駆け足日記【2025年6月16日~22日】
#20250623-552
2025年6月23日(月)
小学生から日記をつけているが、すぐ冗長になる。
一日をパキッと短文で潔く綴った日記に憧れる。
今週は、それを狙ってみようと思う。
3行日記もやりたいが、まずは1日の1場面の切り取りを目指そう。
目標は1日600字以内。
(日付とタイトルを除いて!)
できるだろうか。
2025年6月16日(月)誘拐の心配。(336字)
夫、休日。
朝からお湯のなかにいるような蒸し暑さ。
放課後、家族3人そろっての用事があった。
夫と娘は自転車で、朝から実家に寄っていた私は交通機関だった。
日が暮れた帰り道、自転車組と交通機関組にわかれようとしたら、夫がレンタサイクルを提案する。
初レンタサイクル利用。
自分専用のロードバイクでもなく、娘の子ども自転車でもなく、買い出し用の電動アシスト付き自転車でもない自転車は乗れないことはないが、高さといい、サドルの座り心地といい、違和感がすさまじい。
家近くのポートにレンタサイクルを返却。
荷物が届くので、夫は先に家へ。
娘に夫と帰るよう促したら、「ママといる」という。
「ママは、可愛い過ぎるから攫われたら大変だから」
なに、その突然の姫様扱い!
2025年6月17日(火)「今」と「後で」しかない娘の天秤。(553字)
夫、出勤日。
娘、学校行事だったせいか、珍しく疲れ気味で帰宅。
「習い事に行きたくない」とソファーにダイブする。
昨日は酷暑に学校(今夏初のプール授業あり)、さらに放課後に用事とハードだったので、まだ週頭だし、休ませるか悩む。
いびきをかいて寝だしたので、習い事に行くにしても遅刻連絡を入れ、しばし眠らせる。
私が起こす前に飛び起き、「バス!」と叫んでリュックを背負ったので行くことにする。
バスは3つ前のバス停まで来ており、あと数分なのにそこから動かない。
夕方の単なる渋滞なのか、工事渋滞なのか、事故渋滞なのか。
強い陽射しのもと、日傘をさして待つこと30分。
さすがに不憫になり、「休もうか」と提案する。
「帰ってさっさと宿題やって、あとはのんびりしよう」
宿題さえ終わらせれば、漫画でもTVでも見てもいいし、早くベッドにも行ける。
いいこと尽くしだと思ったのに、娘は顔をしかめる。
「宿題やんなきゃいけないなら、行く!」
「え? 宿題は習い事に行ってもやんなきゃいけないよ? 習い事に行って帰って、さらに宿題もするのは大変じゃない?」
娘の天秤には「宿題」を「今、やる」と「後でやる」しかのっていないらしく、「後でやる」に傾いたようだ。
1日のトータルで見たら、どっちが楽なんて——それはあくまで大人の見方なのだろうか。
2025年6月18日(水)忘れ物。(514字)
夫、出勤日。
習い事へ送るべく、娘とバス停へ行く。
バス停には娘と同じ小学校の男子が立っていた。
娘のささやき情報によると、1学年の下の5年生らしい。
バスが来た。
先に並んでいた男子が乗ろうとして、リュックの肩紐に手をやる。
「あ!」
どうやらパスケースを忘れたらしい。
私は私で、スマートフォンしか持っていない。
行きは、娘の交通系ICカードで小児2人分を支払わせてもいいが(まだしっかり小学生に見える男子だった)、帰りは?
習い事先の大人にお金を借りられるだろうか。
さっきスマホを持っていたから、親が迎えに来られるだろうか。
決断できないまま、バス停に並んでいた娘もほかの大人もバスに乗り込み、ドアが閉まった。
男子が横断歩道のないバス通りを家に向かって渡ろうとする。あまりにも危なっかしいので、声を掛けて一緒に渡る。
渡り終えると、男子はスマホを耳にあててうつむき、小さな声でつぶやいている。
「うん、うん。PASMO忘れちゃった」
忘れたらどうなるのか身をもって知るのも経験だし、知らない大人に助けられるのも経験だ。
正解はないけれど、どうしたらよかったのか、考えてしまう。
日がだいぶ長くなり、もうすぐ18時だというのに明るい。
2025年6月19日(木)忘れ物その2。(674字)
夫、出勤日。
夕方、習い事に向かう娘を見送りにバス停へ行く。
娘は公園を横切って、あえて遠回りをする。
バス会社の位置情報に表示されないバスがあり、夫と私は「ステルス・バス」と呼んでいる。
梅雨は消滅したのか。
暑さが続き、日傘をさしても熱気がまとわりつく。
バスを待つあいだ、娘はパスケースで遊ぼうとしたようだ。
「あれ、ピッない」
我が家に来た幼稚園児からの習慣で、交通系ICカードのことを「ピッ」という。
昨日のことがあったので、今日は財布を持ってきていた。
現金を持たせる?
バスはまだいいが、その後の電車はどうする?
切符の買い方の練習なんてしたことがない。
バスはどこまで来てる?
なんでこういときに限って、ステルス・バスなんだ!
