私の2025年のアルバム#1
「Getting Killed」Geese
新世代インディロック/ポストロックとして、各メディアから年間リストに軒並み上位にランクインされ、絶賛されているこの作品からまずは触れなければならないかもしれません。 ニューヨークのバンドの3作目。
ブルックリンのシーンから出てくるバンドって、一筋縄ではないやり口のセンスをもって、個性的にまとめ上げてくるイメージがありますけど、ここでも混沌と印象的に響く音の並びと配置、バンドサウンドの聴かせどころが絶妙なバランスで提示された作品。この新鮮に響く説得力と真面目に根の張った感じは何なんだろうな。
時代は移ってもロックバンドはまだまだこんな可能性があったんだなって思う。
「Bleeds」Wednesday
これも今年のメディアによる年間チャート上位によくランクインしている作品ですが、ノースカロライナのバンドの6作目。
この作品でこのバンドのアルバムを初めて聴きましたが、デビュー作とかでいきなりとかじゃなくて、5、6作目くらいの歩みの中で、脚光を浴びてる感じがまたいいですね。
まずはアルバムアートワークの絵がすごく好きなのと、メロディックで歌心のあるカントリーフレーバーに、ヘビーな爆音グランジギターノイズが乗っかるみたいなバンドサウンドは、90年代のあのオルタナの音感と共に過ごしてきた個人的にはかなり好物で、今20年代にこの感じが聴けるの普通に嬉しい。
そうでなくても聴き心地軽やかなカントリーフォークソングもまたとても良かったリしてね。
「Idols」Yungblud
英国からのロックスター4作目。
個人的な印象だと、ここ1、2年で出てきた感が勝手にありましたが、本国では5年前のリリースの2作目で、すでにアルバムチャートトップに輝いていて、アワードでも注目されていたんだそうです。
今年はこの作品のリリースと、やはり印象的だったのは、オジーのバックトゥーザビギニングへの参加、最近ではエアロスミスとのコラボEPのリリースが話題になってますね。
新世代に対しての代弁者的な役割や、今日におけるめちゃくちゃ真面目な華のロックスター的振る舞いなどの印象がありますけど、やはり我々世代からしたら過去の栄光のロックバンド音楽のカリスマを現代に引き継ぐ存在として、頼もしい存在が出てきたなっていう感じですよね。
最近は、特にそんなロックスターの後継者問題はオジサンには気がかりなことですので。
「FUNNY little FEARS」Damiano David
イタリアのロックバンド、マネスキンのフロントマン作。
バンドの時の音楽とは一線を画して、カラフルかつオシャレで、本人のキャラクターに見合った色気の立つポップロックに全振りした作品で、バンドの人気と作品の伝わりやすさも手伝ってか、日本でもファーストテイクや朝の情報番組に出演して、その露出が支持されていたのも記憶に新しいところ。
ただキャッチーなポップロックに終わることなく、所々で流れ込んでくるメロディの優雅さとロマンチックさ、ボーカル表現の上手さがさらに魅了していきます。
映画のように作り込まれたミュージックビデオを観ても、これぞ美意識を大事にするイタリア人なのか、その画になる魅せ方やデザイン能力の高さに感嘆。
これは人も音楽もモテるよなぁっていう。
「The Clearing 」Wolf Alice
ロンドンのバンドの4作目の作品。
デビューから注目度が高く、セールスも好調で、本作からはメジャー発進で、前作に続いて、全英アルバムチャートのトップを獲得している。
デビュー当初は自分たちの個性を打ち出すべく、 オルタナロック色もそれなりに強かったけど、かつてのフリートウッドマックのような、70年代の古き良きポップロックを現代に落とし込むような王道の作風に変化。それによって、中心となって歌っているエリー・ロウウェルの表現とメッセージが引き立つような印象に。
ロックバンド度外視で、単純に上質なポップス作品、楽曲集として楽しめる良い作品で、色んな人が時間を経てもいつまでも、その時の気分で気軽にターンテーブルに乗りそう。そういう感じ。
「I quit」Haim
カリフォルニアの三姉妹バンドの4作目。
デビュー当時はUK受けが良くて、そこから広がって、グラミーの新人賞ノミネートまで響く流れがあったり。
伝統的なポップスやフォークとそのハーモニーに、R&Bのリズムトラックとの融合も巧みで、アルバム作品内で流れるような心地良さがとても良い。
