天気予報はなぜ当たるようになったのか
元気象庁長官を務めた著者による天気予報をめぐる話題の本です。この20年ほど、気象庁は予報技術の向上とともに、その成果に基づく防災・減災のシステムつくりを次々に進めてきました。市民に提供される情報量が多すぎるため、まるで増改築を繰り返した古い温泉旅館だ、との批判もあるのですが、この数年では、「警戒レベル」の導入と周知が進んできたように思います。この本が出た後の今年2026年には、また防災気象情報が大きく変更されるという話も聞いています(本には触れられていませんが)。
本書ではこのほか、「線状降水帯」予測に向けた気象技術者の取り組みや、地球温暖化をめぐる話題なども盛り込まれています。また、気象に関する国際協力の話題も触れられています。私も大学の実習で、学生に地上天気図を作成させているのですが、等圧線の引き方に学生は四苦八苦しています。
この地上天気図作成にあたっては、もちろんですが日本の観測データだけではなく、韓国・中国・ロシア・フィリピンなどでの観測データも必要となります。「天気に国境はない」という通り、国際協力がなければ気象観測・気象予測は成り立ちません。安易に排外主義を前面に押し出す政党が伸張している昨今にあって、科学分野で進められている国際協力の重要性の一環を伝える書にもなっています。
