📦第148話:流行ったのに、今は誰も語らないモノたち『なめ猫 ― ツッパリ子猫が社会現象になった』
🟩 はじまりの放課後
田中もも「なめ猫って、名前だけでもう時代の匂いがします」
佐藤風太「ソースは? 免許証風グッズまであったって、かなり攻めてますよね」
山本大悟「猫がツッパってるだけで売れるって、どういうことっすか」
喜三郎「そこなんじゃよ。あれは“かわいい”だけでも、“不良っぽい”だけでも足りんかった。両方が混ざったから、時代をつかんだんじゃ」
🟦 喜三郎じいちゃん、語り出す
喜三郎「なめ猫は、学ランや特攻服みたいな格好をした子猫の写真を使ったキャラクターで、1980年から1982年ごろにかけて初代グッズが大流行したんじゃ。免許証風カードなどの関連グッズも人気になって、まさに社会現象級やった。 」
喜三郎「今の人が“そうだったんだ”と思う点は、ここやな。あれは単に猫がかわいかったから売れたんやない。__“こわそうなのに小さい”というズレ__が、たまらなくおかしかったんよ」
喜三郎「昭和の終わりごろは、ツッパリやヤンキーの記号が街にもテレビにもまだ濃かった。せやから学ランやリーゼントみたいな見た目には、すぐ意味が通じる。その強い記号を、よりによって子猫に着せた。そこに笑いと可愛さが一気に生まれたんじゃ」
喜三郎「しかも免許証風グッズなんかは、“持っているだけでネタになる”強さがあった。つまりなめ猫は、キャラクターであると同時に、__見せびらかしたくなる小道具__でもあったんよ」
🟨 あの頃の、あの空気
喜三郎「文房具屋や玩具屋の棚に、なめ猫の顔がずらっと並んどった。子猫の丸い目に、やたら強気なセリフ。そこへ学ランや暴走族ふうの服が重なる。見た瞬間、もう笑うしかないんじゃ」
喜三郎「手に取ると、カードはつるっとしとる。シールや下敷き、文具もあった。友だち同士で見せ合う時の空気も独特でな。“これ持ってるんか”“その柄ええやん”と、かわいいとはちょっと違う熱があった」
喜三郎「現代人が気づくべきは、ここかもしれん。なめ猫は、__かわいい文化の中にパロディを混ぜた__早い例なんよ。ただ愛でるだけやない。ちょっと悪ぶって、ちょっと笑える。その“ズラし”が、ものすごく昭和らしい」
喜三郎「そしてブームが過ぎると、時代の記号が薄くなっていった。ツッパリの記号が日常から遠のくと、笑いの前提も少しずつ伝わりにくくなる。流行が消える時は、物だけやなく、背景の空気まで一緒に消えるもんなんじゃな」
🟥 今の子らの反応は…
田中もも「なるほど……猫のかわいさより、“不良文化のパロディ”が大きかったんですね」
佐藤風太「そこが面白いです。背景を知らないと、ただ変な猫で終わる。でも当時は記号が強く通じた」
山本大悟「つまり昭和の人ら、“ギャップ萌え”をもうやってたってことっすね」
田中もも「かなり近いです」
佐藤風太「しかも免許証風カードって、今でいう“ネタ画像を持ち歩く”感覚にも近いかもしれません」
山本大悟「俺ちょっと欲しいっす。財布から出てきたら絶対おもろいっすもん」
喜三郎「人は昔から、ちょっと笑えるもんを持ち歩きたかったんじゃろうな」
🟫 忘れられても、残ってるもん
喜三郎「なめ猫は、ただの珍キャラやなかった。時代の強い記号を借りて、そこへ可愛さをぶつけた。せやから、見た人の頭の中で一発で化学反応が起きたんじゃ」
喜三郎「流行いうのは、不思議なもんでな。ひとつの品が売れる時、その裏には必ず“その時代にしかわからん笑い”がある。なめ猫は、その見本みたいな存在やった」
喜三郎「忘れられても、あのズレの面白さまでは消えん。時代が本気だったからこそ、茶化しもまた、よう効いたんよ」
🌸ここまで読んでくださってありがとうございます。
「懐かしいな」「なるほど」と感じていただけたら、フォローやスキで応援してもらえると嬉しいです。
いいなと思ったら応援しよう!
🌿チップでの応援、ほんの少しでも嬉しいです。いただいたご支援は、新しい記事づくりの糧にします。