140字小説|言えなかった言葉
「好き。付き合って」
夕暮れの校舎、蝉時雨が止まった気がした。
何度も練習した言葉は、彼の背中を前にして喉の奥に消えてしまった。
伝えられなかった彼への想いは、卒業式の涙と一緒に校庭の砂に埋めてきた。
けれど、古い手帳を開くたび、あの日の甘酸っぱい風が今もページの隙間から吹き抜ける。

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