【かぞくのじかん2×2】Wスープの塩ラーメン ~夫婦間の秘密~
こたつテーブルで、黒ねこ君が鼻をスンスン。
お休みの今朝。
キッチンには、日本酒の香りが立ちこめています。
朝から呑む訳じゃありませんよ。
夕食の前菜の仕込みで、日本酒を煮切ってる所です。
黒ねこ君は、その匂いが気になる様子。
ニャー。
うんうん。
目を細めて、大好きだよ、と伝えます。
本日の夕食は、ホワイトデーバージョン。
前もって買って、冷凍庫にしまっておいた食材があるんです。
「何これ?」
妻に見付かってしまいました。
夫婦の秘密って、難しいですよね。
サプライズ的に、出したいじゃないですか。
でも、妻の瞳は、期待度MAXに輝いています。
この輝きは、白状しないとダメな奴です。
「週末、楽しみにしてるよ」
妻、にやり。
ちょいプレッシャーです。
火を止め、煮切ってた日本酒にお醤油を加えます。
そのお鍋をどかして、別のお鍋に湯を沸かします。
今度は、朝ご飯の塩ラーメンのスープ作り。
ニャー。
危ないよぉ。
黒ねこ君が、キッチンから離すように、私の足をぐいっと押します。
「はいはい。ごめんね」
こたつに戻る私。
休日の朝です。
急ぐ必要は、何もありません。
窓の向こうは、やっと明るくなり始めた時間。
シューーー。
石油ストーブに乗せた小さなお鍋から、湯気が立ち上っています。
もうしばらくは、石油ストーブのお世話になりそうですね。
こたつテーブルで、香箱座りした黒ねこ君と、静かな音を聞きます。
クツクツクツ……。
お湯が沸いたようです。
にんにくや白だしを入れると、日本酒の香りを上書きするように、塩ラーメンの香りが立ち上がりました。
ん?
香箱座りだった黒ねこ君が、首を持ち上げてます。
「はいはい。ごめんね」
弱火にして、また、おこたへ。
寝室へと続く階段。
寝ている妻や三毛姉さんにも、この香りは届いてるんでしょうか。
――コトッ。
カフェオレが入ったコーヒーカップの音が響きます。
黒ねこ君は、また香箱座り。
家族の気配に包まれた時間。
黒ねこ君が、目を細めます。
私の頬も緩みました。
これを続けたいな。
小さな安心と共に、毎週思うのです。

