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小説 「嘘の裏地」―修羅場で剥がれ落ちた、ある夫の仮面

ある日突然切り出された離婚。車内の小さな録音機が捉えていたのは、一番近くにいた人間のあまりにも無様な本性だった。

「性格の不一致だな」
夕食のサンマを綺麗に食べ終え、骨だけになった皿を脇へ押しのけながら、夫はそう言いました。
生後六ヶ月の娘を抱え、夜泣きと授乳で振り乱す日々を送っていた私にとって、その言葉はあまりにも唐突で、冷ややかなものでした。
自分に落ち度があったのかもしれない――そう思い詰め、暗闇の中で何度も自問自答を繰り返した日々。しかし、夫が休日に乗る車の座席下から見つかった1台の録音機が、その甘い言い訳の裏にある「泥のような真実」を暴き出します。
そこに吹き込まれていたのは、「家事をして給料をもらっているくせに」「俺の居場所がないのは妻のせいだ」と身勝手な不満を撒き散らす夫の声と、それを「あなたのメンタルケアをしてあげている」と笑う、夫の親友の妻の甲高い声でした。
「性格の不一致」という無職透明に見える言葉の陰に、人間は一体どれほどの自己正当化と不誠実を隠し持てるのか。一滴の血液鑑定がもたらした衝撃の事実と、4人が集まった静かな修羅場の夜を描いた長編小説です。
■ 本作品の読みどころ
1. 「言葉の綺麗さ」と「人間の醜さ」の落差
離婚の理由としてよく使われる「性格の不一致」や「愛情の薄れ」。それが単なる保身と罪悪感の転嫁に過ぎなかった時、人間がどのような論理で自分を正当化しようとするのかを、細やかな生活描写とともに描いています。
2. 静かな密室で展開するリアルな会話劇
ファミレスの個室で対峙する4人。最初は余裕を見せていた男たちが、突きつけられた証拠と現実(会社バレ・金銭的破滅)を前にして一転し、土下座で許しを乞うまでの感情の揺れ動きと崩壊を描いています。
3. 絶望の先にある「静かな再生」
信頼していた人物たちの二重・三重の裏切りに遭いながらも、最後に自分自身と幼い子供のために静かに立ち上がり、新しい朝を迎える主人公の姿には、苦しさの先にある前向きな覚悟が込められています。



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