#601|編集者が考える「質問力」とは?
このnoteは2023年2月24日配信のVoicyの音源「フォレスト出版チャンネル|知恵の木を植えるラジオ」の内容をもとに作成したものです。
編集者が実践している質問術
今井:フォレスト出版チャンネルのパーソナリティーを務める、今井佐和です。本日はVoicyのハッシュタグ企画「いい質問って何?」というテーマで編集部の森上さん、寺崎さんとフリートークでお話していきます。森上さん、寺崎さん、よろしくお願いいたします。
森上・寺崎:よろしくお願いします。
今井:本日は「いい質問って何?」ということなんですけれども、編集者さんですと著者さんとお話しする時に質問力がかなり大事になってくるんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょうか?
森上:そうですね。企画を立ち上げるときもそうですし、実際に企画が通ったら、本づくりの取材をしていく。著者さんご自身が書くにしても、ライターさんが書くにしても、質問力が問われるわけで、質問の仕方次第では内容もだいぶ変わってくる可能性がありますよね。
寺崎:昨日、新人の編集者と「著者の信頼を得るために一番大事なことは何か」という話をしていたんですけど、質問の前にとにかく相手の話を聞く、自分の意見は置いておいて、著者の意見をちゃんと理解して一言一句聞くというのがまず大事なんじゃないかと思うんですよね。その後に質問だよね。
森上:そうだね。やっぱり前提として、相手に興味を持つっていうこと。そうじゃないとそこに対しての質問って出てこないよね。
寺崎:確かに。面接みたいになっちゃうもんね。
森上:そうそう。質問力がある人っていうのは本当に相手に興味を持っているよね。だから、その辺りが問われることは多いと思いますね。
寺崎:あと、我々が意識しているのが、コンテンツとして読者にとって面白い話、ためになる話をどうやって引き出すか。ポロっと出たエピソードに対して、「それってどういうことですか?」と深掘る中で出てきたりするよね。
森上:そうだね。だから、著者ご本人にとっては当たり前でも読者兼編集にとってはすごく興味深いことって結構あったりするからね。
寺崎:プロフェッショナルであればあるほど、ご自身が持っている強みをちゃんと出せていない場合があって、それを言語化していくのが我々の仕事だよね。
森上:そうだね。膨らませていく、掘り下げていく、そのあたりは我々の一番重要な仕事でもあるよね。だから、たまにライターさんと一緒に本を作らせてもらう時に、ライターさんに対して「え!もう著者さんへのこの質問終わり!?」みたいなことって、人によってはあるよね。
寺崎:「じゃあ、次の2章にいきましょうか」、「え! 待って! 待って!!」って。
森上:「もうちょっとこの部分は深掘ろうよ」みたいな。その辺はライターさんによって結構差が出るというか。
寺崎:そうですね。あと、やっちゃいけないのが、「自分はこれ、知っています」っていうことをほのめかせながら質問する。そうじゃなくて、「本当に知りたいから教えてください」という姿勢でないとだめで、知ったかぶっちゃうのはよろしくないよね。
森上:あるね。たとえちょっと知っていたとしても、知らないふりをして聞くべきだよね。
寺崎:あと、著者さんの素を引き出すということで、昨年11月に出した『人を選ぶ技術』という本に使えるネタが載っているんだけど、相手を素にさせる、リラックスさせるためにはどうすればいいと思う? 佐和ちゃん。

今井:相手をリラックスさせるためにですか?
寺崎:そう。素を出してもらうために。
今井:小さい頃の話を聞くとか?
寺崎:なるほど。これはね、もっとシンプルなの。自分がリラックスすればいいんですって。
今井:あー、なるほど!
