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#636_空白が満たす、心のスキマ_日記

──父が10年以上送り続けた、空白のメール。
本文には何もなく、ただ句点がひとつだけ置かれている。
むかしの私は、その沈黙の重さにいつも身構えていました。

言葉が得意ではない人が、
それでも何かを伝えようとするとき。

文字より先に、気持ちだけがこぼれてしまうことがあります。
私は長いあいだ、その全部を、
そのこぼれた気持ちを読み解こうとしていたことがあります。

季節の匂い、会話の断片、前回会った日の空気。

あらゆる手がかりをつなぎ合わせて、
間違えないように返事を考える毎日が続きました。

引用符の形が変わると、機種変更したことがわかります。
父はそれを不思議そうにしました。

ある日、ふと立ち止まった時に気づいたのです。

あれはただ、話したかっただけなのだと。
言葉にするのが照れくさくて、
それでもつながりたかっただけなのだと。
(何年かあとで確かめると、そうだと言いました)

ある日、私は読み解くことをやめ、
空のまま返信してみました。

元気なことがわかれば良いので、
朝や仕事終わりに、空メールを送ればいいのです。

すると、そこから遊びのようなやりとりが続きました。
言葉ではなく、存在だけを確かめ合うような往復です。

言葉を言いたいわけではなく、
父は、自分の存在を受け止めて欲しかったのだと
思うようになりました。

そのままでいい。
そのままが、父の芯だったのでしょう。

5文字、10文字と、父の言葉は少しずつ増えていきました。

言葉が整っていなくても、丸だけが送られてきても、
それは嘘のない父の愛だと思えたら、怖くはなくなりました。

──空白が、心のスキマを満たすことがある。
そのことを思い出した朝でした。

<了, 約 690 字>
かきおろし



あとがき

今日は小説のインターバルです。
エピソードの整理をして、ラストに向けて筆を進めようと思います。

……それにしても。
やっぱり、電話がいいみたいですね(笑)
声を聞けると安心ですから🍋

みなさんも、穏やかなよい1日をお過ごしください🥂

今日はジメジメ💧
爽やかなイラストでHappyになりますように🙌


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久藤 あかり | はじめまして! スキ、コメントが1番うれしいです。私の記事を元にあなたの記事を書いてもらうのも大歓迎!心が動く言葉はありましたか?ご感想お待ちしています😊