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エッセイ|スーパーのカゴに、こっそり贅沢を忍ばせる話



こんにちは、ナツです。



スーパーの入り口で、ふんわりと甘い、花の香りがしました。
「あ、もうすぐ春なんだな」
冷たい風の中に、微かに混ざる暖かな気配。
それだけで、少しだけ心が軽くなる気がします。


育休中の今は、スーパーへの買い出しが数少ない「外の世界」との接点です。
3歳の長男を自転車のチャイルドシートに乗せて、風を切りながら向かう道中。


「ママ、あそこにお花咲いてる!」
後ろから聞こえる元気な声に相槌を打ちながら、
私は前かごの荷物を気にしつつ、ペダルをこぎます。

かつての私にとって、スーパーは「いかに効率よく、
必要なものを安く揃えるか」という、さながら戦場のような場所でした。


でも最近は、ほんの少しだけ、見方を変えるようにしています。
忙しさに追いかけられる毎日だからこそ、
カゴの中に自分への「心のギフト」を忍び込ませるんです。


ナツの、誰にもバレない「小さな贅沢」リスト


私はコーヒーより、断然、紅茶やカフェオレ派。
そして、私の小さな贅沢は、息子にバレないように「こっそり」楽しむことが鉄則です。

私が最近見つけた、コスパ最高の贅沢はこの3つです。

ちょっと良いティーバッグの紅茶
大袋のものではなく、1杯50円ちょっとの、香りが良いアールグレイ。
お湯を注いだ瞬間の香りで、一瞬だけ異国へトリップできます。

• とっておきのチョコレート(1粒)
普段はファミリーパックですが、自分のためには、
少しお高めの、口溶けの良いものを1粒だけ。

スーパーの片隅にある、保冷コーナーのシュークリーム
ケーキ屋さんのじゃなくていい。スーパーの、あの素朴なシュークリーム。甘くて冷たい。幸せ。


これらは、子供たちが寝静まった後、あるいは、
ほんの一瞬の「自分時間」に、カフェオレと一緒にいただきます。

子どもに見つかると「あー!ママだけずるい!」と大変なことになるので、まさに「秘密の愉しみ」です(笑)。


買い物を終えて、重くなったレジ袋を自転車のカゴに積み込む。
ふと見上げると、夕暮れ時の空が、薄紫から深い紺色へと溶け合っていくグラデーションが目に飛び込んできました。

街灯が灯り始めた住宅街。
遠くの家から漂ってくる夕飯の支度の匂いと、
少しだけ暖かくなった空気が鼻をかすめる。

自転車の後ろから伝わってくる、子供の楽しげな鼻歌。
その声が、今は不思議と心地よく、私をこの場所に繋ぎ止めてくれている気がしました。

「さあ、帰ってご飯にしようか」
そう語りかけると、子供が「はーい!」と元気に答えます。
(カゴの奥底に隠したシュークリームは、私だけの秘密)


完璧主義な私は、たまに「今日もあれができなかった」
「もっとちゃんと遊んであげられたはずなのに」と、
自分にバツをつけてしまいそうになります。

でも、お気に入りの紅茶を一箱、カゴに入れた。
そして、子供に内緒のシュークリームを買った。

それだけで、今日の私は自分の機嫌を自分で取れた。
100点満点じゃなくても、それで十分なんだと思います。



明日もまた、カゴの中に小さな楽しみをひとつ忍ばせて帰ろうと思います。



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