🎣オールドフィッシングタックル022 日本製初のスピニングリール ~ Compac Olympic model 81 🇯🇵 ~
オールドタックル File022

オールドフィッシングタックルシリーズ。今回はスピニングリールの紹介です。
Compac Olympic model 81 🇯🇵
日本製初のスピニングリールの誕生は、戦後復興期の 1948年(1952年説もあり)。植野精工 "オリムピック81型" です。誕生のきっかけは、北米大手釣具メーカー オーシャンシティー (Ocean City)社 から植野精工に商談が持ちかけられたことでした。その発注内容というのが、当時北米で大ヒットしていた " ミッチェル(ハーフベイル)Mitchell Half bail" のコピー製品を1万台製造してほしい…というものでした。

1949年 米国ガルシア (Garcia) 社はミッチェルの独占販売権を取得しました。当時の北米の釣具卸売商社は、とにかく " 売れるスピニングリール " を欲していました。そんな時代背景がうかがい知れます。植野精工としては、またとない外貨獲得のチャンスでした。サンプルのミッチェルをリバースエンジニアリングし、試作品も完成しました。ところが…戦後数年の当時、材料となる金属の調達がままならない上に、ダイキャスト製法の精度に問題があり、自社の検品に合格するのは1割に満たない…。このレベルでは1万台を納期までに量産することは無理と判断し、植野精工側から取引のキャンセルを申し出たそうです。

大口取引の破談がバネとなり、その後も植野精工はコピーミッチェル改良の研究をつづけました。その後、わずか6ヶ月後には、日本初のスピニングリール " オリムピック81型 " の製造販売を開始しました。

画像の81型は、初期モデルのマイナーチェンジ版です。81型初代モデルのボディーカラーはブラック塗装でしたが、本家メーカーからの抗議により、マイナーチェンジでグリーン塗装のボディーとなりました。
ちなみに当時のミッチェル (Mitchell) はメーカー名ではなく製品名です。レオン・カルパノ (Léon Carpano) とチャールズ・ポンズ (Charles Pons) が設立した会社名がCAP (Carpano & Pons) で Mitchell はその代表的な製品でした。

画像のオリムピック81型は 1950年代後期 販売の 第3世代 モデルです。コマースパシフィック社 (Commers Pacific) 取り扱いで " コンパック (CONPAC) " ブランドで販売されました。英国ハーディー社のフルベイルパテントが失効した1954年に、フルベイル仕様にモデルチェンジしたミッチェルをコピーしたものです。コピー製品といっても、けっして粗悪品ではなく、機械精度はかなり高いです。ハンドルを回したときのブレ(ブルブル)も本家ミッチェルより少ないんじゃないか?と思うほど良くできています。

コマースパシフィック社 (Commerce Pacific) は、植野精工とオーシャンシティとの商談を仲介した商社で、植野製リールの北米販路を拡大したのは、同社の代表でもあった日系二世の "ジョー大橋" 氏の尽力によるものでした。81型の他にも多くのオリムピック製リールが販売されていました。

戦後復興期の日本で、僅かな期間に高精度で製品化してしまう日本メーカーの逞しさには敬意を払わずにはいられません。日本メーカーの贋作リールは、開発技術が無い故にコピー製品から始めた…と語られがちです。まちがいではありませんが、正しくは発注元からのオーダーが " コピー製品 " だったということです。贋作、パクリ…など、ネガティブなイメージで語られることの多い黎明期の日本製リールですが、それらを作るに至った背景を知ると…なんだか愛着がわいてくるものです。
今回のオールドタックル紹介・解説はここまでです。それではまた次回 👋
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