JetKVM と ATX Extension Board で自宅 PC をリモートコントロール
1. はじめに
JetKVM とは IP-KVM と呼ばれるデバイスのひとつです.KVM はキーボード・ビデオ・マウスのアルファベットの頭文字をとったもので,複数の計算機をひとつのキーボード・モニタ・マウスで操作するためのデバイスです.IP-KVM はそれらの通信をすべて IP 化してしまいネットワーク越しにアクセスできるようにしたものということになります.
IP-KVM というと ATEN や Raritan などのメーカーがあって業務用で非常に高価な製品ばかりなのですけど,一方でパーソナルユースであれば比較的安価な製品がいくつか展開されています.
今回わたしは JetKVM を購入したので,この記事ではそちらについてご紹介しようと思います.
2. 購入
2.1. 購入した製品
今回購入したのは以下の 2 つの製品です.
JetKVM 本体
ATX Extention Board
ATX Extention Board は,リモートから電源の管理もしたい場合に必要な拡張パーツです.今回リモートコントロールしようとしているのが自宅のデスクトップ PC であることもあり,リモートで電源を入れてみたかったので追加で購入しました.
2.2. ショップ
ショップは公式サイトに記載のある所から選ぶことにしました.
iKoolCore
WisdPi
の 2 つのショップが紹介されており,日本への送料が安い WisdPi から購入することにしました.
注文確認ページは以下のような感じでした.

ちなみに安さでいうと AliExpress のほうが安いです.自分はちょっと出品者が怪しげだったので避けました.あと Amazon でも売っています.後述しますが WisdPi だと国際配送で時間がかかるので,少し値段が高いのを気にしないなら Amazon でもよいかと思います.
2.3. 配送の流れ
3 月 1 日に注文しました.配送ステータスは 17TRACK というサイトで確認する形になっていました.ちなみにおそらく初期状態ではキャリアがイタリアの会社になっていて詳細が確認できない状態になっています.キャリアとして「SGH グローバル」を選択すると詳細が確認できるようになります.

この 17TRACK というサイト,アクセスするたびに動物の画像を選ばされます.地味に難しいので結構うっとうしいです.番号さえわかれば佐川急便の追跡ページから問い合わせたほうがストレスフリーです.佐川のページは以下のような感じでした.


さて肝心のどれくらい時間がかかったのかという点ですが,画像を確認していただければわかるとおり,3 月 1 日に注文して到着がなんと 3 月 22 日ということになりました.さすがにちょっと配送は遅いですね.送料が安いのもこのあたりに反映されているのかもしれません.
3. 開封
いかにもな感じの梱包で送られてきました.

外装を開けると中には購入した 2 つの商品の箱が入っていました.

それぞれ箱の内容物は以下のような感じでした.本体のほうはちゃんとした化粧箱に入っており,ATX Extention Board については簡易的な梱包材にパーツがそのまま突っ込まれていました.

4. 組み立て
4.1. 拡張カード
ATX Extention Board については国内であまり口コミを見かけなかったのでここで詳細に書いておこうと思います.拡張カードはパーツごとにばらばらになった状態で送られてきます.拡張カードの組み立て自体は特に難しいところはないと思います.

4.2. 内部の配線
難解なのがいろいろ入っているケーブルの接続方法です.まず厄介だったのがフロントパネルコネクタの接続です.本来フロントパネルとマザーボードを直接つないでいるのを,この拡張カードを経由するようにすることでリモートから起動できるようにするという仕組みです.そのため以下のように配線します.
フロントパネル ~ 拡張カード
ケース付属ケーブルを利用
バラバラではないタイプのコネクタの場合別途対応が必要
拡張カード ~ マザーボード
拡張カード付属の虹色ケーブルを利用
バラバラになっているのがマザーボード側
なお,2 列ある拡張カードのピンについては,どちら側をどちらに割り当てても問題ないようです.所詮は短絡するかどうかだけの問題だからということだと思います.

ちなみに拡張カードには USB Type-C の端子がありますが,電源を安定的に供給するためというような用途らしく,別になくてもすべての機能が使えるので通常は単純に無視してよさそうです.
4.3. JetKVM 本体の配線
JetKVM 本体の配線についても少しわかりにくい部分があります.それが付属されている USB Type-C の分岐ケーブルの使い方です.
JetKVM の USB 端子は次の 2 つの役割を担っています.
KVM のマウス・キーボード操作を伝える機能
JetKVM を動かすのに必要な電力を供給する機能
ここで注意したいのが,リモートで PC の電源を付けるには JetKVM 自体も給電されている必要があるということです.PC は通常シャットダウンしてしまうと USB の給電も止まってしまします.ここで登場するのが分岐ケーブルです.電力のほうは充電器とか別の給電できる装置から給電するということになります.
分岐ケーブルを使う場合は,電源ケーブル側に付属の Type-A to Type-C ケーブルを使用する必要がある点に注意してください.自前で用意した Type-C ケーブルを使ったりするとうまく給電されません.もしこのために USB 充電器の購入を考えている場合は,くれぐれも USB Type-A 端子が搭載されたものを購入するように注意してください.
ちなみに分岐ケーブルを使わない方法もあります.たいていのマザーボードは,シャットダウン時にも USB デバイスに給電する機能が BIOS に搭載されています.そちらを設定しておけば分岐ケーブルを使わなくても済むというわけです.
5. 動作確認
5.1. Web コンソール
JetKVM はクラウド KVM をうたっており,ローカルネットワークだけでなくクラウドからアクセスすることができます.複数のデバイスを登録することができます.コンピュータ一つに JetKVM ひとつという感じです.

各デバイスのコンソール画面には,仮想メディアや仮想キーボード・モニタなどの項目があります.モニタについては,仮想ディスプレイとして新しい画面が追加されたような形になります.

5.2. ATX 電源制御
ATX Extention Board による電源管理については,右上の「拡張機能」という項目から操作できます.実際のボタンの操作と同じような使い方が可能で,たとえば画面のボタンを長押しすれば実際のボタンを長押しした操作になりました.

6. 考察
6.1. マルチユーザー非対応
現状マルチユーザーには対応しておらず,デバイスはアカウント単位で紐づけられるみたいです.研究室のサーバールームで使いたいなーと思っていたので,この点は残念でした.
https://www.reddit.com/r/jetkvm/comments/1n0ohp3/multiple_access/?tl=ja
6.2. ディスプレイの複製ができない
注意点として,Windows のディスプレイの設定で仮想ディスプレイと現実のモニタを「複製」にすることができませんでした.なんらかの制約があるようです.したがって,PC を利用する際には表示されないディスプレイがあるのでたまにマウスが吸い込まれてしまいます.ディスプレイの配置を工夫すれば多少はましになりました.

6.3. 配線が複雑
私が購入した直後に JetKVM から製品のアップデートに関するお知らせが発表されました.これによると,LAN ポートが PoE に対応したようです.従来の USB の分岐ケーブルを使う方法は配線が複雑でかつ隠れた要件などがあり煩雑でした.PoE を利用すれば配線をすっきりさせることができるのでとても良いアップデートだと思います.もう少し早く発表してくれたら自分もそのご利益にあずかることができたのに……
7. おわりに
ということで JetKVM についての紹介でした.JetKVM を購入しようと考えている人の参考になれば幸いです.個人的には,マルチユーザーに対応していない点とディスプレイの複製の設定ができない点が改善するとうれしいなと思います.
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