セブン-イレブンが好きだから、あえて言いたい——「ガラパゴス」と笑われるくらい、現場に合わせろ
最初に言っておきたいことがあります。
私は、セブン-イレブンが好きです。
本当に好きです。
これはきれいごとではありません。
私はこの看板に誇りを持っています。
セブン-イレブンという仕組みのすごさ。
商品力。
物流。
単品管理。
売場へのこだわり。
お客様の生活に入り込む力。
現場を積み上げていく強さ。
私は、そこに惚れてこの商売をしてきました。
だからこそ、私は批判的になるのだと思います。
どうでもいいなら、何も言いません。
嫌いなら、とっくに離れています。
でも、好きだから気になる。
好きだから腹が立つ。
好きだから、
「本当にこれでいいのか」
と思ってしまう。
私が言いたいのは、セブン-イレブンを否定したいという話ではありません。
むしろ逆です。
私は、セブン-イレブンが本来持っていた強さを信じています。
日本の現場に合わせて、異常なほど進化してきた強さ。
お客様の生活に合わせて、細かく細かく変わってきた強さ。
私はそこに誇りを持っています。
だからこそ、今の流れに違和感を覚えることがあります。
現場よりも標準。
お客様よりも効率。
加盟店の手残りよりも、本部側の数字。
目の前の困りごとよりも、きれいに整ったシステム。
そういうものが前に出すぎているように見える時、私はどうしても黙っていられません。
好きだから、言います。
「ガラパゴス」と笑われるくらい、現場に合わせろ。
私はそう思っています。
「ガラパゴス」は、本当に悪口なのか
「ガラパゴス」という言葉があります。
日本独自に進化しすぎたもの。
世界標準から外れたもの。
内向きで、特殊で、取り残されたもの。
だいたい、悪い意味で使われます。
ガラケー。
日本独自の商習慣。
日本だけのサービス。
日本だけの働き方。
日本だけの細かすぎる品質。
そういうものに対して、
「だから日本はダメなんだ」
「世界標準から遅れている」
「もっとグローバルに合わせるべきだ」
という言い方がされます。
たしかに、それが当てはまる部分もあると思います。
世界標準から外れすぎて、競争力を失ったものもあるでしょう。
日本の内向きな部分が、足を引っ張ったこともあるでしょう。
でも私は、ガラパゴスという言葉を全部悪い意味で使うことに、かなり違和感があります。
ガラパゴスとは、本当に遅れなのでしょうか。
私は、そうは思いません。
ガラパゴスとは、
目の前の環境に合わせすぎた結果、外から見ると異様に尖って見える状態
だと思っています。
世界標準に合わせなかったから生まれたものではありません。
目の前のお客様に合わせた。
目の前の現場に合わせた。
目の前の不便に合わせた。
目の前の生活に合わせた。
合わせ続けた結果、独自進化した。
それがガラパゴスです。
そして、日本のコンビニは、まさにその代表だったと思っています。
日本のコンビニは、ガラパゴスだったから強かった
コンビニという仕組みは、もともと日本で生まれたものではありません。
でも、日本のコンビニは、本家をそのまま真似したから強くなったわけではないと思います。
日本の生活に合わせた。
日本の食文化に合わせた。
日本の住宅事情に合わせた。
日本の通勤動線に合わせた。
日本人の細かいニーズに合わせた。
日本の現場のオペレーションに合わせた。
その結果、まったく別物のように進化した。
おにぎり。
弁当。
サンドイッチ。
惣菜。
スイーツ。
コーヒー。
公共料金。
宅配便。
チケット。
ATM。
コピー機。
店頭受け取り。
季節商品。
予約商品。
販促。
単品管理。
物流。
これらが一つの小さな店舗の中に詰め込まれている。
冷静に考えたら、ものすごいことです。
海外から見れば異常かもしれません。
でも、日本の生活にとっては自然です。
朝、会社に行く前におにぎりを買う。
昼に弁当を買う。
帰りに牛乳を買う。
公共料金を払う。
