「ラブおしり」~おなか・おしりは大事です~/高野 正太 (高野病院) 6/20放送
FM791「ミモザ倶楽部」キーパーソンファイル
第99回のキーパーソンファイルにお迎えしたのは、大腸肛門病センター高野病院 理事長 高野正太(たかの しょうた)さんです。高野病院は熊本市中央区大江に位置し、大腸や肛門の疾患を専門とする160床の病院として、全国的にもその名を知られる専門病院です。高野理事長は、理事長として経営の舵取りを担う一方で、現役の外科医として今も執刀や外来診療の最前線に立ち続けていらっしゃいます。今回は、アニメーターを夢見た少年時代から、専門医として取り組まれている子供たちの不登校支援まで、多方面にわたるお話を伺いました。
『ブラック・ジャック』が導いた外科医の道
医師であるお父様の背中を見て育った高野理事長ですが、中学生の頃に抱いていた将来の夢は、意外にも「アニメーター」でした。漫画やアニメが大好きで、本気で美術学校への進学を親に相談しましたが、「何を言っとる」と一喝されてしまいます。そんな時、手塚治虫さんの名作『ブラック・ジャック』に出会い、一人の外科医が己の腕一本で患者を救う姿に強烈な衝撃を受けました。お父様に憧れたというより、むしろ漫画の中のヒーローに憧れて医学の道を志したというエピソードは、高野理事長らしい自由で瑞々しい感性を物語っています。

正しい便秘対策とは
「お尻は大事」…高野理事長が繰り返し語るこの言葉には、専門医としての深い信念が込められています。不要なものを正しく出すことは全身の美と健康に繋がると考え、便秘に悩む多くの人々を救うために『うんちエイジング』という本を出版されました。便秘には「大腸の動きが悪いタイプ」や、お尻まで来ているのにうまく出せない「出口で詰まるタイプ」など種類があり、それぞれに応じた正しい対策が必要であることを分かりやすく説いています。出版社の倒産により、現在は病院のホームページから無料でダウンロードできるよう公開しているというエピソードからも、利益より一人ひとりの健康を優先する誠実なお人柄が伝わってきます。
信頼関係を築くユーモア
ネット漫画『ホワイトプレイヤー』のモデルの一人に選ばれ、プロのカメラマンに撮影してもらうほどの端正な容姿を持つ高野理事長ですが、そのイケメンぶりが診察室で仇となったこともあるそうです。女性外来を担当していた際、診察室に入った瞬間に「あんな若いイケメンにはお尻を見せたくない」と患者さんに拒否されてしまったことがあったとのこと。そんな時も「大丈夫、目をつぶってますから(笑)」とユーモアを交えて返し、患者さんの緊張を和らげようとする高野理事長の気さくで温かな人間性は、多くのスタッフや患者さんから厚い信頼を寄せられる理由となっています。
医療と学校が連携する「お腹の健康」支援
今、高野理事長が情熱を注いでいるミッションの一つが、腹痛や便秘などの「過敏性腸症候群(IBS)」が原因で学校に行けなくなっている子供たちの支援です。強いストレスや生活習慣の乱れからトイレにこもってしまい、不登校になってしまう子供たちに対し、医療、学校、家庭が連携してアプローチする体制を整えています。なぜお腹が痛いのかを医学的に解明し、不安を取り除くことで、子供たちが再び安心して登校できる環境を作ること。専門病院の知見を社会課題の解決に繋げようとする、高野理事長の強い使命感が伺えるお話でした。
持続可能な医療経営とは
160床を抱える専門病院の経営者として、厳しい医療環境にも真摯に向き合っていらっしゃいます。コロナ禍以降の看護師不足に加え、昨今の物価高や光熱費の高騰は、診療報酬という公定価格の中で運営する病院にとって大きな経営的負担となっています。自由な値上げができない厳しい制約の中で、いかに医療の質を落とさず、スタッフが誇りを持って働ける環境を守りながら患者さんに最善の治療を提供し続けるか。現役の外科医として現場を見ているからこそ感じる経営の難しさと、地域医療を守り抜くという強い覚悟を明かしてくださいました。


自分をリセットする大切な時間
多忙を極める日々の合間を縫って楽しんでいるリフレッシュ法は、友人たちと行く阿蘇でのキャンプです。自らテントを張り、料理を作って大自然の中で過ごす時間は、心身をリセットするための不可欠なひとときだといいます。また、カントリーミュージックへの愛も深く、熊本の巨匠・チャーリー永谷さんの店「グッドタイムチャーリー」の常連でもあります。本場ナッシュビルでチャーリーさんの演奏に触れた思い出や、誰もいないお店のステージで歌わせてもらったこともあるというエピソードからは、仕事に邁進しつつ趣味を謳歌する柔らかな感性が伝わってきます。
次世代へ繋ぐ健康のバトン
インタビュー中、高野理事長が披露してくださった「ラブお尻」のポーズ。手をハート形に作り、それをひっくり返すと「お尻」の形に見えるというこのポーズは、高校の部活のOB会長を務める際、女子高生たちの前でも披露して会場を沸かせているそうです。デリケートで恥ずかしいと思われがちな「お尻の悩み」を、明るいキャッチフレーズと遊び心で包み込み、健康への関心へと繋げていく。40歳を過ぎたら一度は検査を受けてほしいという専門医としての願いを胸に、高野理事長は今日も熊本から全国へ、健康を提唱し続けています。
|リクエスト曲|
Take On Me / a-ha
Take Me Home, Country Roads / John Denver
|Spotify|
前編 https://open.spotify.com/episode/4PXSotQxaywjVvRAwc5W6n
後編 https://open.spotify.com/episode/02QD0VZWswylXZ6LoDslOQ
最後に
「ブラック・ジャック」に憧れた少年が、160床の巨大な専門病院を率いる「ホワイトプレイヤー」として活躍する姿に、深い感銘を受けました。
お尻というデリケートな問題を「ラブお尻」という明るい言葉で肯定し、不登校に悩む子供たちの支援にまで繋げていく視座の広さ。知的な外科医の顔と、カントリーソングを愛するチャーミングな素顔のギャップに、一気にファンになってしまいました。
素敵な高野先生におしりの病気をみていただくことを想像すると恥ずかしくてたまりませんが、もっと、若い世代もおしりの話をしていくべきだな・・と感じました。
これからも、高野理事長が描く「お腹とお尻から元気になる熊本」の未来を、全力で応援していきたいです。
(事務局 濵島玲恵)

