[47]開発が進む大阪で考える都市の未来(連載:乱世をサバイブする体づくり、デジタルノマドの窓)
毎週日曜に投稿する本マガジン「移動日記(仮)」では、デジタルノマド/ヘルスコーチとして国内外を移動する筆者が、現地で実際に見て、聞いて、体験したことや考察などを世界のどこかからお届けします。
近況
今週は大阪にいます。
滞在しているホテルの近くには、美術館やおしゃれなカフェが並ぶ堂島川が流れ、京都の鴨川とはまた違った洗練された雰囲気を感じます。川沿いを歩いていると、まるで都市の力を誇示するかのように、空へ向かって伸びるタワーマンションと高層ビルの連なりが視界に入ります。
中之島、堂島、梅田、そして湾岸エリアの再開発は途切れることなく続き、タワーマンションの建設も止まる気配がありません。大阪万博やIR構想などもあり、この都市は今まさに新しいフェーズに入ろうとしているようにも見えます。
一方で、人口が減少していく日本にこれほど多くのタワーマンションは本当に必要なのか疑問に思います。タワーマンションは単なる住宅ではありません。高さを出し、ブランドをつくり、都市の象徴として多くの住戸を売る。近年は金融商品に近い存在になっている側面もあります。特に東京の湾岸エリアでは、値上がりを期待した投資需要が市場を押し上げてきたと言われています。
豊洲、晴海、有明といったエリアは、この20年で大量のタワーマンションが建設されました。結果として湾岸エリアには人口が流入し、新しい都市が形成されましたが、その一方で、投資目的の所有や空室問題なども指摘されるようになっています。
大阪でも、同様の構図が生まれつつあるように見えます。もちろん東京と大阪では市場規模も需要の性格も異なりますが、高さとブランドで価値をつくり、投資需要を取り込むという開発の論理は共通しています。そして日本全体では、住宅の総数はすでに世帯数を上回り、空き家も増え続けています。住宅そのものが余っていく時代に、高層住宅を増やし続けるモデルがどこまで持続するのでしょうか。
隣の兵庫県・神戸市では、都心部でのタワーマンション建設を制限する政策がすでに導入されています。容積率の緩和を抑制し、一定の高さ以上の建築を規制する地区を設けることで、都心への過度な人口集中や郊外の空洞化を防ぐ狙いがあります。高層マンションの維持管理の難しさも、その背景にある問題の一つです。YouTubeチャンネルのPIVOTに出演した京都大学経済研究所の森知也教授も、人口減少予測の観点からタワマンの廃墟化リスクを指摘し、現在の建設ペースに強い疑問を呈しています。
タワーマンションは建てることよりも、維持することの方が難しい。修繕費、管理費、住民の高齢化、合意形成の難しさ。数十年後には、建てた後の管理が都市の課題になる可能性もあります。高さを出し、ブランディングをかけ、より高く売る。それは都市開発としては分かりやすいモデルですが、そのモデルを人口減少社会の日本でいつまで続けられるのでしょうか。じわじわ都市の老化が進み、気づいた時には手遅れになっている気がしてなりません。
まだまだ寒い堂島川沿いを散歩しながら、20年後、30年後のこの景色がどうなっているのかを想像しています。ちなみに僕は鴨川の方が好きですね。
乱世をサバイブする体づくり[29]
現代は災害や不安定な社会情勢、不健康な食習慣が広がる“乱世”です。本連載では、「9年の筋トレ経験と精密栄養学の知見」をもとに、筋力・食事・休養の3本柱でパフォーマンスを最大化する体づくりを解説。盾にも剣にもなる肉体を、今こそ手に入れましょう。
第29回:筋トレ3分割のメニュー/マグネシウムの効果/ハーブティーで体を整える
トレーニングの3分割法は、部位ごとに刺激を整理することで、1回のトレーニングの集中度が高まり、筋肉により明確な刺激を与えることができます。今回は、押す・引く・脚の3分割トレーニングの組み方、神経や筋肉の働きを支えるミネラルであるマグネシウム、そして回復習慣としてのハーブティーについて解説します。トレーニング・栄養・休養をバランスよく整えることで、体づくりの質は大きく変わります。
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デジタルノマドの窓
[9]欧州編:マルタとスペイン。「ノマドビザ」が“居住の入口”になる2つの王道
