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キャンドルナイトは一晩ではできない。

―「きれい」の裏側にある、準備と人の力―

キャンドルナイトの写真を見ると、
そこには静かで美しい時間が流れています。

暗闇の中に浮かぶいくつもの灯り。

足を止めて眺める人。

楽しそうに写真を撮る家族。

水辺に揺れる光。


その景色は、当日にキャンドルを並べるだけでは生まれません。

一晩の灯りをつくるためにその何倍もの時間をかけて準備する人たちがいます。

今回は、完成した写真だけでは伝わらないキャンドルナイトの裏側について書きたいと思います。

最初に考えるのは灯りの数ではない

キャンドルナイトを企画するとき最初に考えるのは「キャンドルを何個置くか」ではありません。

まず考えるのはその場所にどんな時間を生み出したいかです。

ゆっくり歩いてほしいのか。

一か所に集まって眺めてほしいのか。

家族で楽しめる景色にしたいのか。

静かに余韻を感じてもらいたいのか。

同じ灯りでも置く場所や高さ、間隔によって見える景色は大きく変わります。

地面に並べるだけでは空間が平坦に見えることがあります。

そこで木箱や台を使って高さを変えたりランタンやグラスを組み合わせたり、水辺なら光が映り込む位置を考えたりします。

灯りそのものを飾るのではなく、灯りによって人の視線や歩く速度までデザインする。

それが私の考えるキャンドルナイトの空間づくりです。

美しさより先に安全を考える

屋外のイベントでは、思い描いた景色をそのまま形にできるとは限りません。

風が強ければ炎は消えます。

雨が降れば電気機器や装飾の扱いも変わります。

暗い会場ではわずかな段差や配線も危険につながります。

直火を使う場合は会場の条件を確認し、管轄する機関への事前確認や必要な消火設備、管理するスタッフの配置まで考えなければなりません。

消防庁も屋外イベントでは火気の把握、観客動線の確保、消火準備、初動対応などを含めた防火管理を示しています。

場所や来場者に合わせてLEDキャンドルを使う判断も必要です。

本物の炎には、炎にしかない揺らぎがあります。

一方でLEDには、風に強く、子どもが多い場所や人の動きが多い会場でも使いやすいという利点があります。

どちらが正しいということではありません。

その場所で来場者が安心して景色を楽しめる方法を選ぶこと。

美しい空間をつくるためにまず安全を守ること。

それは表には見えにくくても決して省くことのできない仕事です。

天候は、最後まで答えをくれない

屋外イベントで最も難しいものの一つが天候です。

開催日の何日も前から何度も天気予報を確認します。

雨は降らないか。

風はどのくらい吹くのか。

気温は急に下がらないか。

自然は計画どおりには動いてくれません。

晴れ予報だったのに直前で雨が降ることもあります。

風向きが変わり、予定していた場所に灯りを置けなくなることもあります。

だからこそ、最初から一つの案だけを持たないようにします。

直火が使えない場合。

雨が降った場合。

設営時間が短くなった場合。

来場者が想定より多かった場合。

その都度、何を残し何を変更するのかを判断できるように準備しておきます。

予定どおりに進めることよりもその日の条件の中で最善の景色をつくること。

現場ではその柔軟さが求められます。

灯りがともるまでの見えない時間

イベント当日は明るいうちから設営が始まります。

備品を運び、配置を確認し、一つひとつの灯りを並べていきます。

遠くから全体を見て位置を直す。

実際に人が歩く場所を確認する。

暗くなったときの見え方を想像しながら何度も調整する。

日が沈み始めると昼間には見えなかった問題も出てきます。

明るすぎる場所。

光が足りない場所。

写真ではきれいでも、歩きにくい動線。

暗くなって初めて完成する空間だからこそ、最後まで調整は続きます。

そして、イベントが終われば撤収があります。

灯りを消し、備品を回収し、忘れ物やごみがないかを確認する。

来場者が帰ったあとの暗い会場で元の状態へ戻すところまでがキャンドルナイトです。

写真に残るのは、灯りがともっている数時間。

けれど、その一枚の写真の外側には運搬、設営、安全確認、点灯、見回り、撤収という長い時間があります。

一人では、景色をつくれない

キャンドルナイトを経験するほど強く感じることがあります。

それは美しい景色は一人ではつくれないということです。

会場を貸してくださる方。

地域の方々。

設営を手伝ってくださる方。

安全を見守る方。

出店者や出演者。

足を運んでくださる来場者。

多くの人がそれぞれの場所で関わることで、
初めて一つの夜が完成します。

私が灯りを並べただけではキャンドルナイトにはなりません。

そこに人が集まり、誰かと同じ景色を眺め、会話や思い出が生まれる。

その時間まで含めてようやく一つの景色になります。

だからこそキャンドルナイトを「空間装飾」だとは思いません。

人と人、人と場所をつなぐ時間だと思っています。

「きれい」の一言が次の灯りになる

準備の途中では不安になることもあります。

本当に人が来てくれるだろうか。

思い描いた景色になるだろうか。

安全に最後まで終えられるだろうか。

それでも会場に灯りがともったとき、
誰かが足を止めてくれる。

「きれいですね」

「癒やされました」

「また見たいです」

そんな言葉をいただくと、それまでの時間が報われたように感じます。

もちろん、終わったあとには反省点も残ります。

もっと見やすくできた場所。

準備を改善できる部分。

次は試してみたい演出。

一晩が終わるたびに次の景色づくりが始まります。

キャンドルナイトは、一晩ではできません。

そして、一晩で終わるものでもありません。

そこで生まれた出会いや気づきが、
次の灯りへとつながっていくからです。

柳川の夜に残していきたいもの

柳川には、堀割や舟、柳の木、昔ながらの町並みがあります。

昼の光の中で見る景色も美しいですが、夜にはまだ知られていない表情があります。

水面に灯りが映りいつもの場所を人がゆっくり歩く。

地域の方と訪れた人が同じ景色を眺める。

そんな夜が一度きりのイベントではなく、
少しずつ柳川の日常や文化として育っていくことを願っています。

大きなことを一度に成し遂げることはできませんが、一つの灯りを丁寧にともすことはできます。

その積み重ねが、いつか「柳川の夜に行ってみたい」と思ってもらえる理由になるかもしれません。

見えない準備も、迷いも、関わってくださる人への感謝も、すべて次の景色につなげながら。

これからも心に残る一晩をつくっていきます。

次回予告

「キャンドルだけでは、景色は完成しなかった。」

灯りに、食、音楽、地域の人、そして訪れる人が重なることで初めて生まれる時間があります。

一つのイベントを「みんなの景色」に変えていく、つながりについて綴ります。


この景色をこれからも。

花と灯りで、人・空間・地域を彩り、心に残る景色と時間を創造する。

florelie【フロレリー】
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花・灯り・空間・五感をテーマにしたブランド



柳川キャンドル
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柳川の夜に新しい景色を育てるプロジェクト

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