荷物を受け取る。
コピーを取る。
ATMを使う。
夜中に必要なものを買う。
これが当たり前になった。
それは、日本のコンビニが、日本の現場とお客様に合わせ続けたからです。
つまり、日本のコンビニはガラパゴスだったから強かった。
私はそう思っています。
セブン-イレブンは、その象徴だった
その中でも、セブン-イレブンは特別だったと思います。
少なくとも、私にとってはそうです。
セブン-イレブンは、現場とお客様に対してものすごく細かかった。
商品へのこだわり。
鮮度へのこだわり。
売場へのこだわり。
単品管理へのこだわり。
仮説と検証。
天気。
曜日。
地域。
時間帯。
客層。
販売動向。
ただ商品を並べるだけではない。
目の前のお客様が、今日、何を欲しがるのか。
そこを考える商売だったと思います。
私は、そこが好きでした。
ただの小売業ではない。
現場で考える商売。
売場で仮説を立てる商売。
数字を見て、次の一手を打つ商売。
お客様の生活に入り込みながら、毎日少しずつ改善していく商売。
それがセブン-イレブンの強さだったと思っています。
だから私は、この看板に誇りを持ってきました。
単なるフランチャイズ契約だからやっているのではありません。
この仕組みに惚れたから、ここまでやってきたのです。
好きだからこそ、今の違和感が大きい
でも、好きだからこそ、今は違和感もあります。
今のセブン-イレブンは、本当に現場を見ているのか。
本当に加盟店の手残りを見ているのか。
本当にお客様の生活に合わせているのか。
それとも、本部側の標準化や効率や数字が前に出すぎていないか。
私は、そう感じる時があります。
もちろん、本部にも本部の事情があります。
大きな会社です。
全国の店舗を見なければいけない。
システムも統一しなければいけない。
商品も物流も販促も、全体最適で考えなければいけない。
だから、標準化は必要です。
効率化も必要です。
本部の利益も必要です。
そこを否定するつもりはありません。
でも、現場から見ると、
「そこじゃない」
と思うことがあります。
そのシステムでは、現場の困りごとは拾えない。
その施策では、売上は上がっても手残りは増えない。
その作業は、本当に現場に必要なのか。
そのキャンペーンは、誰のためにやっているのか。
その標準化は、現場を楽にしているのか。
それとも現場を縛っているのか。
そう思うことがあります。
私は、セブン-イレブンが嫌いだから批判しているのではありません。
好きだから、悔しいのです。
本部の仕組みだけでは、現場の細かい違和感は拾えない
本部のシステムは大きいです。
全国の店舗を動かすための仕組みです。
だから、広く使える必要があります。
誰でも使える必要があります。
標準化されている必要があります。
それはそれで大事です。
ただし、大きなシステムには限界があります。
現場の細かい違和感は、拾いきれないことがあります。
例えば、
引き継ぎが弱い。
誰が何を教えたか分からない。
誰がどこまでできるか見えない。
チェック表が形だけになっている。
発注が感覚になっている。
できる人に仕事が集まっている。
新人教育が人によって違う。
「聞いていません」が出る。
「やりました」「やってません」で揉める。
評価が感覚になる。
責任の流れが曖昧になる。
こういうことは、現場では毎日起きます。
でも、本部の大きなシステムが、そこまで細かく拾ってくれるとは限りません。
だからといって、私はそれを全部本部の責任にするつもりはありません。
むしろ、ここから先は加盟店側の仕事だと思っています。
本部が作る1階部分は使う。
看板。
商品。
物流。
システム。
ブランド。
集客力。
そこは使う。
でも、2階部分は自分たちで作るしかない。
人をどう動かすか。
作業をどう割り当てるか。
教育をどう残すか。
確認をどう記録するか。
評価をどうつなげるか。
手残りをどう守るか。
属人化をどう潰すか。
ここは加盟店の仕事です。
