【かぞくのじかん2×2】ふつうの醤油ラーメン
何故ですかねぇ……。
黒ねこ君は、こたつテーブルで大人しく寝ています。
休日の朝。
キッチンには、ごま油の香りが漂っています。
豆腐のふわふわ焼き。
気が早い、夕餉の支度です。
火を使うと、心配性の彼は、火から遠ざけるように、ニャーニャー鳴きながら、私の足を、グイグイと頭で押すんです。
だけど、今は大人しく寝てる。
もしかして、お湯を沸かすのが危ない、とでも思ってるんでしょうか。
だから、豆腐を揚げ焼きにしてる今は、大人しいとか……。
うん。良い感じに焼き色が付きました。
こたつに移動。
カフェオレを飲みながら、黒ねこ君を撫でます。
イヤー……。今週は、ドキッ、から始まった1週間でしたよ。
三毛姉さんです。
月曜日、朝ご飯を食べに来なかったんです。
まぁ、元々、朝寝坊ではありました。
でも呼んでも起きてこない。
あれ? 様子を見に行くと、ベッドで目は開けていました。
どうした? 大丈夫?
撫でると、撫でる手を舐めてくれます。
大丈夫そう……だけど。
なんだか気になって、心配してたんです。
帰宅すると……。
ニャーーー、って小走りにお出迎え。
なんだよ、元気じゃん、って。
苦笑いで、ほっとしました。
にぎっ。黒ねこ君が、私の指を握ります。
爪がちょっと痛い。
でも可愛い。
でも困る。
夕餉の茶碗蒸しの準備は……、まぁ後で良いか。
ジーーーー。
オケラの声。
庭の紅葉の緑。
夜は明けています。
網戸から、ちょっと冷たい風。
「ふつうの醤油ラーメンが食べたいな」
妻のリクエスト。
ふつうって、普通なら奥様が困る言い方ですよ。
ふつうって何? って。
でもまぁ、あんな感じかな。
にぎっ。黒ねこ君の爪。
柔らかな肉球。
指を握られたまま、それも後で良いか、って考えています。
妻と三毛姉さんは、寝ています。
すぴー……。黒ねこ君の寝息。
おやおや。指を握ったまま寝るつもりのようです。
動けないなぁ……。
まぁ、いっか。
ドキッ、から始まった今週は、まぁいっか、で終わろうとしています。
「うん! やっぱ朝はシンプルが良いね」
妻はご満悦。
チャーシュー、メンマ、海苔。そしてネギ。
ふつうの醤油ラーメン、合格みたい。
朝ご飯を食べた三毛姉さんは、また寝室へ。
黒ねこ君は、定位置の黒いクッションで同化。
ジーーーー、オケラの声を、カンカンカン……、踏切の音が上書き。
ずずっ。妻がラーメンを啜ります。
ざくっ。メンマの歯応え。
静かな音と共に、休日の朝が動き始めました。


