5度目で受かった修了考査。諦めなくてよかった。~合格するまでの道のり~
1.はじめに
5度目の受験で今年ようやく合格しました。実は棄権も含めると8度目です。長い長いトンネルをようやく抜けたという気持ちです。霧が晴れた、憑き物が取れたという表現がしっくりくるくらい、視界がくっきりとして身も軽くなったように思います。
大部分の人は1回で抜けて行くのですが、道のりを記すことによって、勇気が湧く人がいるんじゃないか、あるいは反面教師になる人もいるんじゃないかと思い、書き連ねることにしました。
2.自己紹介
最初に簡単な自己紹介を。監査経験はありますが2年と乏しいです(実務要件は監査に従事する前に他の職種で充たしています)。監査法人は6年前に退職しており、現在は別の仕事をしています。
仕事以外では、両親の介護をしており、何とか綱渡りで生活する毎日です。
監査とは関係ない仕事をしているため、正直、合格したところで箔がつくかなという程度だと思うと、勉強するモチベーションは上がりませんでした。昨年より前の直近3回に至っては受験を申込んだものの棄権。もう半ば「公認会計士」になるのは諦めていました。
しかし、頭の片隅にモヤっとしたものがずっと残っていました。死ぬ間際に慚愧の念に駆られるのではないかと思い、何とか重い腰を上げて、2025年8月1日から受験勉強を再開しました。
3.使用教材
主な使用教材はTAC2025目標テキスト、CPA2023目標テキストでした (当時申込だけして、ほぼ手つかずに終わった)。科目別では以下の通りです。
会計:TAC
監査:CPA (改正論点だけTAC)
税務:TAC
経営 IT以外:TAC、IT:CPA
職倫:CPA (改正論点だけTAC)
答練:TAC
受験から遠ざかっていたので、TACの総合本科生を申し込んだのですが、結果的に上級本科生(再受験者用)でよかったです。
前年の12月から気合を入れて勉強するなら別ですが、夏くらいから始めるならばTACであれば上級本科生で問題ないと思います(Reviewも不要です。圧縮講義と同じ講師が担当していますので、圧縮講義を受ければ充分です)。
おそらく2つの予備校を申込む人はいないため、それぞれの良いところを予備校選びの参考にしていただければ幸いです。
4.勉強計画
方針
勉強方針としては、昔受験していたときに、本試験を解きながら「答練全然意味なかったじゃん・・・」と思ったことが何度かあったので、科目によって違いはあれど、たとえ直前期であってもテキストをメインに学習することを心がけました。
なお、修了考査の答練が当たるということはめったにありません。講師の方が去年は当てたとか話しているのを講義で何度か耳にしましたが、大枠の論点だけだったり、答練で出なくてもできるような超基本問題だったりするので騙されないようにしましょう。
時間配分
勉強時間の配分は、配点と同じ割合(会計:3 監査:3 税務:3 経営:2 職倫:1)になるよう計画しましたが、実際は(会計:3 監査:3 税務:3 経営:0.5 職倫:0.5)くらいでした。
私は監査に現在従事していないので、監査のウエイトを高めましたが、監査法人従事者であれば、勤務時間は監査の勉強をしているのと等しいので、座学のウエイトは限りなく下げていいと思います。
それと私は監査法人勤務者の方みたいに直前に試験休暇(およそ3週間?)を取れないので、とにかくどんなに忙しくても勉強しない日は作らないで(たとえ1分でも触れる)、コツコツ勉強時間を積み上げていくことを心掛けました。時間の総量としてはあくまで体感ですが、134日×2.5時間/日=335時間くらいでしょうか。1日5分くらいの日もありましたからね。
5.成績
結果はこのとおりですが、バランスよく取れたと思います。

ランクの中央値の点数が取れていると仮定して計算すると、会計:55×3=165 監査:65×3=195 税務: 55×3=165 経営: 65×2=130 職倫: 65×1=65で合計720点/1,200点(ちょうど60%)。
バランスよく取れたというより、首の皮一枚繋がったという表現のほうが正確かもしれませんねw
6.科目別勉強法
会計実務
計算
TACテキストの基本例題を3周しました(1周目9月、2周目10月、3周目11月)。収益認識、連結、減損、税効果、退職給付など頻出論点は手厚くやりました。濃淡はありますが、テキストから全切りした論点はありません。
12月に苦手なところ、間違いやすいところだけを確認しました。
