がある。

だから、店長業務で頑張る。

本部施策を頑張る。
セールを頑張る。
売場を頑張る。
現場に出て、汗をかいて、

「自分は本部に協力しているオーナーです」

と示そうとする。

言い方は悪いかもしれませんが、尻尾を振るような形になってしまうこともある。

それは弱さでもありますが、構造的には理解できます。

一本足打法である以上、強く交渉するにはリスクがあるからです。

だからこそ、オーナーは会社経営に移らなければならない

だからこそ、私は思います。

コンビニオーナーは、店長業務から会社経営へ移らなければならない。

本部と本当に対等に話すためには、現場で頑張っているだけでは足りません。

自社の数字を持つ。
人件費を1分単位で見る。
発注を仕組み化する。
廃棄と欠品を同時に見る。
店長を育てる。
自分が現場に出なくても回る体制を作る。
契約リスクを理解する。
労務リスクを整える。
本部施策に対して、加盟店法人としての損益を説明できるようにする。

こういう土台が必要です。

土台がないまま本部に不満を言っても、ただの愚痴になります。

土台があるから、条件交渉になる。

数字があるから、申し入れになる。

法人代表としての視座があるから、本部と建設的に対峙できる。

本部と戦うというのは、喧嘩をすることではありません。

加盟店と本部が、長く商売を続けるために、条件をしっかり戦わせることです。

その意味での権利闘争、条件闘争が、コンビニ業界にはもっと必要ではないかと思っています。

オーナーにしかできない仕事がある

コンビニオーナーは、店長ではありません。

店長ができる仕事は、店長に任せるべきです。

売場。
発注。
シフト。
スタッフ教育。
日々の店舗運営。

もちろん、オーナーも理解しておく必要はあります。

しかし、オーナーにしかできない仕事があります。

法人の代表として、本部と向き合うこと。
自社の利益構造を守ること。
契約条件を理解すること。
法的な基礎知識を持つこと。
専門家と連携すること。
加盟店法人としての地位向上を考えること。
必要な支援や制度について、本部に申し入れること。

これは、店長にはできません。

オーナーにしかできません。

だからこそ、オーナーが店長業務に閉じ込められている状態は危険なのです。

本部にとっては平和かもしれない。

でも、加盟店法人にとっては、社長が本来やるべき仕事をできていない状態です。

社長は、売り方ではなく条件を語る

オーナーが店長業務をしている間、本部は平和です。

オーナーが法人代表として話し始めた時、初めて本部との本当の対話が始まります。

店長は売場を語る。
社長は条件を語る。

店長は販売数を見る。
社長は利益構造を見る。

店長は現場を回す。
社長は会社を守る。

もちろん、どちらも必要です。

しかし、法人代表であるオーナーが、いつまでも店長の仕事にとどまっていてはいけない。

コンビニオーナーは、店長をやめるべきです。

現場を知らなくていいという意味ではありません。

現場を知った上で、現場に飲まれないということです。

本部に褒められるために経営するのではない。
セールで何個売ったかで満足するのではない。
OFCやDMに店長扱いされて安心するのではない。

自社の数字を持ち、法と契約の基礎を学び、必要なら専門家の力を借り、法人代表として本部と向き合う。

不満で終わらせるな。

法と数字を持って、本部と向き合え。

私は、そう思っています。

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