R7年度 滞納整理事務の充実を目指して(11月3日現在)

 今回は臨戸や納税交渉で納税者・滞納者と直接会話をするのですが、一度だけ本当に怖いという思いをしました。その怖いと思ったお話しをします。平成一桁代不良債権の処理をするに当たり、関西から東京に暴力団が企業舎弟(きぎょうしゃてい)として進出していました。その一つが滞納者の法人を乗っ取り滞納法人の代表取締役になったため納税交渉をするはめになりました。


 フロント企業発生の時代背景

 当時バブル崩壊後(平成2・3年後)の不良債権をとにかく早く処理することが民間企業にとっては最優先課題でした。不良債権を多額に抱えている企業は返済できる資金もなく、不動産を二束三文で売却しなければなりませんでした。もちろんこの不動産にはいくつもの抵当権等が設定されていて回収の見込みが立たず、タダ同然で売却されるようになりました。ここに目をつけた暴力団の構成員や暴力団周辺者(準構成員)が、資金獲得(シノギ)のために経営する企業・及びその役員や従業員を買収したり乗っ取りということを始めるようになったのです。いわゆる「企業舎弟」フロント企業」と呼ばれるものです。

 代表者の変更名義による納税交渉

 私の担当する滞納事案で急に代表取締役が変更になった案件があったので、私と相方で臨戸することになりました。予約の日時に会社に臨戸し、応接室のようなところで待たされました。それから滞納法人の代表取締役が部下2人を従えて入ってきたのです。人相も柄も良くないというのが率直な感想でした。部下2人の内、兄貴分に当たる者が「要件は何か」と切り出しました。私が「御社の税金が滞納となっているため伺いました」という話しをするとともに滞納金額についても説明しました。

 3人の役割分担

 私が説明して滞納金額をどのように納付してもらえるのか確認しようと思ったところ、部下2人の若い方が急に大きな声で「何を言っているんだ、今聞いたばかりだ。今親分は考えているんだ」と怒鳴り始めました。そしてその状況をまとめようとして兄貴分が、「静かにしろ、今その話しを聞いているところだ。お前は少し黙っていろ」というのです。この会話どこかで聞いたようなセリフだと思っていました。テレビの漫才で3人組がトリオでこういう掛け合い漫才をしているのを思い出したのです。まさにその通りでした。

 一言も話さない代表取締役(親分)

 真ん中の代表取締役(親分)は、面談が開始してから一言も話さないだけでなく、注意してみると瞬き一つしないのです。眼を見開いて、じっとこちらを威嚇しているだけでした。それは蛇の眼を見ているようで、時間が経つとともにだんだん怖くなってきました。これまでたくさんの納税者・滞納者と接触しましたが途中でこんなに怖くなったことは一度もありませんでした。これは何を話しても無理だとようやく理解したので、相方に小さな声で「これは困ったな」と囁いたところ、「無理ですよ。相手にならないから帰りましょう」と言ってくれたのでようやく退出したのです。時間は約30分でしたが気持ち悪い雰囲気を二度と味わいたくありませんでした。

 もう納税交渉はしたくないという本音

 職場に戻る道中で、私は相方に「二度と臨戸もしたくないし、話もしたくない」と説明しました。蛇のような白い目でみられた怖さからきたものと思います。二人とも今後の対策を立てようにもありませんでした。面談してから一週間もしない内に滞納法人の「破産申立」がされたことを知りました。これは滞納法人に対する債権者から申立で裁判所が決定を下したのです。これで私の望み通り滞納法人の代表取締役と接触する必要がなく、破産管財人の弁護士と納税交渉することとなりました。本当に困ってしまい、「万事休す」と思っていた矢先のことで嬉しくて仕方がありませんでした。皆さんもたまには運を天に任せることもあるかもしれません。頑張ってください。
 
  

 


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