講義は一切視聴していません。つまみ食いで試しに聴きましたが、黒板にひたすら板書していくスタイルで、ただでさえ時間がないのに、講義録もついていなくていちいち板書していられるかと思って視聴しませんでした。
幸いにして、テキストが充実していて、注意すべき点を一言メモの形で記してあったので、そちらをフル活用しました。
答練は出題論点をテキストに反映しただけで、問題を解くこと自体はノータッチ。1問も解いていません。テキストの例題が解ければいいというスタンスに徹しました。
理論
TACテキストに授業で引いたマーカー部分中心に3周通読しました(1周目9月、2周目11月、3周目12月)。講師がテキストに引いたマーカーと板書がPDFで見られるのは助かりました(これは税務実務の圧縮講義も同じ)。
計算と同じく、収益認識、連結、減損、税効果、退職給付など頻出論点は手厚くやりました。濃淡はありますが、テキストから全切りした論点はありません。
講義は視聴していません。つまみ食いで試しに聴きましたが、基本的にテキストを読むだけのスタイルで、かつ噛み噛みで耳学にも耐えづらいので、聴き流しも断念しました。
答練は出題箇所を該当のテキストページにマークをつけて、後日その箇所を読みました。論文式試験で問われるような典型論点は大方書けるようにはなっていたと思います。IFRSは日本基準との比較を意識して覚えました。
監査実務
監査から離れて時間が経っていたので、監査実務未経験とほぼ同じだと思って力を入れました。TACテキストは監基報の要約で使いづらく理解が進まないため、CPAテキストと授業(圧縮講義)を使用しました。
CPAテキスト(基本論点編)を4周通読しました(1周目8月、2周目10月、3周目11月、4周目12月)。
修了考査対策編のテキストは、項目別監査手続(科目別)だけ通読しました。
理解が必要なところはCPAの圧縮講義(短答・論文対策)で基本から叩き直しました。監基報の内容をそのまま問われる問題はこの圧縮講義が一番助けになったと思います。
ただ監基報を漫然と読んでも全く入ってきませんが、講義ありだと全然違いました。このCPAの講師T先生の教え方が素晴らしく、論文のときにこの先生に教わりたかったとさえ感じました。
改正論点はTACテキストで確認しました。本当は授業で確認したかったのですが、改正論点は通常の講義の中に織り込んでいる形式だったので、いちいちそれをチャプターから探す手間が面倒で聴くのを断念しました。
テキストだけの確認に留めました。講義のチャプターの区切りも雑で、改善の余地がないのかなと思ってしまいました。
答練は全科目のなかで一番活用したと思います。時間を計っては解きませんでしたが、すぐに解答を見ないでまず考えて、自分なりの解答を箇条書きベースで思い浮かべてから解答を見るということを繰り返していました。
それと監査提言集も目を通しました。一つ一つの事例をうんうん唸りながら読む時間はないので、”改善すべき点”と”提言”の箇所から、試験に問われたら使えそうなキーワードを意識して読みました。
実際に本試験でもここで読んだキーワードを使うことができました。監査に従事していない方は監査提言集をおすすめします。
税務実務
TACのカリキュラムで唯一講義を通しで視聴しました(圧縮講義12回)。圧縮講義は捨てるところを論点ごとバッサリ切るので、効率よく勉強することができました。法人税のテキスト5の大半(貸引、圧縮記帳、借地権、試験研究費等)、グループ通算、地方税、国際課税は全切りです。
講義をスケジュールどおりに視聴し、テキストは圧縮講義で触れた箇所だけ基本例題と過去問を4周しました(1周目8月上旬、2周目8月下旬、3周目11月、4周目12月)。
講師のN先生の教え方も素晴らしく、組織再編にあたってはなんで今までの人たちはこんな教え方をしてくれなかったんだ!と目から鱗でした(現在のTAC税務実務は2人体制で担当されていますが、前任のおじいさん講師は本当に酷かったw)
税務実務は範囲が一番広く、かつ紛らわしい暗記項目も多いです。Aランクを狙いたいなら全範囲やってもいいですが、時間も限られているし、最小の時間で守りに徹したいという考えに、圧縮講義はピッタリでした。
最後の圧縮講義で「答練は難しい問題や講義で触れてない論点が出るけど、振り回されないようにしてください」とアドバイスをされていて、まさにその通りだと実感しました(答練は出題論点だけ確認してノータッチ)。
このアドバイスのおかげで直前期にあれもやってない、これもやってないと思ってしまう「あれもこれも病」に陥ることを防げました。
