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自分で自分に、呪いをかけていませんか 〜キャリアを変える「セルフトーク」の話〜

私たちは、物事が思うように運ばなかったとき、とかくその原因を「外」に求めてしまいます。時代が悪い、社会が悪い、あの人が悪い、環境が悪い。そう考えているあいだは、いっとき心が軽くなるのかもしれません。

けれど私たちは、ときに自分自身さえも「外」の存在にしてしまいます。うまくいかない自分を、まるで他人のように見下ろし、厳しくダメ出しをする。あなたにも、そんな瞬間はないでしょうか。


目標が、いつしか「呪い」に変わる 〜大学講義で出会った学生たち〜

この4月から、私は2つの大学で「キャリア」に関する講義を、2コマずつ計4回担当させていただきました。とはいえ、私がお話ししたのは、キャリアの学術的な理論でも、向き合い方の作法でもありません。キャリアを築き、その目標を定めていくうえで、他者との対話は欠かせない。ならば、まずは対話そのものから学んでみよう。そんなテーマでした。

学生さんと言葉を交わすうちに、私はひとつの思いに至りました。彼ら彼女らは、多かれ少なかれ、自分のキャリアに悩んでいる。そして、一度目標を定めたなら、その目標に向かって突き進まねばならない、達成できなければそれは「失敗」なのだと、そう捉えているのです。

目標がないのも困りものです。けれど、目標を定めた途端に、それを達成できない自分は落伍者だ、という思いにがんじがらめになる。だから、目標を設定することそのものをためらってしまう。そうして、キャリアを描けないまま立ちすくんでしまうのです。

私はこの状態を、「自分で自分に呪いをかけている」状態だと感じました。誰に強いられたわけでもありません。自分が望む姿(Vision)を思い描き、そこへ向かって日々を重ねていく。ただそれだけのはずだったのに、いつしかその望みは呪いへと姿を変え、私たちを縛りつける。達成すれば、晴れてその呪縛から解かれる。けれど達成できなければ、私たちは自らを傷つけることになるのです。

キャリアは、誰のためのものか 〜自利利他円満という考え方〜

ここで、少し立ち止まって考えてみたいのです。キャリアとは、いったい誰のためのものなのか。

それは言うまでもなく、「私」のためのものです。親のためでも、パートナーのためでも、子のためでも、社会のためでもない。第一義には、自分自身のためにあるものです。

仏教に、自利利他円満(じりりたえんまん)という言葉があります。世間はとかく「利他の精神」を尊びます。けれど、それだけでは十分ではない、と説くのです。私(自利)も、あなた(利他)も、ともに円(まる)っと満たされること。そのどちらが欠けてもいけない、というのですね。

だからこそ私は、まず自分自身が満たされるために生きること、すなわち自分のキャリアを歩むことを、あなたにおすすめしたいのです。

「呪い」と「魔法」を分けるもの 〜セルフトークという心の声〜

とはいえ、生きていれば、ままならないことにも必ず出くわします。問題は、そのときです。うまくいかない自分に、あなたはどんな言葉をかけてあげられるか。私は、そこにこそ人生の分かれ道があると思っています。

この、頭の中で無意識に繰り返している「自分への語りかけ」を、セルフトークと呼びます。誰の心にも流れている、いわば心の声です。かくいう私自身、長いあいだ「これで大丈夫か?」というセルフトークに振り回されてきました。何を成し遂げても、その声が頭から消えることはなかったのです。

うまくいかないとき、私たちのセルフトークはこんなふうに響きます。「こんなはずじゃなかった…」「なんでこんなことになるんだ」。

けれど、まったく同じ出来事を前にして、こんな声をかけることもできるのです。「そうきたか!」「面白いじゃないか。いっちょ、やってやろう」。

私は、迷わず後者をおすすめします。

前者は、呪いです。後者は、魔法です。

同じ出来事でも、自分にかけるセルフトークひとつで、そこから始まる物語はまるで違うものになる。呪いをかけるのも、魔法をかけるのも、いつだって自分自身なのです。

すべては「Lead the Self」から始まる 〜自分を導くという第一歩〜

私が大切にしている考えに、「自然発生的リーダーシップ」があります。リーダーシップとは、肩書きや地位を持つ人だけのものではなく、必要に応じて誰からともなく発揮されるものだ、という考え方です。

そして、そのリーダーシップには段階があり、いちばん最初の一歩は「Lead the Self」──自分自身を導くことにあります。周囲を巻き込むより先に、まず自分をどう導くか。ままならない自分に、どんなセルフトークをかけるか。すべては、そこから始まるのです。

自分に魔法をかけられる人は、いつしか、まわりの誰かにも魔法をかけられるようになる。私はそう信じています。学生さんであろうと、人生のベテランであろうと、関係ありません。自分にかける言葉ひとつで、人は人生を変えることができる。だからこそ私は、対話を通して対話を学ぶ場を開き、一人でも多くのリーダーが生まれる講座を続けているのです。

もし今、あなたが何かにつまずいているのなら。どうか、自分を責める前に、そっと自分に問いかけてみてください。

「私は今、自分にどんな言葉をかけているだろう」

と。

その問いを持てた瞬間、呪いは魔法へと姿を変えます。
さっきまでと同じ景色が、まるで違う世界に見えるのです。

未来への航海を、ともに。


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