小さな庭の備忘録⑭ 西洋ニンジンボク(チェストベリー)
この木を庭に植えて、もう十年以上になる。
とても丈夫で育てやすく、暑さにも寒さにもよく耐える。
そして何より、強剪定にもよく耐えてくれる。
限られた庭のスペースに、あれもこれもと欲張って植物を植え込んでしまった我が家の庭。
窮屈な思いをさせている植物たちには、少し申し訳ない気持ちになる。
それでも西洋ニンジンボクは、毎年たくましく枝を伸ばし、夏になると涼やかな薄紫の花を次々と咲かせてくれる。
蒸し暑さの厳しいこの季節、その涼しげな花は、庭にひとときの風を運んでくれるようだ。
「セイヨウニンジンボク」という少し変わった名前は、葉が西洋ニンジンに似ていることから付けられたという。
一方、ハーブの世界では「チェストベリー」と呼ばれ、古くから薬用植物として親しまれてきた。
この木を書こうと思ったとき、最初はそんな歴史や逸話、効能にも触れようと思っていた。
けれど書き進めるうちに、ふと気づいた。
私が本当に書きたかったのは、その知識ではなかった。
十年以上、この木を見守り、花が終われば「ごめんね」と思いながら強剪定をする。
毎年、「ここまで切ってしまって大丈夫だろうか」と少し不安になる。
春になっても芽吹きは遅く、今年は枯れてしまったのではないかと気を揉む。
それでも夏になると、何事もなかったように枝を伸ばし、涼やかな薄紫の花を咲かせてくれる。
そして今年もまた、庭には蜂たちのレストランが開店した。

写真に収めるのは難しかった。
セイヨウニンジンボクの受粉を助けてくれる、大歓迎のお客さんである。
何もしなければ、人を刺すことはほとんどない。

見かけによらず穏やかな性格。毎年やって来る、庭の愛らしい常連さん。
