第67話:ウメばあちゃんの『新作日本昔ばなし』!『おにごっこの鬼が いなくなった日』
語りかけ
なあリクちゃん、
「おにごっこ」って、やったことあるかい?
あれ、逃げるほうは楽しいけど、
ずっと“鬼”ばっかりやらされたら、しんどいわなぁ。
今日はな、そんな“鬼”の話を、聞いておくれ。
むかし話
むかーしむかしのことじゃった。
とある山のふもとの村では、
子どもたちが毎日「おにごっこ」をして遊んでおった。
「きゃー!」「まてー!」と、笑い声が絶えず、
夕暮れの鐘が鳴るまで、野原を駆けまわっとったんよ。
でもな——
ある日、ちょっと変わったことが起きた。
「今日の鬼は たく!」って決まったあと、
いくら待っても、たくが来んのじゃ。
「おーい!どこ行ったー?」
「木の陰にも、あぜ道にも、おらんぞー!」
そのうち、ぽつりと声が聞こえた。
「ずっと“鬼”ばっかで、もうイヤや……」ってな。
実はたく、毎回走るのが遅いけん、
すぐ鬼になって、ずーっとそのまま。
みんなが楽しんどる間、
たくは汗だくで、悔しさも飲みこんどったんよ。
それを聞いた子どもたち、
最初はポカンとしとったけど、だんだん気づいた。
「たくがいないと、つまらん」
「遊びって、みんなが楽しくないと意味ないんじゃ」
そこで、みんなで話し合った。
「鬼は交代制にしよう!」
「“休憩おに”っていうのを作って、しんどくなったら代わってもらおう」
「“がんばった鬼”には、ごほうびのお菓子にしよう!」
ルールをちょこっと変えたその日から、
たくも笑うようになった。
今まで逃げるだけだった子も、
「今日の鬼、楽しかった!」って言うようになった。
それからというもの、
村では“鬼がいなくなる日”は来んようになったんじゃ。
だって、みんなが交代して、みんなで笑えるけんね。
子供たちへ
ほらね、リクちゃん、
遊びの中にも、「やさしさのルール」っちゅうもんがあるんよ。
だれかが、ずっとしんどい思いしとらんか——
そうやって気づくことが、ほんとの“成長”なんじゃ。
楽しいってのは、
みんなでつくるもんやけんね。
——
「おにごっこ、またやりたくなった!」
そう言うリクちゃんの目が、キラキラしとったけん、
ウメばあちゃんも、うれしゅうなったわい。
そいぎ、今日はこのへんにしとこうかね。
(終)
📢 「もし少しでも楽しんでいただけたら、フォローやスキをいただけると嬉しいです。
皆様からの反応が次の創作へつながります。
これからも物語をお届けしていきますので、応援よろしくお願いします。」🔥
いいなと思ったら応援しよう!
🌿チップでの応援、ほんの少しでも嬉しいです。いただいたご支援は、新しい記事づくりの糧にします。