だから私は、自分でアプリを作る
私が自分でアプリを作るのも、同じ理由です。
本部のシステムが悪いと言いたいわけではありません。
ただ、私の現場に必要な形は、私の現場からしか出てこない。
そう思っているからです。
私が欲しいのは、きれいなシステムではありません。
現場が動く仕組みです。
誰が、いつ、何をしたのか。
誰が何を習得しているのか。
誰がどこでつまずいているのか。
どの作業が誰に割り当てられているのか。
引き継ぎはできているのか。
チェックは残っているのか。
できていないことは記録されているのか。
上長はそれを見ているのか。
評価につながっているのか。
こういうものが欲しい。
それは、本部の大きなシステムではなく、現場の違和感から生まれるものです。
だから私は、自分で作ります。
おかしいと思ったら、作る。
面倒だと思ったら、作る。
属人化していると思ったら、作る。
記録に残らないと思ったら、作る。
誰かに聞かないと分からないなら、見れば分かるように作る。
これは、セブン-イレブンを否定するためではありません。
むしろ逆です。
この看板の下で、もっと強い店を作りたいからです。
現場に合わせることは、恥ずかしいことではない
私は、現場に合わせることを恥ずかしいとは思いません。
むしろ、現場に合わせられない仕組みの方が危ないと思っています。
世の中には、きれいな言葉がたくさんあります。
標準化。
効率化。
DX。
データ活用。
全体最適。
グローバル基準。
システム化。
もちろん、どれも大事です。
でも、その言葉が現場から離れた瞬間、ただの飾りになります。
現場が使えないDXに意味はありません。
現場が楽にならない効率化に意味はありません。
現場の責任が見えないデータ活用に意味はありません。
現場の手残りが増えない売上向上に意味はありません。
現場に根を張っていない仕組みは、強くありません。
だから私は、ガラパゴスでいいと思っています。
自分の店に合わせる。
自分の従業員に合わせる。
自分の管理したい形に合わせる。
自分の利益構造に合わせる。
自分の現場の困りごとに合わせる。
外から見たら、少し変かもしれません。
でも、それで現場が動くならいい。
それで会社にお金が残るならいい。
それで従業員が育つならいい。
それで属人化が減るならいい。
それでお客様に迷惑をかけないならいい。
中小企業は、世界標準に合わせる必要なんてありません。
目の前の現場で勝てばいい。
目の前のお客様に選ばれればいい。
自分の会社にお金が残ればいい。
それが経営です。
「標準」に合わせすぎると、現場は鈍る
標準化は大事です。
でも、標準に合わせすぎると、現場は鈍ります。
本部が言ったからやる。
マニュアルにあるからやる。
キャンペーンだからやる。
標準だからやる。
みんなやっているからやる。
この状態になると、現場は考えなくなります。
本来、コンビニは考える商売だったはずです。
今日の天気はどうか。
近くでイベントはあるか。
この時間帯の客層はどうか。
昨日の売れ方はどうか。
この商品の動きはどうか。
この売場は本当に見られているのか。
この作業は本当に必要なのか。
この人件費をかける価値はあるのか。
こういうことを考える商売だったはずです。
でも、標準に合わせることが目的になると、考える力が弱くなります。
本部の指示をこなす店になる。
本部に褒められる店になる。
でも、会社にお金が残る店とは限らない。
私はここが怖いのです。
本部の仕組みは使う。
でも、本部の言葉で思考停止してはいけない。
現場で考える。
自分の数字で考える。
自分の店に合わせて作る。
これが加盟店オーナーの仕事だと思っています。
セブン-イレブンらしさとは、現場に合わせて進化することだったはず
私が思うセブン-イレブンらしさは、単なる看板の強さではありません。
ただ商品力があることでもありません。
ただ物流がすごいことでもありません。
