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第8章 死の瞬間に思うこと― バガヴァッド・ギーター ―


この章は、少しこわいけれど、とても大事な話です。
人は死ぬとき、何を思うのか。
そのときの心が、どこへ向かうかを決める、と語られます。
アルジュナは、たくさんのむずかしい言葉についてたずねます。
ブラフマンとは何か。
自己とは何か。
行いとは何か。
クリシュナは答えます。
なくならない最高のもの。
それがブラフマン。
自分の本当のあり方。
それが自己。
生きものを生み出すはたらき。
それが行い。
そして、こう言います。
人は、最後に思ったものへ向かう。
だから、ふだん何を思いながら生きているかが大切だ、と。
急に最後だけ立派なことを考えるのはむずかしい。
いつも向けている心の向きが、そのまま出るからです。
だから、常にわたしを思いなさい。
そして、自分の役目をはたしなさい、と言います。
ここで大切なのは、死ぬときの特別なやり方だけではありません。
毎日の生き方です。
心をどこに向けているか。
何を大事にしているか。
それが、そのまま最後につながると教えます。
この世界は、ずっと続いているように見えても、
生まれては消え、
また生まれるくり返しの中にあります。
昼が来ればあらわれ、
夜が来れば消える。
けれど、そのくり返しをこえた、
変わらない場所があると言います。
そこに至った人は、
もうくり返しに戻らない。
それが最高の行き先だと語られます。
この章は、死の話をしていますが、
本当は生き方の話です。
最後に何を思うかは、
今、何を思っているかで決まる。
だから、今を大切にしなさい。
心を、正しいものに向けなさい。
それが、この章の伝えたいことです。


第8章 第1詩節
アルジュナは言った。
「ブラフマンとは、
何ですか。
アディヤートマとは、
何ですか。
行為とは、
何ですか。
破壊する者よ。
アディブータとは、
何ですか。
アディダイヴァとは、
何ですか。」

第8章 第2詩節
「また、
ここで、
アディヤジュニャとは、
誰ですか。
この身体の中に、
どのように、
それは、
あるのですか。
制した心をもつ者よ。
死の時に、
あなたを、
どのようにして、
知るのですか。」

第8章 第3詩節
至上の方は言った。
「不滅なる最高のもの、
それが、
ブラフマンである。
自己の本性が、
アディヤートマと、
呼ばれる。
存在を生じさせる行為、
それが、
行為と、
呼ばれる。」

第8章 第4詩節
「滅びゆく存在が、
アディブータである。
神的な存在が、
アディダイヴァである。
この身体の中にある
わたし自身が、
アディヤジュニャである。
最上の身体をもつ者よ。」

第8章 第5詩節
「死の時に、
わたしを思いながら、
身体を捨てる者は、
わたしのあり方に、
至る。
このことに、
疑いはない。」

第8章 第6詩節
「人は、
身体を捨てるとき、
どのような状態を、
思っているか、
その状態に、
必ず、
至る。
それに、
常に、
心を、
向けているからである。」

第8章 第7詩節
「だから、
常に、
わたしを思い、
戦え。
心と知を、
わたしに向けた者は、
必ず、
わたしに、
至る。」

第8章 第8詩節
「修習の力によって、
心を揺らがせず、
ほかのものに、
引かれず、
すべてを知る者、
古き者、
統御する者を、
思い続けるなら、」

第8章 第9詩節
「その者は、
光よりも微細で、
すべてを支える者、
思いはかることのできない者、
太陽の彼方にある者、
暗闇を超えた者に、
至る。」

第8章 第10詩節
「死の時に、
揺らぐことなく、
信をもって、
心と息を、
眉のあいだに定め、
ヨーガの力によって、
その至上の神的人格に、
至る。」

第8章 第11詩節
「ヴェーダを知る者たちが、
不滅と呼ぶもの、
欲を離れた修行者たちが、
そこへ入るもの、
梵行に立って、
それを望むもの、
その境地を、
お前に、
簡潔に語ろう。」

第8章 第12詩節
「すべての門を閉じ、
心を自己に納め、
息を頭に定め、
ヨーガに立ち、
集中して、」

第8章 第13詩節
「オームという
唯一の音節である
ブラフマンを唱え、
わたしを思いながら、
身体を捨てる者は、
最高の境地に、
至る。」

第8章 第14詩節
「心を乱さず、
常に、
わたしを思い続ける者、
そのように、
常に結ばれている
ヨーガ行者にとって、
わたしは、
たやすく、
得られる。」

第8章 第15詩節
「わたしに至った
偉大な魂たちは、
苦しみに満ちた
この無常の世界に、
再び、
戻ることはない。
彼らは、
最高の完成に、
至ったからである。」

第8章 第16詩節
「ブラフマーの世界に至るまで、
すべての世界は、
再生を伴う。
だが、
クンティの子よ。
わたしに至った者には、
再生は、
ない。」

第8章 第17詩節
「一千のユガが
一つの昼であり、
一千のユガが
一つの夜であると、
知る者は、
昼と夜を、
知っている。」

第8章 第18詩節
「昼が来るとき、
現れないものから、
すべての存在は、
現れる。
夜が来るとき、
それらは、
再び、
その中に、
溶け込む。」

第8章 第19詩節
「この存在の集まりは、
繰り返し、
現れ、
夜が来れば、
滅びる。
昼が来れば、
否応なく、
再び、
現れる。」

第8章 第20詩節
「だが、
この現れないものの上に、
別の、
永遠の現れないものがある。
すべての存在が、
滅びても、
それは、
滅びない。」

第8章 第21詩節
「それは、
現れないものと呼ばれ、
最高の行き先と、
言われている。
そこに至った者は、
戻ることがない。
それが、
わたしの、
最上の住まいである。」

第8章 第22詩節
「パールタよ。
すべての存在が、
その中に宿り、
それによって、
すべてが、
支えられている
その最高の方は、
ただ、
専心によって、
至られる。」

第8章 第23詩節
「バラタの最上の者よ。
ここで、
ヨーガ行者が、
この世を去るとき、
戻らない道と、
戻る道について、
お前に、
語ろう。」

第8章 第24詩節
「火、
光、
昼、
明るい半月、
北への進み。
これらの時に、
ブラフマンを知る者たちは、
ブラフマンに、
至る。」

第8章 第25詩節
「煙、
夜、
暗い半月、
南への進み。
これらに至った
ヨーガ行者は、
月の光を得て、
再び、
戻ってくる。」

第8章 第26詩節
「この二つの道は、
この世では、
永遠である。
明るい道は、
戻らない。
暗い道は、
戻る。」

第8章 第27詩節
「パールタよ。
これらの道を知っても、
ヨーガ行者は、
迷わない。
だから、
すべての時に、
ヨーガに立て。」

第8章 第28詩節
「ヴェーダの学び、
供犠、
苦行、
布施によって得られる
功徳を、
これらすべてを越えて、
ヨーガ行者は、
この知によって、
最上の住まいに、
至る。」


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タオ ここまで読んでくださり、ありがとうございます。 古い言葉を、今の人にも届く形で残していきたいと思っています。 応援していただけたら、とても励みになります。