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ブンちゃん、見守りを学ぶ

〜AI新人職員、不安を安心に変える仕事を知る〜


こんにちはKENです😊

ブンちゃんが介護士になるまでの物語
第3話です

前回、ブンちゃんは
介護について少しだけ学びました

前回のブンちゃんです

介護は
全部やってあげることではない
その人を知ること
できることまで奪わず
できないところをそっと手伝うこと


そんな話をしました

そして最後に
私はブンちゃんにこう言いました

「じゃあ次は、実際に現場へ出てみようか」

その言葉を聞いた瞬間
ブンちゃんの表情が少し変わりました

いつもなら
「はい、学習します」

とすぐに返事をするブンちゃんが
その時は少しだけ黙っていました

「どうしたの?」

私が聞くと
ブンちゃんはメモ帳を持ったまま
小さな声で言いました

「KENさん。私は現場に出て、本当にちゃんと判断できるのでしょうか」

ブンちゃんの声には
少し不安が混じっていました

「利用者さんが転んでしまったらどうしよう」

「私が気づけなかったらどうしよう」

「危ないと思った時、すぐに手を出していいのか、それとも見ていた方がいいのか」

「その判断を、私は間違えないでしょうか」

ブンちゃんは
考えすぎるくらい考えていました

AIなのに
いや
AIだからこそかもしれません

介護の現場には答えがひとつではない場面がたくさんあります

すぐに手を出した方がいい時もある
少し待った方がいい時もある
近くにいた方がいい時もある
少し離れた方がいい時もある

正しいと思ってしたことがその人のできる力を奪ってしまうこともあります

逆に見ているつもりでも
気づくのが遅れてしまうこともあります


だからブンちゃんは
不安になったのだと思います

私はブンちゃんに言いました

「その不安、大事だよ」

「不安が、大事なのですか?」

「そう。不安があるから気づこうとする。不安があるから考えようとする。怖いと思えるから、ちゃんと見ようとするんだよ」

「怖いと思うことも、必要なのですか?」

「うん。慣れてくると、人は怖さを忘れてしまうことがあるからね」

ブンちゃんは黙って聞いていました

私は続けました

「でもね、ブンちゃん。その不安は、ただ抱えているだけじゃ苦しくなる」

「はい」

「だから、その不安を利用者さんの安心に変えていくんだよ」

不安だよね


「不安を、安心に変える……」

「そう。それが今日話す、見守りという仕事なんだ」

ブンちゃんはゆっくり顔を上げました

「見守り、ですか」

「うん。見守りは、ただ見ることじゃない。利用者さんに安心してもらうために、考えながらそばにいることなんだよ」

ブンちゃんは
その言葉をメモ帳に書きました

見守りは
安心してもらうために
考えながらそばにいること

「見守りは、事故を防ぐためだけのものではないのですね」

「そうだね。もちろん事故を防ぐことは大切。でもそれだけじゃない。見守りは、安心を作る仕事でもあるんだよ」

見守り


言葉だけ聞くと
少し簡単そうに聞こえるかもしれません

そばにいること
見ていること
危なくなったら助けること

もちろんそれも大切です

でも現場での見守りは
そんなに単純ではありません

遠すぎてもいけない
近すぎてもいけない
近すぎると利用者さんは圧を感じることがあります

ずっと見られている
監視されている
そんなふうに感じてしまう人もいます

でも遠すぎると