寺崎:自分がリラックスすると相手もリラックスしてくるから、まずは自分がリラックスする。質問しながらリラックスするって大事かもって思った。
森上:いやー、そこは大事だね。緊張って伝わるからね。あと、人って誰しも自分の話をしたいという欲があるから、そこを満たすというのがやっぱり最初だよね。
寺崎:ありますね。俺、若い頃はあまり話すのが得意じゃないから聞き役に徹することが多かったんだけど、最近はすごく自分が話していてさ。
森上:おお(笑)。
寺崎:おっさんになったなと思って。人の話を聞く前に自分のことを話しちゃうの。ハッと思って、我に返ると「やべー、俺、自分のことばっかり話している」って思って。
森上:それって人間の本質としてあるのかね?
寺崎:いや、1つのおっさん化だと思う。
森上:なるほど。
寺崎:だから、ある意味、質問力が弱まっている。
森上:それは気を付けないといけないね(笑)。
一流ライターが実践している質問の技法
寺崎:で、今日のテーマで「これ使えるかも」と思って持ってきたものがあって。
森上:ほう。
寺崎:ライターの古賀史健さんの『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』、これに取材のパートがあるんですよ。具体的に使えるなと思ったのが、「質問力を鍛えるつなぎ言葉」。
森上:ほう。
寺崎:俺なんか「へえ」とか、「なるほど」とか、そんなのばっかりになっちゃうんだよね。
森上:僕もそのパターンが多いな。
寺崎:だよね。例えば「ということは?」っていう。「ということは、○○でもあるわけですか?」「ということは、今後は〇〇を目指しているわけですか?」とか、相手の話を引き継いで発展させていく質問。これ類型としては、「そうすると」「だとしたら」「とは言え」「それにしても」「言い換えれば」「そうは言っても」「逆に言うと」。これらがいい質問につながっていく接続語。
森上:なるほど!今も「なるほど」って言っちゃったけど。
今井:(笑)。
森上:“ということは”、これを古賀さんが話を発展させるときに使う言葉として使っているということは……。え!? そういうことじゃない?
寺崎:それはちょっとうまく返せないけど……。
森上:(笑)。今のは半分冗談だけど、これって言い換えをすることによって、1つのエピソードに立体感が出てくるよね。違う角度から見られるというか。それによってそのエピソード取り扱い方が変わってくる可能性があるよね。
寺崎:そうですね。古賀さんが書いているのは、そういった、いくつも接続詞によって相手の話を上手く引き継いで、深掘りして発展させていく。それはもう日々習慣にしていくしかないって書いてあるね。
森上:なるほど。
寺崎:「なるほど」ばっかりじゃダメだと。
森上:「なるほど」が一番多いね。
今井:(笑)。
森上:社会人になって一番使う言葉だよね。だって、学生時代なんて「なるほど」なんてそんなに使わなかったでしょ?
寺崎:そうね。
森上:いったん受け止める言葉として一番都合のいい言葉なんだけど。だから、今教えてくれたものはいい質問に変える時の接続詞ということだよね。
寺崎:そうですね。
森上:ちなみにリスナーの方で古賀さんをご存じない方もいらっしゃるかもしれないのですが、古賀さんは超一流ライターさんですよね。
寺崎:一番わかりやすいところで言うと、『嫌われる勇気』を書かれたライターさんです。

森上:そうだね。『取材・執筆・推敲 書く人の教科書』も売れたよね。

寺崎:これは本当にいい本です。面白いですよ。
森上:本当に我々は質問をすることが仕事みたいなことはあるからね。
寺崎:そうだね。
森上:だから、取材をしていてもあえてちょっと外すとかね。違う質問というか、あえて違うネタに持っていっちゃう時とか、逆にそっちばっかりいっちゃっている時は戻すとかね。「ところで一回整理したいんですけど」みたいな。
