作家志望ADHDが家の中を片付ける act.1.5 片付けないキッチン
タイトルの通り、作家志望でADHDの私が家の中を片付けるシリーズを始めたのは、あらゆる場所で堆積物がゆうに1メートルをこえているような家をどうにかして、人間らしく2025年を迎えたいという理由からだ。
断じて私は家事が嫌いではない。
なにかのために手を体を動かすのは決して嫌いではない。
趣味は整理収納と言い切れるくらい、片付けが好きだ。
でも散らかっているのだ。
好きだからといって片付いているとは限らない。
片付けるのが好きだし、片付けてもいる。
そのスピードをはるかに凌駕する勢いで散らかしてしまうのだ。
散らかして片付ける、マッチポンプ生活を送って早〇〇年。
もはや片付けのプロであり散らかしのプロである。
散らかるから片付けるのか、片付けるから散らかるのか。
卵が先か鶏が先か。
そんな私の家でも決してこのシリーズに登場しないであろう場所がある。
それはキッチンだ。
我が家のキッチンは散らからないので片付ける必要がない。
お見せできないのが残念なくらいのドヤ顔で今これを書いている。
引越しのたびに汚部屋を錬成し続けてきた私は知っている。
片付けの極意はものを置かないことだ。
あるいは、置く場所を決めることだ。
ひとつでもものを置いたらそれはおわりのはじまり。
だから私はキッチン(コンロやシンク、調理スペースがあるところ)にはなにも置かない。
菜箸一本も置かない。
全て収納する。
壁にかけることもしない。
料理研究家でもない私がキッチンに立つのはせいぜい一日に数回だ。
そのたった数回に時短だと言ってツールを壁にかけるくらいなら引き出しから取り出す手間をかけても、物を置きたくない。
置いたらどうなるか知っているだろうか。
彼らは繁殖する。
菜箸を置いたらあっというまに、レードルやフライ返しが現れる。
包丁をマグネットで壁につけるとどうなるか。
翌日にはキッチンバサミも隣に並んでいるだろう。
使わなかったけどなにかに使うかもしれないからと寿司のパックについてきたわさびの小袋を置いたらあっというまにカラシや黒蜜や粉末ソースが集まってくる。きざみのりもくる。
ひとたびそれが山になれば、片付いたキッチンの崩落は時間の問題なのだ。
そんなわけでキッチンの秩序を保つべく、なにも置かない主義を徹底している。
そんな片付いたキッチンでなにをするかというと、読書と執筆だ。
水や油が縦横無尽に飛び跳ねるキッチンにおいて紙の本では相性が悪いのでもっぱら電子書籍だが、キッチンとは読書をする場所である。
ちなみに私はカウンターキッチンより、壁付けのキッチンが好きだ。
窓があるとなおよい。
カウンターキッチンはどうしても、ダイニングやリビングが目に入るので、家族とほんわりつながっているところがいいのだろう。
でも私は、キッチンにいるときくらいこもりたい。
ひとりの世界に入りたい。
現実から離れ、壁に向かい、考え事に没頭したい。
なので壁付けキッチンが好きだ。
そこにお気に入りの折りたたみ椅子をひとつ置く。
話がそれたが、キッチンは「私がひとりになれる場所」なのだ。
もちろん家族と並んで料理する時間も好きだし、我が家では二人、三人と並んで料理していることもある。
そう書くとほんわか家族のようだが、実際は中華料理屋の喧騒よろしく狭いキッチンで尻と尻で押し合いながら必死で調理スペースを確保してガチャガチャと調理している。
ひとりでキッチンに立った場合は思う存分好きなことをする。
その合間に料理もする。
おすすめのメニューは煮物だ。
材料を切って調味料と鍋に入れて煮込む。
グラタンなどのオーブン料理もいい。
ほったらかし調理が流行っているし、そういった調理器具を使うのもいいと思う。
火の加減を見ながら、スマホで読書、執筆、動画の視聴、友人との通話。
ときには歌い、ときには踊る。
犯罪行為以外なら、ここではなにをしても許される。
料理に時間がかかればかかるほどよい。
コスパ、タイパ、時短、そういった呪縛から離れてみたことにより私はキッチンに立つ時間が好きになった。
タイパや時短を求めるとどうしても逆に時間に囚われてしまう。
調理を時短して生み出された時間は、なにか有意義に過ごさなければならないような気がしてしまう。
のんびりダラダラ好きなことをする。
その合間にちょっと手を動かしたらなんと料理もできている。
好きなことをする場所だから片付いていたほうが心地いい。
だから物を置かない。
(好きなものを置くという手もあるかもしれない。増殖をコントロールできる人なら)
毎日シンクも磨いて水滴も拭きあげている。
大好きな読書をする大切な場所だから。
家事を好きになるというのは、その場所を好きになるということなのかもしれない。
本田すのう様の私設コンテスト「すのう杯」に参加しています。
本田すのう様、このような機会を設けて下さりありがとうございました。
#私も家事が好きになる
髙岡
