雨宿り【シロクマ文芸部】
雨宿りには「狭くて暗いすき間」に入り込む。だから家の軒下・雨戸・戸袋・屋根瓦の下などに潜り込んで雨をしのぐ。おいらはコウモリ。2センチほどの隙間から入り込めるから、雨宿りの達人かもしれない。それで人間はおいらの羽に似たものを広げて雨をしのぐのかな?その道具をコウモリ、なんて呼ぶこともあるけれど、あれはパブリシティ権の侵害じゃないだろうか?
屋根瓦の下の隙間に潜んで見ていたら、おいらの偽物のコウモリもなかなかのすぐれものだ。どこかを押すとバン!と早業で開く。おいらがフクロウをみつけて大急ぎで飛び立つときみたいだ。それから、急に力が抜けてグシャン!と体を折り曲げるものもある。力尽きて倒れる場面を想像してちょっと気分が悪くなるが。
驚いたことに、この偽コウモリはいろんな色や模様があって、内側が銀色、外側が花模様なんてのもある。こんな派手好みはコウモリの風上にもおけぬ。もっと地道に生きるべきだ。
最近おいらは親になった。コウモリは哺乳類だから妻は赤ん坊に乳を飲ませ、大切に育てる。間違っても殺したりはしない。コウモリの翼は 指が大きく伸び、その間に薄い膜が張った構造で、鳥の翼よりずっと上等だ。おいらは手をいっぱいに広げ、家族や仲間を守る。人間には「核の傘」なんてわけわからん傘があるみたいだが、おいらのは間違いなく「愛の傘」だ。
おわり
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