誰でもわかる円安が止まらない理由1:金利差では説明できない「日本経済の構造欠陥」
現在、アメリカによるイラン攻撃を背景に円安が加速している。これには様々な要因があるが、最大の理由は極めてシンプルだ。日本は高騰した原油を輸入するために、円を売って外貨を作り、支払いに充てなければならない。この「実需」を見越した先回りの円売りが、現在の円安構造を決定づけている。
戦争が終結すれば多少の揺り戻しはあるだろうが、構造が変わらない限り、長期的な円安傾向は止まらない。
「金利差」という説明の限界
マスコミやSNSでは「日米の金利差」が円安の原因だと繰り返される。確かに短期的な変動には影響するが、長期的なトレンドを決定づける主因ではない。
事実を振り返ってみよう。2007年も現在と同じく、日米の金利差は約5%あった。しかし、当時の為替は1ドル=120円程度が上限だった。ひるがえって現在はどうだろうか。同じ5%の金利差でありながら、為替は160円台まで振れている。
もし金利差だけが決定要因なら、今は120円近辺に収まっているはずだ。この「40円もの差」は一体どこから生まれているのか。
需要と供給が示す「円弱」の正体
通貨の価値も、基本的には需要と供給で決まる。投資家による投機的な取引もあるが、根底にあるのは日本という国全体の経済活動だ。悲しいかな、今の日本は「円を売ってドルを買わなければならない場面」が激増しているのである。
日本を構造的な円安体質に変えてしまった要因は、これまでの失政と停滞の積み重ねにある。
投資の停滞: バブル崩壊後、企業はコスト削減に明け暮れ、画期的な商品への投資を極端に絞り込んだ。
労働環境の変化: 小泉改革以降、人件費削減が加速し、国内の購買力が削がれた。
利益の還流停止: 企業の海外進出は進んだが、現地で得た利益は日本国内に投資されなくなった。
エネルギー問題: 東日本大震災以降、日本のエネルギー政策は混迷し、化石燃料への依存度(=外貨流出)が高まった。
デジタル敗戦: 我々がGoogleやAmazonのサービスを享受する一方で、日本のサービスは海外で利益を上げることができていない。
アベノミクスの誤算: 大胆に円を増やしたが、肝心の企業側が世界に通じる競争力を取り戻せず、ただ通貨価値を薄める結果となった。
金利差が縮まれば円高に戻ると説く専門家は、こうした根深い構造的問題を無視していると言わざるを得ない。
円安になれば、海外の物価が変わらずとも、我々が支払う代金だけが増えていく。今の日本の経済状況を見る限り、この流れが止まる兆しはない。日本という国に留まり、円資産しか持たないことは、そのまま「貧乏になること」を意味する時代に突入したのだ。
次回は、なぜ日本の円安が止まらないのか、その詳細をさらに深掘りしていく。海外資産への投資がいかに不可欠であるか、その論理的な背景を理解していただきたい。
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