その後、試験休暇が取れない場合の学習方法の進め方をメールでN先生宛に質問しましたが、回答も的確で心の支えになりました。直前期、不安になったときは何度もこの頂いた回答を読み返して大丈夫、大丈夫と言い聞かせました。
今回合格できたのはN先生のおかげです。誠にありがとうございました。
経営実務
IT以外
TACテキストを使用しました。基本例題は解くことなく、指標とその意味をざーっと確認した程度です。分析以外の企業価値、M&A、コーポレートガバナンスなども斜め読みで10月末に一度通読して、直前にもう一度見直そうとしたのですが、時間切れで不安を抱えながら本試験に臨みました。
講義はコーポレートガバナンスだけ試しに聴きましたが、これも黒板に板書するスタイルでテキストの内容をただ書き直しているだけのような感じだったので、テキストの学習だけにしました(と言っても前述のとおり、とても荒い勉強で終わりました)。
答練は理論部分だけテキストに反映して、反映したときに確認した程度です。時間切れで直前期も見返すことはありませんでした。指標の計算は一度も電卓を入れることはなかったです。
IT
CPAテキストを使用しました。TACテキストはおそらく会計士協会の現会長が講師時代に作られたものをベースにしたものですが、講義あってのテキストであって、テキスト単体では自分には読みづらく、CPAテキストのほうが読みやすかったため、こちらを選びました。回数は2周通読しました(1周目10月、2周目11月)。直前期はサラっと見返す程度でした。
自身はこの科目が苦手で、実務でほとんど触れたことなくイメージもしづらい、頭の痛い科目でした。
当時分かりやすいと言われていた現会長の講義も、自分には分かったような分からないような感じで、とにかくなんとかやり過ごしたいという気持ちでいっぱいでした。
講義は元修了考査の試験委員の講師という触れ込みではありましたが、音質がとても悪く聞き難いレベルだったので即座に断念しました(そんなことでと思うかもしれませんが、そんなことで勉強の意志は削がれるものなのですw)。
答練は、解説講義で何か新しいことを話されているかなと思い聴きましたが、最後の解説講義で「元試験委員の立場から言うと、本試験というのは監査法人で実際に監査をしている人しか合格できないように作っている」と話していて不安になりました。
確かに監査法人でしっかり実務をしている人を合格させたい気持ちは分かるし、受講生の大半は監査法人勤務者だからなあと思いつつも、私みたいなマイノリティの立場もいることを考えて話してくれよ!と試験直前に思ったものです。
質問メールで監査法人非従事者なのですが何か対策できることはありますかと聞いたところ、答練を何度も解き直してくださいという回答だったのですが、回答に疑問を感じた私は、回答をスルーし、この科目に注力することはやめました。なんとか足きりは免れるようにできればと祈るような気持ちでやり過ごすことにしました。
満足に勉強できなかったものの、本試験のITは現場対応型が多く、結果はBランクと杞憂に終わって安堵しました(おそらく周りの出来もそこまでよくなく、下駄をだいぶ履かされている印象でした)。
職業倫理
CPAテキストを使用しました。理由は監査実務と同じです。テキストが使いづらく、理解するにはCPAテキストのほうが有益だと思ったからです。回数は2周通読しました(1周目11月、2周目12月)。
基本原則、阻害要因、セーフガードといった典型論点を外さなければまず足切りはないです。ただ年によってはTACテキストには載ってないインサイダー取引規制も出ます(今回も出ました)。
法令違反になるか否かの事例は解けるようにしておいたほうがいいと思います(私が昔受けたときにまるまる大問50点分インサイダー取引規制が出て、そのときは最初で最後の足切りを食らいました)。その回は合格率50%を切る年だったので、もうそんな大胆な出題はないとは思いますが・・・。
答練は出題箇所をテキストに反映して、そのテキスト箇所を読むという理論お決まりの作法を実施しました。TACの監査実務と職業倫理は、テキストは正直イケてないですが、答練はピカイチです。答練解説を読むだけでも勉強になりました。
7.試験当日雑感
試験時間の繰り下げ
電車が遅延した場合、本部に連絡すれば試験時間は繰り下げてくれるので、早めに行くに越したことはないですが、そこまで心配することはないと思います。
ただ、試験時間が遅延するとリズムが崩れます。以前、1時間遅延したときはその分帰る時間も遅くなるので、頼むから勘弁してくれと思いました。初日だと特に。
今回は2日目に30分遅延したのですが、受験票記載の着席時間、開始時間、終了時間が実際の時間と異なるので、試験時間中に一瞬バグる局面がありました。もし遅延したときは皆さんご注意ください。