ただシステムが整っていることでもありません。
私が思うセブン-イレブンらしさは、
現場とお客様に合わせて、しつこく進化すること
です。
お客様が何を求めているか。
売場で何が起きているか。
数字が何を示しているか。
昨日と今日で何が違うか。
この地域では何が必要か。
この時間帯には何が売れるか。
そこに向き合う。
そこに合わせる。
その結果として、外から見ると異様なくらい細かい店になる。
それでいいのです。
むしろ、それこそが強さだったはずです。
「そこまでやるのか」
と笑われるくらいでいい。
「日本のコンビニは細かすぎる」
と言われるくらいでいい。
「そんなところまで管理するのか」
と言われるくらいでいい。
それが、現場に合わせるということです。
それが、強いガラパゴスです。
加盟店も、独自進化しなければいけない
私は今、加盟店側も独自進化しなければいけない時代だと思っています。
昔のように、本部の仕組みに乗って、一生懸命頑張れば利益が残る。
そういう時代ではなくなってきています。
人件費は上がる。
採用は難しい。
社会保険の負担も重い。
現場作業は増える。
従業員教育は難しい。
人は簡単に辞める。
本部施策は増える。
でも、最後に会社にお金が残るとは限らない。
だから、加盟店も自分で考えなければいけません。
本部に言われたことをやるだけでは足りない。
本部に褒められることを目指すだけでは足りない。
自分の店に必要な仕組みを作る。
自分の会社にお金が残る形を作る。
自分の従業員が育つ形を作る。
自分の現場が回る形を作る。
それが今の加盟店に必要な独自進化です。
これは反抗ではありません。
自衛です。
そして、誇りです。
セブン-イレブンという看板の下で、加盟店側も現場に合わせて進化する。
私は、それが本来の強さだと思っています。
好きだから、現場に戻ってほしい
私は、セブン-イレブンが好きです。
だから、あえて言いたい。
もっと現場を見てほしい。
もっと加盟店の手残りを見てほしい。
もっと店の中で起きている小さな困りごとを見てほしい。
もっとお客様と従業員とオーナーの間で起きている現実を見てほしい。
きれいな標準化だけでは、現場は動きません。
大きなシステムだけでは、細かい違和感は消えません。
売上だけでは、加盟店は守れません。
本部の数字だけでは、店の強さは測れません。
私は、セブン-イレブンが嫌いだからこんなことを書いているのではありません。
好きだから書いています。
この看板に誇りがあるから書いています。
この商売にまだ可能性があると思っているから書いています。
セブン-イレブンが本来持っていた、現場に合わせて進化する強さ。
お客様に合わせて細かく変わる強さ。
目の前の数字を見て、仮説と検証を続ける強さ。
その強さを、私はまだ信じています。
まとめ
「ガラパゴス」という言葉は、よく悪口のように使われます。
でも私は、そうは思いません。
ガラパゴスとは、遅れではありません。
目の前の現場に合わせすぎた結果、外から見ると異様に尖って見える状態です。
日本のコンビニは、ガラパゴスだったから強かった。
そして、セブン-イレブンはその象徴だったと私は思っています。
だからこそ、今の時代にも必要なのは、現場に合わせることです。
世界標準に合わせる前に、目の前のお客様を見ろ。
きれいな標準化を語る前に、目の前の現場を見ろ。
売上を見る前に、最後に会社にお金が残るかを見ろ。
本部の仕組みを使いながらも、加盟店は自分の現場に合わせて独自進化しなければいけない。
私はそう思っています。
私が自分でアプリを作るのも、その延長です。
本部を否定するためではありません。
この看板の下で、もっと強い店を作りたいからです。
セブン-イレブンが好きだから。
この商売に誇りがあるから。
だから私は、あえて言います。
「ガラパゴス」と笑われるくらい、現場に合わせろ。
そこにこそ、まだコンビニの強さがある。
私はそう信じています。
