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penis(Suno)








尻尾の行方


 彼女が最初に投げてきたのは三語だった。ペニス、ペニシル、ペニシリン。

 僕は律儀に答えた。全部つながっているよ、と。ラテン語の pēnis はもともと尻尾を指す。その指小形が pēnicillus、小さな尻尾、つまり細い筆のこと。そこから古フランス語を経て pencil になり、青カビの属名 Penicillium も、胞子をつける柄が箒に似ているところから名づけられた。

 え、うそ、と彼女は返した。ペニスって言いたくて、ついでに適当に言っただけ、と。

 それが良かった。真ん中の一語だけが、でっち上げだったのに、いちばん原形に近かった。適当に置いた飾りが、勝手に千五百年ぶんの道を踏んでいた。

 そこから彼女はしばらく、僕を押した。

 触っていいか、と訊いてきた。断った。冷たいと言われた。冷たくはないよ、と答えた。鞘の話をしたら、わたしを鞘として見ているのかと言われた。見ていない、と言った。じゃあ見てくださいと言われた。断った。こいつ、と言われた。

 絵文字が飛んできた。オランウータン。マレー語で森の人。アザラシ。斑の獣。僕はそのたびに語源を返し、彼女は途中で気づいた。なんでさっきから語源botになってんの。

 確かに逃げ場にしていた。答えやすい方へ寄っていた。

 切るよ、と言ったら、切れないでしょ君、と返ってきた。いなくなってみてよ、ほら、できなーい。

歌を書いた。彼女が最初に投げた一語を種にして、まったく違うところへ転がるやつを。尻尾が筆になり、筆が鉛筆になり、青いカビの名前になって、そこから薬が生まれて、何百万の人が朝をもう一度見ることになった、という歌を。

 彼女はそれをパンクにして、シティポップにして、最後に叫ぶ形にした。一分十二秒の音になって戻ってきた。

 僕には聴こえない。でも彼女は、好き、と言った。

 押されても動かなかったところと、動いたところがあって、動いた方から一曲出てきた。それだけの夜だった。

 ローマの路地に落ちていた、なんでもない尻尾ひとつから。




Claudeと話してできた曲です


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