トイレ
会計・監査・税務の3科目の拘束時間は着席時間と答案回収時間を含めると4時間弱になるので、疲労度はMAXになりますし、膀胱が耐えられない人もいると思います。
私は3時間の試験の場合、意識的に1時間半経過したくらいでトイレに行っていました。短答みたいに1分1秒を争う試験ではないので、数分くらい席を外しても、いいクールダウンになります。
休憩時間ですが、補習所の考査と同じように扉が閉められたら試験は受けられないので、着席時間5分前くらいから会場案内の人がトイレの中でカウントダウンをされています。
善意でカウントダウンしてくださっているのですが、私はあの急かされる感じが嫌なので15分前にトイレに行き、5分前には着席するようにしていました。
飲み物
試験時間中はミツカンのりんご黒酢を水分補給に使用していました。疲労回復する成分が入っているのでおすすめの一品です。頭がクリアになります。
試験官
何度か受けた感想としては(何度も受けるもんじゃないですね)、試験官が外れの人が多い印象でした。試験の着席時間前なのに机に置いてあるものを、「これはなんだ?」とベタベタ触ってこられたりして不快でした。
私の場合は点鼻薬のキャップをベタベタ触られて、潔癖症じゃないものの、身体に入れるものを一声かけることなく勝手に触るな、せめて着席時間後の持ち物確認のときにやってほしいと思ったものです。
ちなみに目薬、点鼻薬、医薬部外品ののど飴は試験の持ち込みが認められています。
それと今年ではありませんが、室温がどれくらいか知るために小さい温度計つき置時計を持って行って着席時間前に置いていたのですが(着席時間前にしまう予定でいた)、「置時計はダメだよ!試験要綱くらい読め!」と大声で叱りつけられました。
…とまあ、他にもありますが、協会の人や手弁当で手伝っている会員が試験官を担当されているようなので、致し方ないのかなと。もちろん優しい方も多いのですが、あれっ?と思う人もいるのも事実です。理不尽なことがあっても、心を乱されないようにしましょう。
アンケート
試験の最後にはアンケートがあります。試験を受けるのは何回目か、いつから修了考査の学習を開始したかとか、従事している仕事は(監査、コンサル、その他から選択)など。
あと出題内容は適切だったか、簡単だったか難しかったかといった試験の内容についてのもの。ここで簡単なんて選ぶ人が多いものなら、翌年度の試験が難しくなるという、後輩泣かせのアンケートですね。これを書けば試験終了です。
8.昔の振り返り
なんで当時受からなかったんだろうと思い返してみましたが、勉強の力の入れ具合が違ったかなと。結果論かもしれませんが、漫然とダラダラやっていたように思います。
職場のことを言えば、監査法人の人たちがとにかく合わなかった。法人を選んだときまでは正解だと思っていたのですけどね。
深く傷つけられる言葉を浴びたこともありましたし、ここから抜け出すために勉強しようという気力まで湧かなかったですね。
他人が変えることは難しいのだから、自分が変わろうって意識まで行きませんでした。自分が悪いのは百も承知なのですが、辞めて離れてみて、客観的にそう見れるようになりました。
9.合格発表とこれから
前回落ちたときよりはできた実感があったので、何とか滑り込んでいるだろうと予想していましたが、日に経つに連れて、落ちているかも?と不安がよぎる日々を過ごしていました。
合格発表前日は時間が過ぎるのがとても遅く感じて、発表の10時までのカウントダウンを心の中でずっとしていました。
結果は合格。「あったーーーーー!!」と、思わず声が出ました。すぐさま家族に報告。みんな満面の笑みで喜んでくれました。特に母親の顔は忘れられません。発表当日は受かっても落ちても仕事はしたくないと思っていたので休みにして、朝からお酒で祝福しました。勝利の美酒は最高でした。
連絡を取っていない旧友たちに連絡をし、祝勝会をやってくれることも決まりました。途中コロナ禍もあって、会うタイミングをずっと伺っていた節もあります。誘いがあっても「まだ公認会計士になってないしなぁ」、そんな心の引っ掛かりがあり、すべて断っていました。
報告すると、みんなとっくに公認会計士になっているものだと思っていたらしく、気恥ずかしい部分もありますが、重い腰を上げて勉強に向き合ってよかったです。
これからの人生、公認会計士になってよかったと思える出来事を一つでも多く作れるようにしていきたいと思い直しました。精進します。
最後までお読み下さいましてありがとうございました。