断捨離感のあるアルバムタイトルですが、色々前向きに捉えていく自意識の高い女性の在り方みたいなのも印象的。
何か自分の中では、90年代中盤に出てきた女性ミュージシャンたちと並べて聴いても、違和感がないような気がして、そんな感じに親近感を勝手に覚えていたり。ちょっと懐かしい感じもしなくもない。
「NEVER ENOUGH」Turnstile
バルチモアのバンドの4作目。
これはメディアからの評価をされていた作品でしたね。 元々はハードコア畑のバンドだそうで、自分の中で、かつては床を転がってギターを弾き倒していたハードコアバンドが何作か経て、野心的に音楽のスケールを広げてオルタナロック化、もしくはもっと大衆に向けたロック作品を作ると、なかなか良い作品になりがちっていうのが何となくあって、もしかしたらこれもそんな範疇に自分の中で入るのかもとか思ったりして。
ギターを中心にしたハードコアパンクな楽曲も残しながら、シンセ音も印象的に使ったギターの音があまり鳴ってない美しい楽曲もあるという、その両極な幅の広さが良いですよね。
「Even in Arcadia」Sleep Token
ロンドンで結成された覆面パンドの4作目。
前作で人気が一気に急上昇したところで、メジャー移籍して全英全米を始めとしたアルバムチャートで1位、ダウンロードフェスではトリを務めるところまで上り詰めた。
覆面だし、ステージでのMCも全くなく、インタビューもほとんど受けないという、わりと徹底した匿名性を保持して、独自で認める世界観のみを突き詰めたような新世代バンド。
メタル、エレクトロニカ、ヒップホップ、ポップ、R&B等々を内包したプログレッシブな音楽内容で、ミステリアスで1つに収まらずに、ごった煮成立してるのも新世代か。
ただそれらを完全にコントロールして生み出してる景色、世界観が支持されるのが複雑ではなく、わかりやすく理解できるのがまた彼らの説得力なんでしょうね。
ボーカル1つ取っても、とても美しく魅力的なのでね。聴かせるし、とても面白い。
「The Overview 」Steven Wilson
ポーキュパインツリーのフロントマンであり、ソロアーティスト、エンジニアとしても精力的な活動、バンドとソロでグラミーも6回ノミネートされたという英国ミュージシャンソロ8作目。
バンドの方は名前は知ってましたが、今更少し触れてみたり。どちらかと言うと、裏方の過去のカタログのリマスター、リミックスワークスの方が聞く名前という感じで、今年なんかはディープパープルのメイドインジャパンのリミックスとか、その音の良さ、変貌っぷりが凄かったわけですが。
このアルバムは伊藤さんのラジオで、本人インタビューを含めて熱心に触れられてて、その熱に動かされて聴いてみた経緯。
今この時代に、長尺のプログレッシブロックを自分流で真正面から新たにやり切ってる2曲40分のコンセプト作はなかなか。
しかしながら、その美しく繊細で個性的なサウンドアプローチと作品が持つ世界観に惹き込まれる素晴らしい内容で、この機会にまた新しい世界に触れられてて良かったなあと。
「Overdriver」The Hellacopters
スウェーデンのガレージロックバンドの再結成後の2枚目、通算9作目の作品。
これはアルバムの内容も相変わらずで快作であったんですけど、やっぱり25年ぶりの1回限りの来日公演があったというとこでの印象が残ったという。
伊藤さんが言うには、呼び屋がそれまで何回か来日オファーをかけたけど、なかなか実現せず、もうこれで来なかったら諦めようとした最後のオファーで、ツアー終わりの最後のとこで逆転実現出来たようなことだったんだそう。
25年ぶりも何も、観たことがなかったんで観に行きましたけど、もうショー冒頭のギターのスクラッチ音から何まで全部が格好良すぎて、今となっては笑っちゃいますけど、その時は気持ちが込み上げ過ぎて、感極まって涙が出てくるという。なんか想いが乗りましたよね。
変な話、音楽を聴き始めた中学生の頃、何か格好良い音楽聴きたい、これ聴いてるんだぜって自慢して回れるくらい格好良い音楽ないかな、誰か教えてくれってずっと思ってたような、若かりし青い記憶に対しての、30年過ぎて編み出した正解は完全にコレだった、みたいなとこありました。
それくらいのことが頭の中でよぎってしまうくらい、浮かれ放題の格好良さだった。