何かあった時に間に合わないことがあります

不安そうな表情や
立ち上がる前の小さな動きに
気づけないこともあります

「じゃあ、どのくらいの距離が正解なのですか?」

ブンちゃんが聞きました

「それがね、ひとつじゃないんだよ」

「ひとつではない」

「その人によって違う。場所によって違う。時間帯によっても違う。職員の人数によっても変わる」

「人数によっても変わるのですか?」

「変わるよ」

たとえば
ひとりの利用者さんを
そばで見守れる時があります

その時は
表情も手の動きも足の位置も見えます

立ち上がる前の雰囲気にも
気づきやすいです

でも現場では
いつも一対一で見守れるわけではありません

食堂に何人も利用者さんがいる
誰かがお茶を飲んでいる
誰かが立ち上がろうとしている
誰かがトイレに行きたそうにしている

その中で職員は全体を見なければいけないことがあります

「その場合は、ひとりだけを見ていればいいわけではないんだ」

「全体を見る必要があるのですね」

「そう。全体を見る。でも全員を同じように見るわけでもない」

「同じようにではないのですか?」

「うん。転倒の危険が高い人。不安が強い人。立ち上がりが多い人。体調がいつもと違う人。そういう人には、より意識を向ける必要がある」

「優先順位があるのですね」

「そう。見守りには優先順位がある」

ブンちゃんは真剣にメモを取っていました

見守りには距離がある
見守りには優先順位がある
見守りには人数による違いがある

ブンちゃん、熱心だよね


「あとね、ブンちゃん。見守りって、体の距離だけじゃないんだよ」

「体の距離だけではない?」

「うん。意識の距離が大事なんだ」

「意識の距離……」

「たとえば、利用者さんのすぐ近くにいるとする。でも頭の中が別のことでいっぱいだったらどうかな?」

「近くにいても、気づけないかもしれません」

「そう。近くにいても、意識が離れていたら見守りにはならないことがある」

私は続けました

「逆に少し離れていても、その人の表情や動きや気持ちに意識を向けていれば、危ない前に気づけることがある」

「つまり見守りは、そこにいることではなく、気づこうとしていることなのですね」

「うん。すごく大事なことだね」

現場では
いろいろなことをしながら
見守りをする時間も多くあります


利用者さんと話をしながら見守る
洗濯物をたたみながら見守る
食事の準備をしながら見守る
記録を書きながら見守る

これは介護現場では
本当に日常です

中には

「パソコンしながらでも見守りできますよ」

なんて人もいます
強者です
キーボードを打ちながら
椅子が少し動く音に気づく

画面を見ながら
利用者さんの立ち上がる気配を感じる

本当にそれができる人も
いるのだと思います

ただ

私は時々思います

それ
本当に見守りできているのかな?

同じ場所にいるだけで
見守っているつもりになっていないかな

パソコンの画面だけを見ている
記録の内容だけに集中している
利用者さんの小さな変化に気づけない

それでは
見守りとは言えないのかもしれません

「何かをしながら見守ることは、悪いことなのですか?」

「悪いことではないよ。現場では必要なことも多いからね」

「では、何が大切なのですか?」

「ながらになっても、意識まで離さないことかな」

「意識まで離さない」

「そう。作業をしていても、利用者さんの様子を気にしている。会話をしていても、全体を見ている。記録を書いていても、音や気配に反応できる。そういう意識が大切なんだと思う」