寺崎:よく失敗するのがさ、聞きたいことがあるのに話がどんどん逸れていっちゃっていて、いつのタイミングでこの聞きたいこと挟もうかばかり考えて、相手の話が聞こえてこないっていう。
森上:それも相手によるよね。
寺崎:そうね。
森上:バサッといっちゃっても大丈夫な人っているじゃん。
寺崎:でも、つなぎ目がなく話す人っているじゃん。もう質問が入れられないんだよね。そこはこっちの腕前だとは思うんだけど。
森上:そこにバサッと切り込むっていうね。
寺崎:そうそう。取材に社長と同席するとよく社長がやるのが、「いや、ちょっちょっ、待って待て」って。
森上:(笑)。
寺崎:あれは社長だからできるんだよね。
森上:まあ、相手によるよね。人による。
寺崎:まあ、関係性によるか。
森上:たまに僕が使うのが「もう1回話してもらってもいいですか?」みたいにオブラートに包んで言うとか。
寺崎:なるほどね。
森上:いい質問って相手に心地よく話してもらう質問だったりするよね。我々は本づくりにおいては間違えなく、そのテーマについてどう面白いこととか、新鮮なこととか、新たな技術を聞きだせるかだから。
寺崎:だから、いい質問を生み出すにはやっぱりその著者のコンテンツとかを事前に頭に入れて、事前準備が必要だよね。
森上:まあ、確かに準備は大事だよね。でも、あんまり準備をしすぎて、たまに……、ライターさんによると思うんだけど、予定調和の答えをさ……。
寺崎:ある!
森上:裏切りがないというか、面白くなかったりする場合があるんだよね。たまにこっちが欲しいものを言わせたいがために誘導尋問みたいになっちゃっていたり。
寺崎:そこは著者さんとライターさんの相性の問題もあるよね。
森上:そうそう。だから、そこを交通整理するのが我々編集の仕事だよね。たまにライターさんによってはその辺の部分で暴走している場合があるから、ちょっと注意したいところではあるよね。
寺崎:佐和ちゃんは、「いい質問」というテーマに関して何かお考えはありますか?
森上:そうだよね。佐和ちゃんは司会業とかやっているからね。
今井:今、寺崎さんがおっしゃっていた話に近くて、予定調和を壊すような質問が私は結構好きなんですよね。ある程度、台本とかあったりすると思うんですけど、つい台本から外れちゃって、聞いている人の内側からワーって溢れだす瞬間とか、「そういえばその質問を聞いて思い出したんだけど」とか、「話すつもりじゃなかったんだけど、そういえばこんなことがあって」とか、ポッと出た一言がすごく面白い内容だったりすることが多いなあっていう気がしているので、その瞬間を逃さないように、っていう気持ちではいますね。
寺崎:そういう瞬間ってあるね。ちょうどいい間でサッと入れられると最高だよね。相手がポロっと言ったことをちゃんと拾ってね。
今井:やっぱり聞くのが相手を引き出すのに一番大事なポイントなのかなっていう気はしていますね。
寺崎:なるほど。あ、また言っちゃった。
森上・今井:(笑)。
森上:今回のこのVoicyのテーマには何か意図があったのかね?
寺崎:特に書いていないね。
森上:そうだよね。まあ、我々の仕事にとっては必要不可欠なものですから。だから、知っているようなことでも質問するのは、いい質問だよね。我々の仕事に関していうと。
寺崎:そうだね。
森上:知っているふりかもしれないけど、あえて知らないふりをしてというか、まっさらな気持ちで。
寺崎:「ですよね」禁止!
森上:「ですよね」(笑)! 「ですよね」って使う人、たまにいるね。「ですよね」の裏にはやっぱり「私は知っていました」感が出ちゃうもんね。
寺崎:出ちゃうね。質問の意味がなくなっちゃうもんね。引き出す意味がね。
森上:そうそう!
寺崎:そんな感じかな。
今井:はい。ということで、本日はVoicyのハッシュタグ企画「いい質問って何?」をテーマにお送りいたしました。森上さん、寺崎さん、どうもありがとうございました。
森上・寺崎:ありがとうございました。
(書き起こし:フォレスト出版本部・冨田弘子)