欧州のデジタルノマド制度を見ていると、同じノマドビザでも、アジア編より一段「居住」に寄っている感覚が強くなります。滞在を許すというより、「住む」ことを前提に、ルールと書類を積み上げていく。今回はその欧州らしさが分かりやすい マルタとスペインを深掘りします。どちらも「国外の仕事で暮らす人」を受け入れる制度ですが、入口の作り方が対照的です。
マルタのNomad Residence Permitは、制度の線引きがとても明確です。まず対象はEU/EEA/スイス以外の、いわゆるサードカントリー国籍の申請者であることが前提になっています。 そして「どんな形で国外の仕事をしているか」を3つに整理していて、①外国企業に雇用されている、②外国企業(国外登録)の事業を行っていて株主/パートナーである、③国外に拠点のあるクライアントにフリーランス/コンサルとしてサービス提供している、という枠です。 さらに、外国企業に雇用されていても「サービス提供先がマルタ国内の子会社」だと対象外という除外条件まで明記されています。 この“例外まで先に書く”ところに、制度を居住のルールとして運用したい国の本気度が出ます。
金銭要件もはっきりしていて、最低の年収条件は年42,000ユーロ(約7,695,000円)。ここに保険、住居、身元確認が続きます。マルタでは「マルタおよび欧州でのリスクをカバーする医療保険」、賃貸または購入による住居の証明、無犯罪証明などが要件として並び、バックグラウンドチェックも含めて“住む前提”で整備されています。 さらに運用面では、最初は1年発給で、更新を重ねて最大4年まで、という整理が公式FAQで示されています。 マルタは「年収ラインを置いて、対象者をきれいに切り、島の中で摩擦が起きにくい形で長期滞在者を受け入れる」制度だと言えます。
一方のスペインは、同じノマド制度でも「賃金指標(SMI)に連動させる」設計が特徴です。少なくとも提出書類の公式チェックリスト(Residence visa for telework (digital nomad) / TEL)では、リモートで働く対象は「原則としてスペイン国外に所在する企業」で、被雇用者は国外企業のためにのみ働ける前提が明記されています。一方、自営業(self-employed)に限っては例外的にスペイン企業向けの業務も認められますが、その割合は全体の20%を超えてはならない、という形で国内市場との摩擦を制度側がコントロールしています。
収入要件は、ここがまさにスペインらしいところで、必要な資力は「月額最低賃金(SMI)の200%」(約2,800ユーロ=約513,000円)と明記されています。 さらに家族帯同についても、最初の家族はSMIの75%、追加の家族は1人あたりSMIの25%という上乗せルールが書類上で整理されています。 固定額ではなく、SMIに連動するから、年ごとに数字が自然に動く。インフレや制度改定が起きても運用が崩れにくい、“制度として長く回す”ための作りです。
スペインはさらに、居住の入口としての条件も厚い。健康保険は「スペインで営業可能な保険者による保険(公的医療相当をカバー)」を求め、犯罪経歴証明も含まれます。 仕事側の要件も積み上げ式で、会社側の証明(リモート許可、勤務期間が少なくとも3か月など)、会社が設立1年以上であることの証明などが並びます。 さらに学位(大学等)か、同等の職務で3年以上の実務経験という条件も明記されています。 そしてビザの有効期間は原則1年(または付与された居住許可が1年未満ならその期間)と整理されています。
ここまで見ると、マルタとスペインはどちらも「国外の仕事で暮らす人」を受け入れる制度ですが、入口の作り方が違います。マルタは年収42,000ユーロという固定ラインと、対象外ケースまで含めた線引きで“摩擦を減らす”設計。 スペインはSMI連動の資力要件を核に、国内向け業務を20%に抑えるなどのルールで“国内市場との距離”を管理しつつ、居住ビザとして書類を積み上げる設計。 どちらも「ノマド=旅人」ではなく、「住む人」として制度の中に入れていく。欧州編の核心は、この感覚だと思います。
※制度は更新が速いので、申請時は必ず公式情報で最終確認してください
※本文中の金額は3月15日時点の為替レートです
次回に続きます。
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