エントリーサーバー企画・設計顛末書
頼まれて企画・設計したけれど製造前段階でボツになったサーバーの話
お付き合いのあるSierからクリニックや調剤薬局用のサーバーを考えて欲しい旨の依頼が有りました。
先方が参考例として提示してきたのが、D社のサーバーで価格は120万円程度、4月末時点での納期は注文後5ヶ月となっていました。
Sierとしては価格はともかくも、納期が長過ぎる為別機種の導入等も考えたようですが、他も同様にメモリー、ストレージ等の部品がAIデータセンター向けバブルのあおりを受けて入手困難となっており、思っていたようなサーバーが見つからず、やむを得ず弊社に企画・設計を依頼してきたようです。
弊社は元々、外資系PCメーカーのサポート業務を請け負うために設立した法人で、以来PC及びサーバーの組み立て、キッティング、基板部品の半田修正、部品交換等多岐にわたり活動してきましたので、その過程で知り合いになった部品メーカー及び部品販社も多く、一般の方に比べて若干ではありますがPC部品に詳しく、入手先もいくつかの伝手を持っておりますので早速先方の依頼に沿った条件のサーバーを企画することになりました。
短納期であること、そして価格は可能な限り安くすることを前提条件として入手が容易である部品による構成を考えました。
第一次計画
第一章 CPUの選択
1. 現在エントリーサーバーと呼ばれるものに使用されている主なCPUを調査すると、
Xeon E-2400、Xeon 6300シリーズ、Core i3が出てきましたが、Xeon E-2400とCore i3は世代が旧く、1台だけ製造するのならば良いかもしれませんが、複数台製造するには部品供給の継続性に心配があり、3年、5年と保守サポートする際にも部品切れの懸念が有りますので、却下としてXeon 6333Pをこの時点での第一候補としました。
2. 最初に選んだCPUは
ところがXeon 6333Pは入手困難となっており、納期が確定できない状態でした。
ここで思いついたのが、弊社でデータサーバーとして10年以上使用しているPCについてです。特にサーバーとして製造した訳ではなく、業務を止めないPCとして製造したものの中の1台をサーバーとして使用して10年間故障知らずで使っています。
ならば、現状入手しやすいCore Ultra 5 の中でECC対応のCPUを選択する手もあるのではないかと、Core Ultra 5 235を選択しました。
第二章 マザーボードの選択
1. マザーボードはCPUに応じてASUSのPro WS W880-ACE SEとしました。一般的には入手しにくいマザーですが、知り合いの部品商社から納期約一週間程度との回答をもらいました。
第三章 メモリの選択
1. メモリはDDR5-5600 ECC UDIMM 16GBを2枚使用することとして、価格と納期から最適であると考えたKingston製としました。
第四章 ストレージの選択
1. ストレージはサーバーの重要構成部品ですので、耐久性、扱いやすさ、入手の容易さを
考えてSamsungのPM893 2.5インチ SATA 480GB 1DWPDを2台搭載し、RAID1構成としました。
第五章 バックアップ用ストレージの選択
1. 例えエントリーサーバーといえども、バックアップ用ストレージは欠かせないので、ここにはWestern DigitalのWD Red Plus 2TBを1台充てることとしました。さらに安全を考えてもう1台を追加して、ここでもRAID1を構築すべきかと考えましたが、それよりも外部でバックアップする方が良いと考え、あえて1台としました。
第六章 電源の選択
1. 電源は750W Goldで十分であると考えて安定しているSeasonicのFocus GX-750としました。
第七章 ケースの選択
1. ケース選択の第一条件は静音性対策品であること、サイドパネルがガラスでないこと (これは小職のこだわりなのですが、PCを使うときはモニターを見ているはずで、機械の中身がビカビカ光っても業務に邪魔になる、ましてやサーバーならば余計そうなるはずであるとの思い) から決めています。
2. 今回は水冷のラジエターは使用しませんので、上部が網状になっていないもの。
3. 更に出来るだけ小型ケースであること。
4. 以上の条件でAntecのP7Sに決定しました。価格もリーズナブルだし。
第八章 静音性にこだわった選択
1. CPUのTDPが65Wなので、CPUクーラーは空冷で十分であり、静音性に留意してNoctuaのNH-D15 G2を選択し、静かによく冷える構成としました。
2. 更に冷却性能、静音性と耐久性にこだわってケースファンのフロント3基とリヤ1基をNoctuaのNF-A12x25 G2 PWMに換装することにしました。
3. 上記処理により価格は若干高くなりましたが、事務所内で使用することを考えて静音性を第一としたハードウェアの完成です。
第九章 OSはどうするか
1. OSの選択はSierに任せることにしたいのですが、もしプレインストールを要求された場合に備えてWindows Server 2025 Standard 64bit 16 Coreを用意することにしました。
第十章 価格はどうなった
1. OS無し価格で、消費税抜き724,000円
2. OSインストール済み価格、消費税抜き997,000円
弊社の作業費と利益及び部品価格値上がり予測を計算すると、こんな金額になりました。
以上が第一次企画案ですが、これで取り敢えず見積書を作成して先方へ提示しました。
結果として、この提案はボツになりましたが、せっかくここまで考えたので、広く世間一般に知ってもらっても良いのではないかと考え、再度部品の見直しを行い、第二次企画案としました。
第二次計画
第一章 CPUの変更
1. 第一次計画で選んだCore Ultra 5 235も良い選択だったと思うのですが、第一次計画から約1ヶ月も経ってみるとCPUの需要供給も様変わりしており、Xeon 6353Pが入手できそうな気配となってきました。
それならば、サーバー用のCPUとしてXeon 6353Pの方が価格は高くても世間的に受けが良いのではないかと考えて、採用することにしました。
第二章 マザーボードの変更
1. CPUの変更に伴ってマザーボードも変更となりました。
最初はASUSのP13-R-M (Micro-ATX) を考えたのですが、ケースに余裕があるので、ATXでもいいんじゃないかとP13R-Eにしました。
2. ところがP13R-Eの性能諸元を確認していると、イーサーネット10Gの接続を2口持っているP13R-E 10G-2Tというマザーボードが有ることに気づきました。
後で10Gにするためにネットワークカードを増設する必要が出ることも考えてP13R-E 10G-2Tを採用することにしました。
第三章 その他の部品
1. CPUとマザーボード以外の部品は特に変更する必要もないだろうと考えて、第一次計画と同様のものを使用することにしました。
第四章 価格の変更
1. OS無し価格で、消費税抜き843,000円
2. OSインストール済み価格、消費税抜き1,110,000円
第一次計画との価格差は約10万円アップになっています。
結論
第一次計画案でも問題なくサーバーとして何年間は使えると思いますが、10万円を足すだけでサーバーとしての安心感を手に入れられると考えた場合には、第二次計画案がよりベターなのかと思います。
しかし、使用場所、使用方法等によりCPU変更、ストレージ増設により部品選定も変わり、部品価格は現在の価格を参考にしていますので、この先大幅に変わることも予測できなくはなく、これを一つの例として考えていただければと思います。
以上、事の顛末を書き連ねてまいりましたが、機器の詳しい内容につきましては、弊社ホームページおよびBASEをご参照ください。
ホームページ : https://www.fuka39.com/
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ご質問、ご提案等がございましたら、eigyo@fuka39.comまで、ご連絡をお願いします。
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