千円札1枚を娘に握らせ、私は家へ走った。
公園では同じ登校班の男子と男性が手を振っている。
とにかくパスケースを探してバス停に戻って、娘をバスに乗せ——ああ、あの人たちが私に用があるのなら娘を送り出してから聞こう。
パスケースを探すが、どこにもない。
インターホンが鳴った。
モニターを見ると、公園にいた男性と男子がパスケースを手にしている。
娘が公園で落としたらしく、届けてくれた。
男性がいう。
「おばさーん、おばさーんって呼んだのに。無視するんだからヒドイなぁ。オレ、嫌われた?」
手を振っていたのは見えたが、声は聞こえなかった。
だれに向かってなのか、慌てていたこともあり、本当にわからなかったのだ。
お礼をいい、バス停へ走る。
なんとか、なんとか、間に合って娘を送り出すことができた。
あがった息を整えながら公園に行くと、もう2人の姿はなかった。

2025年6月20日(金)ご近所との距離。(471字)
夫、出勤日。
朝、ゴミ捨てに出ると公園に昨日娘のパスケースを届けてくれた男性がいた。
改めてお礼を伝えると、男性はボランティアで公園の清掃をしているという。
「暇なジジイだから」
自身のことをそう称す。
パスケースを拾ってくださったことはありがたいが、話が長くなりそうなので慌てて手に持ったゴミ袋を示し、その場を去った。
「ゴミ捨てて来ますね」
ゆっくり、スローペースで走るジョギングを習慣にしている。
運動習慣や向上心がある云々ではなく、ひとえに体調を整えるためだ。
年齢を重ねるにつれ、適度に身体を動かさないと病気とはいえない体調不良に陥る。
ジョギングコースにストレッチをしている年配の女性がよくいる。
満面の笑顔で両手を振って「応援してるからッ!」といってくれるのだが、会釈を返すにとどめている。
足を止めたら最後、お喋りがはじまりそうだからだ。
公園に出没する男性もストレッチをする女性も住まいは知らねど、おそらく「ご近所さん」だ。
もっと距離を縮めたほうがいいと思う反面、「暇な身」だと思われても困る。
地域の人は家が近いがため、どうしても慎重になってしまう。
2025年6月21日(土)ここはどこ!(551字)
夫、出勤日。
娘の習い事の後、家族3人合流して甘いものを存分に食べる計画だ。
本日、夫は超早朝出勤で、それに伴い退社時刻も早い。
13時半に娘の習い事最寄り駅で待ち合わせをした。
道中の交通機関のなか、私はもっぱらスマートフォンを手に母に、伯母に、友人たちにとメールやLINEを送った。
家にいると、やることが次から次へとあり、なかなか文章を打てない。
移動中のほうがなにもできない分、こういったことができる。
余裕をもって家を出たので、待ち合わせ時刻を気にしていなかった。
電車がB駅に止まり、待ち合わせしているC駅まであとひとつだ。
昼過ぎの車内は空いており、冷房もほどよくきき、快適だった。
窓からさしこむ陽射しも紫外線カットガラスのおかげで尖っていない。
停車がちょっと長いな、とは思った。
だが、文章を打ち込むのに集中していたし、座っていたので立ち疲れることもない。
軽い揺れとともに、電車が動きだし、ふと目をあげると少し前に通過したA駅のホームが見えた。
慌てて、夫にLINEを送る。
「なぜかA駅!」
仕事を終え、C駅に向かっている夫から返信が届く。
「B駅止まりに乗っちゃったんじゃない?」
いつのまにか、折り返し運転になったらしい。
戻っても待ち合わせの時刻には遅れはしないが、時折私はこうやったポカをしてしまう。
2025年6月22日(日)水もしたたるいい娘?(691字)
夫、休日。
夫主催の鉄道模型運転会日。
鉄道好きの夫と出会うまで、鉄道模型を走らせる「運転会」なるものの存在を知らなかった。
運転会の日、夫は一日不在となる。

風はあるものの、陽射しは強く、今日も暑い。
「家の日」とする。
宿題を終えた娘は自室のベッドに横たわって漫画本三昧。
「読むな」といわないのに、冷房のきいた居間でなぜか読まない。
そうかといって、2部屋に冷房をかけるのも不経済だ。
クールネックと水筒を持たせる。
毎金曜日、娘は上履きを持ち帰るのに、洗わないまま週明け登校する。
洗剤と水を張ったバケツに上履きを浸す。
「午前中のうちに洗わないと、乾かないよ!」
漫画から目を離さず、娘はいい返事をする。
そのまま午前中が過ぎ、昼が過ぎる。
「火曜日から雨らしいよ」
「1時半になったら洗う!」
約束の時刻を過ぎても娘は動かない。
せっかくののんびり「家の日」だ。
心配だからとはいえ、口うるさくして、嫌な空気になるのはもったいない。
そのまま、そのまま。
いつまで洗わないのか、いつかは洗うのか。
3時になるとおやつを食べに、自室から出てきた。
「明日学校から帰ってきても上履きを洗ってからでないと、遊びに行かせられないな。今なら公園にだれもいないよ」
どうやら隣接する公園に友だちがいると洗いたくないらしい。
上履き洗いは褒められはしても、咎められる行為ではないのに見られたくないという。
窓から公園にだれもいないことを確認すると、慌てて飛び出て行った。
「ママママ、ママママ! 来て来て来て! まじヤバイ!」
シャワーヘッドが外れ、ホースの先から水が勢いよく噴き出ていた。
びしょ濡れの部屋着姿のまま、娘が笑っている。
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