【村の風景】猫友 ―天国を知った猫―
三毛姉さん、脱走!?
何度かヒヤリとしたモノです。
聞けば、妻も同じ体験をしたと。
それほど、その子は三毛姉さんにそっくりなんです。
まぁ、よく見れば三毛姉さんの方が、白い部分は多いのですが、お外でパッと見た瞬間は、ドキーンとします。
そもそも三毛姉さんは、完全室内のお方。
どうやって脱走!?
黒ねこ君は!?
慌てて帰って、
「三毛姉さんは?」
って聞くと、
「どうしたの? おこただよ」
って。
そっくりなその子は、地域をウロウロしながら、家々でご飯を貰ってた子でした。
あるお家では、マルちゃん。
また別のお家では、王子と呼ばれてました。
女の子に、王子はどうかと思いますけど。
ここでは、マルちゃんと呼びます。
マルちゃんは、人懐っこくて、触らせてくれます。
お外でマルちゃんを撫でてた時に、近くのお家の玄関が開きました。
出て来た奥さんが、おや? って顔。
そのお家は、マルちゃんと名付けて、ご飯をあげてたんですね。
「お宅の猫ちゃんだったんですか?」
「いえいえ。猫はいますが、ウチの子じゃないです」
ほぉ、って奥さんは興味を持った様子。
「その猫ちゃんは、どこから?」
「元は外猫さんだったんですけど、ウチの子にしました」
「どうやって?」
奥さん、グイグイ来ます。
聞けば、マルちゃんをどうにかお家の子にしたいらしいんです。
猫を飼った事はないので、ネットや本で必要な物を勉強中なのだとか。
マルちゃんは、人慣れしてるから、そんなに大変じゃないと思うんですけどね。
聞けば、お家のには入って、ご飯も食べるそう。
だけど、すぐに、お外出して~~~が始まるのだとか。
外猫さんに限らず、出入り自由にしてる猫さんあるあるです。
「完全室内にするなら、心を鬼にするしかないですよ」
そうアドバイスしました。
マルちゃんがよくいる道は、そこそこ車も通るのです。
マルちゃんのためにも、完全室内が良いと思いました。
しばらくして、お家の前を歩いてると、お風呂場の窓から、奥さんの声。
「旦那さん、旦那さん。病院にも連れて行きましたし、今、心を鬼にしてるところです」
お風呂場の奥から、ニャーニャーとマルちゃんの出せ出せコール。
「猫さん、辛抱強いから、根負けしちゃダメですよ」
「分かりました」
お風呂場の窓で、奥さん、小さくガッツポーズ。
そんなある日。
奥さんが、猫のご飯皿を手に、ウロウロしてました。
なんだか心配顔。
「まさか脱走ですか?」
「そうなんですぅ」
奥さん、泣きそうな顔。
「お腹が空いたら帰って来ますよ」
「そう……だと良いんですけどねぇ」
そして、マルちゃんは、再び、室内飼いに戻りました。
だけど、玄関が開くのを虎視眈々と狙っていたそう。
そして、そろそろ寒くなったとこたつを出し……。
マルちゃんは、初見のこたつに警戒しつつも、恐る恐る入り……。
何ここ!? 天国じゃん! ってお気に入りになったんだとか。
もうお外なんか行かない! って、こたつ猫になったんですって。
ウチの子達も、こたつ大好きですが、マルちゃんのお外への未練をぶった切るとは、こたつ恐るべしですね。
そんなこんなで、会えば、マルちゃんママとお話する間柄になりました。
ワンちゃんの場合は、お散歩友達とかいるみたいですけど、猫友って村じゃ聞かないな、って。
マルちゃんに会えないのは寂しいけれど、お家でぬくぬく幸せなら、それでよしです。
良かった、ってお話でした。