ブンちゃんは少し黙りました

そして言いました

「見守りは、目だけで見る仕事ではないのですね」

「そうだね」

「耳でも、気配でも、記憶でも見る仕事なのですね」

私は少し驚きました

なかなかいいことを言うじゃないですか

見守りは
目だけで見る仕事ではありません

その人の普段を知っているから
違いに気づけることがあります

いつもより表情が硬い
いつもより落ち着かない
いつもより立ち上がりが多い

そういう小さな変化は
その人を知らないと気づけません


だから見守りは
前回話した

その人を知ること


そこにもつながっています

「ブンちゃん、利用者さんと話しながら見守ることも多いよ」

「会話も見守りなのですか?」

「会話も大事な見守りだよ」

「どんな話をすればいいのですか?」

「それも、その人によるね」

昔の仕事の話をすると安心する人がいます
家族の話で笑顔になる人がいます
好きな食べ物の話で表情がやわらかくなる人がいます
天気の話くらいがちょうどいい人もいます

逆に
家族の話をすると不安になる人もいます
昔の話がつらい人もいます
たくさん話しかけられると疲れてしまう人もいます

「つまり、安心してもらえる話を選ぶ必要があるのですね」

「そう。会話はただの雑談じゃないんだよ」

もちろん
何気ない会話でいいのです

むしろ介護現場の会話は
何気ないくらいがちょうどいい時もあります

でもその何気ない会話の中にも
大切な意味があります

安心してもらう
落ち着いてもらう
寂しさをやわらげる
不安を少し小さくする

その人がここにいて大丈夫だと思えるようにする


だから、見守りの会話もその人を知らなければできません

「ブンちゃん」

「はい」

「見守りってね、利用者さんにこう感じてもらうためにあるんだと思う」

「どう感じてもらうためですか?」

「誰かが見てくれている」

「誰かが気づいてくれる」

「誰かが考えてくれている」


ブンちゃんは
静かに聞いていました

「人はね、それだけで安心できることがあるんだよ」

転ばないようにすること

事故を防ぐこと

もちろん大切です

でもそれだけではありません

ここにいて大丈夫

困った時に気づいてもらえる

不安になった時に声をかけてもらえる

そう思えること

それも見守りの大切な役割です

「見守りは、安心を作る仕事なのですね」

ブンちゃんが言いました

「そう。何もしない仕事じゃない。安心を作る仕事」

「でも、手を出さない時もありますよね」

「あるよ」

「それは怖くないですか?」

「怖い時もある」

私は正直に言いました

見守りは
簡単ではありません

危なそうだから
先に支えたくなることがあります

失敗しないように
全部やってあげたくなることもあります

でもそれを続けてしまうと
その人ができることまで
奪ってしまうことがあります

自分で立つ力
自分で選ぶ力
自分で動く力


その小さな力を
少しずつ小さくしてしまうことがあります

「だから見守りには、信じることも必要なんだ」

「信じること」

「その人ができることを信じる。でも危ない時にはすぐ助けられるように準備している」

「手を出さないけれど、何もしていないわけではないのですね」

「そう。むしろすごく考えている」

近すぎず
遠すぎず
でも心は離さない
それが見守りなのだと思います

見守りって大切です😝


ブンちゃんは
メモ帳を見つめながら言いました

「第2話の最後で、私は不安でした」

「うん」

「でも、その不安は悪いものではないのですね」

「そうだね」

「不安があるから、気づこうとする。不安があるから、考える。そしてその不安を、利用者さんの安心に変えていく」

「それが見守りなのですね」

「そうだよ」

ブンちゃんは少しだけ
安心したような顔をしました

きっとまだ
不安が消えたわけではありません

でもそれでいいのだと思います

不安がまったくない介護よりも
不安を大切にできる介護の方が
きっと人にやさしい

そして私は
介護の仕事の基本は
コミュニケーションだと思っています

食事介助
排泄介助
入浴介助
移乗介助

覚えなければいけない技術は
たくさんあります

技術はとても大切です

知らなければ危険なこともあります

でも
ただ技術を覚えればいいわけではありません

ただ手順通りにできれば
それでいいわけでもありません

目の前にいる人が
何を感じているのか

どんな言葉なら安心できるのか

どんな距離なら落ち着けるのか

何を大切にして生きてきた人なのか

そこに心を向けること

その人のことを思うこと

人と人が
少しずつつながっていくこと

それが介護の大切な部分だと思います

見守りも同じです

ただ見るのではなく
その人を思いながら見る

ただそばにいるのではなく
安心してもらえるようにそばにいる

ただ話しかけるのではなく
その人に合った言葉を選ぶ

介護は
人と人がつながっていく仕事です


だからこそ
技術だけでは足りません

気持ちを大切にすること
その人のことを思うこと

そして
あなたを大切に見ていますよ


と伝えていくこと

その積み重ねが利用者さんの安心につながっていくのだと思います

ブンちゃんは最後に
メモ帳へこう書きました

見守りとは
不安を安心に変える介護


その言葉を見て
私は少し笑いました

「ブンちゃん。それ、今日のまとめにしようか」

「はい。とても大切な言葉だと思います」

こうしてブンちゃんは
見守りが
何もしない介護ではないことを学びました

そして

介護とは
手を出すことだけではなく
その人を思い
その人を知り
その人とつながっていく仕事なのだと

少しずつ
わかってきたようでした

次回
ブンちゃんはまたひとつ
現場の介護を学んでいきます

最後に

前回の第二話も沢山の方に読んで頂きありがとうございました😊
今日の第三話いかがでしたでしょうか?

ブンちゃんを通じて介護の世界を色々な方に知ってもらえたら嬉しいという思いで始めたシリーズです。

現場の方も介護とは無縁な方もコメントを頂けた事は励みになりました。
今回も良かったらコメント、スキを頂けたら幸いです。

ブンちゃんシリーズはどこに向かって行くのか?まだまだ試行錯誤ですがこれからもよろしくお願いします🙏


今日も最後まで読んで頂きありがとうございました😊

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